盛岡市民は1年中食べてる「冷麺」。焼く、あえる、イタリアンにも

冷麺=冷たい麺だから夏に食べるもの、だと思いがちですが、 岩手県盛岡市では、夏も冬も1年中、冷麺を楽しむ習慣があります。岩手県出身の俳優、藤原絵里さんが紹介。

冷麺は1年中! 焼肉屋には冷麺専用席も

盛岡冷麺

 岩手県のおいしいものといえば、わんこそば、盛岡じゃじゃ麺と並んで盛岡冷麺が、盛岡三大麺として有名です。牛骨ダシのスープと、コシが強く、のどごしのよい麺が特徴の盛岡冷麺は、盛岡三大麺のなかで、筆者のいちばんの大好物です。

 朝鮮半島の郷土料理がルーツになっているようですが、ジャガイモのデンプンと小麦粉を合わせた独特の麺は盛岡冷麺ならでは。最初は驚かれる方も多いのですが、みなさんすぐにとりこになりますよ。

 筆者が5月に東京に来たとき、スーパーで盛岡冷麺が買えず驚いたものです。夏になっても売られているのはせいぜい1種類。それも、どのスーパーにもあるというわけではありませんでした。

 都内では、焼き肉屋さんで締めにいただくイメージが強いですが、岩手では、冷麺だけを食べに焼き肉屋さんへ行くことも少なくありません。お店によっては、「焼肉ですか? 冷麺ですか?」と確認され、焼肉の鉄板のない冷麺専用の席に案内されます。

飽きずに楽しめる、アレンジレシピも豊富

戸田久の冷麺セット

 お店でいただく盛岡冷麺もとてもおいしいですが、自宅でいただく盛岡冷麺も絶品。盛りつける具材で各家庭のオリジナリティも出ます。筆者がお気に入りのおススメ冷麺は、東京のスーパーでもときどき見かける、戸田久の「北緯40度もりおか冷麺」。

 岩手県二戸郡一戸町生まれの製粉・製麺メーカーである戸田久は1948年創業の老舗で、「北緯40度もりおか冷麺」は農林水産大臣賞を受賞しています。

 一般的な味のほか、レモン冷麺(夏季限定)、梅しそ冷麺(夏季限定)、トマト冷麺、温麺、ビビン麺、担々冷麺(夏季限定)などいろいろあり、どれも盛岡冷麺ならではのモチモチ食感ながら、太さや形が違います。

 そのまま食べてももちろんおいしいですが、アレンジを加えることでさらにおいしさのバリエーションが広がります。筆者おススメのアレンジレシピを4つ、ご紹介します。

●冷麺サラダ

冷麺サラダ

1 通常通り冷麺をゆで、水で洗う。
2 たれを水で薄めず、大さじ1程度のマヨネーズと混ぜ、麺と絡める。
3 キムチ、レタス、トマト、キュウリ、ゆで卵など好みでのせる。

●イタリア風トマト冷麺

イタリアン風トマト冷麺

1 通常通り冷麺をゆで、水で洗う。
2 スープとトマトジュース250mlを混ぜる。
3 麺を入れ、お好みでオリーブオイルや黒コショウをかける。
  ルッコラや生ハムをのせたらイタリアン風に。

●焼き冷麺

焼き冷麺

1 通常通り冷麺をゆで、麺とたれをフライパンで炒める。
2 好みで豚バラ(しゃぶしゃぶ用)、モヤシなどを加えて炒める。
  炒り卵を混ぜてもよい。

●ざる冷麺
1 通常通り冷麺をゆで、水で洗う。
2 ざるそばのように、麺つゆと薬味といただく。

 みなさんもぜひ、そうめんやパスタのように盛岡冷麺を楽しんでみてくださいね。

<取材・写真協力/戸田久>
<取材・文/藤原絵里>

藤原絵里さん
俳優。岩手県盛岡市出身。23年間、岩手県で生まれ育つ。短大を卒業し、地元の温泉旅館の仲居に。着つけや日本文化に興味をもつ。その後、カタール航空のキャビンアテンダントへ転職。約4年、国際線に乗務し世界44か国を訪れる。海外での経験を通して、日本のよさ、岩手のよさを再認識する。現在は、女優として、映画やミュージカルに出演。代表作は速水萌巴監督『クシナ』、榊英雄監督『生きる街』など、多数。日本や東北の魅力を伝えられる作品にかかわっていきたいと思っている。