―［日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.32／池田陽子］―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は愛媛県のアンテナショップ「いよかん」から肩こり解消にうれしいグルメをお届けします。
ミカンや小魚で「食べるマッサージ」
デスクで1日中PC作業。肩がガチガチで頭が痛い…。テレワークによる運動不足も影響して、肩こりで悩んでいる人も多いのでは。つらい肩こりを「食べるマッサージ」で解消しましょう。
中医学では肩こりには2つのタイプがあるとしています。1つめは「ストレス肩こり」。ストレスによって、気の巡りが滞ることが原因の肩こりです。肩がパンパンに張ったこり方が特徴で、イライラ、目の充血などの症状も見られがちです。
この場合は気の巡りをよくする食材を取り入れること。おすすめはミカンなどのかんきつ類。さわやかな香りが、気の滞りをスムーズにして、肩のこりをほぐしてくれます。
もう1つのタイプは「血行不良肩こり」。血の巡りが悪くなることで、筋肉が硬くなり、強い肩こりを引き起こしてしまうのです。長時間のデスクワークやパソコンでの作業が多いひとがなりやすいタイプ。グリグリした硬いしこりがあるこり方が特徴です。こちらのタイプはいわしなどの青魚がおすすめ。血中の老廃物を洗い流し血液をサラサラにして、つらいこりをやわらげるのに役立ちます。
今回は、愛媛の食の幸がそろう「愛媛セレクトショップ いよかん」から、肩こりにうれしいグルメをご紹介します。
ミカンのおいしさを堪能できるストレートジュース
愛媛県といえばミカン！ 全国でもトップクラスのミカンの生産地です。瀬戸内の温暖な気候のもと、海風を浴びてミネラルをたっぷり含んだ豊かな土壌で、甘くてコクがあり、甘味と酸味のバランスにも優れたミカンが育ちます。
そんな愛媛のミカンのおいしさをジュースで楽しめるのが、宇和島市・愛工房の「宇和島みかん ストレートジュース」（180円税込）。愛工房は、旧宇和島青果農業協同組合の加工部門として始まり、90年の歴史を誇ります。培われた高い技術で愛媛のかんきつ類のよさを、最大限に引き出した商品を送りだしています。
『宇和島みかん ストレートジュース』は、完熟の温州ミカンを100％使用。ジュースとして飲みやすいタイミングのものを、独自の「インライン方式」で搾汁。瞬時に果皮を分離する製法によって、品質の高い果汁に仕上げます。外皮の油分やえぐ味、苦味が除去された果汁は、まさに、皮をむいて食べるミカンの味そのもの。雑味が一切なく、ナチュラルなおいしさです。コクがありつつもおだやかな甘味、酸味が控えめでまろやかな味わい。
飲むたびに、元気がでてくるようなみずみずしいジュースです。
「いよかん」を使ったジューシーすぎるジュレ
愛媛でミカンに次いで多く栽培されているのが「いよかん」。全国生産量の9割を誇り、愛媛を代表するかんきつはさわやかな香り、たっぷりの果汁、すっきりとしたほのかな甘味が魅力です。
今治市・AISHISUの「ORANGE ジュレ 伊予柑」（324円税込）は、いよかんのおいしさをギュッと閉じ込めたジュレ。いよかんならではの香り、ジューシーな風味が、とろけるようなジュレで味わえます。
チューブタイプなのでこのままでもいただけますが、スプーンでデザート風にとろとろ感を味わうのもおすすめ。凍らせてシャーベット風にしても、おいしくいただけます。
子どもたちにも大人気！ 塩分不使用のいりこ
愛媛は瀬戸内海のカタクチイワシを使った「いりこ」の生産も盛んです。瀬戸内海の流れが速い海域にいるカタクチイワシを鮮度の高いうちに煮て、乾燥させたいりこは、だしとしてはもちろん、そのまま食べてもバツグンのおいしさ！
1901年創業、瀬戸内の海産物を扱う松山市・石丸弥蔵商店「塩無添加 食べる小魚」（430円税込）は、セレクトショップいよかんのベストセラー商品です。
使用するのは朝いちばんの漁で獲れたカタクチイワシのみ。鮮度がもっとも高く、エサを食べていないため腹わたの苦味が少ないものを、スピーディに塩を加えない真水のみで、丁寧にいりこに仕上げます。
塩を使っていないと物たりないのでは…と思うかもしれませんが、魚本来のうま味で驚くほどのおいしさ！ 言われなければ「塩分不使用」と思えないほどです。サクサクした食感もバツグン。まさにスナック感覚で、食べだすと止まらなくなります。大人ばかりか、子どもたちに大人気、というのもうなずける絶品グルメです。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは？ という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅（乗り鉄）。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』（JTBパブリッシング）ほか、『ゆる薬膳。』（日本文芸社）
