和歌山の秘境で出会える幻のクリームパン。土曜日だけ営業するパン屋さん

パン好き必携の資格として注目を集めている「パンシェルジュ検定」。合格するとパンシェルジュとしてパンにまつわる仕事にいかせたり、特別なイベントや体験会への参加もできます。今回は和歌山県のパンシェルジュがおすすめする、薪焼き石窯で焼きあげる香ばしてくてモチモチ食感のパンの登場です。

秘境で出会える、唯一無二の薪焼き石窯パン

ショップ風景

 小学生の頃は、毎朝食パン1斤をたいらげ、今は国内外のパン屋巡りがライフワークという和歌山県在住の木許智佳子さん。生地の素材や焼きあがったときの小麦の香り、料理やドリンクとの相性など、パンへの探求心と愛情が深まる日々。そんな木許さんのおすすめが、和歌山県紀美野町の山奥にある「薪焼き石窯パン 岳人」です。

店内

 山奥の澄んだ水と天然酵母でつくられた生地を、薪焼き石窯で焼き上げるこだわりパン。店内に並ぶのは、一番人気のクリームパンをはじめ、カリカリ皮のメロンパン、和歌山県産のはちみつを使ったはちみつフランス、無農薬サツマイモを使ったサツマイモパン、北海道産よつばバターを包み込んだバター塩パン。有機オートミールがトッピングされているのが珍しく、香ばしくて、かむほどに味わいが広がります。 目移りしてしまうほどおいしそうなパンになかから、木許さんが選んだ4つをご紹介。

香ばしくてモチモチ食感の「じゃがいものパン」

じゃがいも
じゃがいものパン350円(税込)

じゃがいもカット

 ジャガイモを生地に練り込んだ、伝統的ドイツパン・カルトフェルブロート。北海道産の有機ジャガイモ、和歌山県産 のはちみつ、フランス産の自然海塩など使用しています。「石窯で焼かれたパンの香ばしさとモチモチとした食感、そして自家製甘酒酵母に使用した酒粕の香りが口の中にふわっと広がります。そのままでもOKですが、軽くトーストすると香ばしさが増してさらにおいしくいただけます」(木許さん)

売り切れ必至!「幻のクリームパン」

クリーム
幻のクリームパン200円(税込)

クリームカット

 岳人でNo.1人気のクリームパン。薪の香ばしさが感じられるしっかりと焼かれた生地の中に、上品な甘さのカスタードクリームがたっぷり詰まっています。全体的にバランスがよく、幅広い世代に喜ばれる1品。「自家製カスタードクリームは、和歌山県産の自然卵、鹿児島県産の洗双糖、島根県産の木次低温殺菌牛乳など使用したコクのある味。焼き立てを、縁側やテラスで山の景色を見ながら味わうのがおすすめです」(木許さん)

焦がしキャラメルがやみつきに「カリカリメロン」

メロン
カリカリメロン200円(税込)

 北海道産よつばバターなどを使用し、長時間発酵した自家製天然酵母生地でつくるメロンパン。外はサクサク、中身はふんわり、絶妙なバランスが食欲をかき立てます。「表面のクッキー生地の上にふりかけた、こがし気味のキャメリゼがカリカリ食感の秘密」(木許さん)

もっちり生地と相性抜群「本格キーマカレー」

キーマ
本格キーマカレー200円(税込)

 開店と同時に売りきれてしまう可能性大の焼きカレーパン。「薪の香ばしさが感じられる、しっかりと焼かれたもっちり歯応えの生地の中から登場するのは自家製キーマカレー。ほどよい辛さとヒヨコ豆など具材がたっぷり入っていて、子どもも楽しめます。小振りなサイズなので、大人なら2個くらいペロリといただけちゃいます」(木許さん)

風味、愛情、ロケーションに癒される

店内陳列

 自家製酵母や薪焼き石窯のほか、原材料にもこだわり、商品のPOPには、原材料が産地も含めて丁寧に記載されています。「パン生地に使用する酵母は、ヨーグルト酵母から、安定感のある甘酒酵母に変えたそう。オーナーご夫妻が、特徴のあるドイツパンだけでなく、ヴィーガンも意識しながら、多くの人に楽しんでほしいとの思いでパンの種類を工夫されています」(木許さん)

テラス

 パンは数種類が毎週入れ替わり、新商品も続々登場するのでこまめにチェックする楽しみも。また、店頭の庭のスペースにはテーブルとイスを設置し、焼き立てのパンを食べることができます。「鳥のさえずりが響く静かな山間でほおばるパンは格別。駐車場からお店までは階段を上るので、雨の日や冬場は足元に注意してくださいね」(木許さん)

■ショップ情報

外観

 2009年に紀美野町の山奥にオープンした古民家ベーカリー。自家製酵母と薪焼き石窯で手間ひまかけてつくるパンを目当てに、全国からお客さんが訪れる。土曜のみ営業で、人気商品は開店後早々に完売してしまうため早目の来店を。

店名/薪焼き石窯パン 岳人(がくじん)
住所/和歌山県海草郡紀美野町箕六372
営業時間/11:00~17:00
営業日/土のみ

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協力/パンシェルジュ検定運営事務局

<取材・写真/木許智佳子、文/寺川尚美>

◆パンシェルジュ 木許智佳子〈きもとちかこ〉さん(パンシェルジュ1級)
パンの素材や製法に興味を持ち、パンシェルジュ資格取得を目指す。パンの知識を得たことの喜びは、パン職人やパン好きの方との交流が深まっていること。自分好みの味を追求しながらパン作りをしたり、友人と数種類の食パンの食べ比べなどを楽しんでいる。いつか、和歌山県のパン屋さんをはじめ、全国の食パンを集めた「食パンフェスin和歌山」を実現させるのが夢。