「高麗人参スプラウト」や鯛めしがおいしい。春にうれしい愛媛のグルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.33/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は愛媛県のアンテナショップ「いよかん」から、身体のパワーアップにうれしいグルメをお届けします。

春のだるさには「気」をアップさせる食材を

いよかん
愛媛県アンテナショップ「いよかん」

 春らんまん。お天気もよく、温かくてとても気持ちがいい季節だけれど、とにかく眠い!! 仕事が手につかない(涙)。「春眠暁を覚えず」状態の人は、「気」がたりていないのかも。

 中医学では、気は人間の体の中を流れる、目には見えないエネルギー。生命活動を維持する気が不足していると疲れやすい、だるい、朝起きられない、やる気が出ないといった症状が出やすくなります。

 春は、気温の上昇とともに体内のエネルギーも高まる季節。それにともない、気も消費されます。気が不足しているタイプの人は、てきめんに「眠い」「だるい」といった症状が現れがち。気をしっかり補って、新しい季節をアクティブに過ごしましょう。

 気を補うためによい食材は、穀類、イモ類、豆類、キノコ類。魚ではタイが役立ちます。そして、ここぞというときにおすすめなのが高麗人参。薬膳といえば、即その名があがる高麗人参は、ウコギ科オタネニンジンの根で、その効能は「大補元気」。気を補い疲労回復に使われル代表的な生薬です。

 今回は東京都・池袋の「愛媛セレクトショップ いよかん」から、春のパワーアップにうれしいグルメをご紹介します。

生産量1位の「はだか麦」を使ったホットケーキミックス

おおむぎ
宇和島市・マエダ「国産大麦のホットケーキ」

 愛媛県は、大麦の一種である「はだか麦」の生産量が日本一。温暖で雨が少ない、瀬戸内沿岸が栽培に適しているため、昔から多く栽培されてきました。地元では麦ご飯、麦みそ、麦茶、しょうゆなどに使われています。最近では、水溶性植物繊維「β-グルカン」が豊富に含まれていることなど、栄養面でも注目を浴び、さまざまな加工品が登場しています。グルテンフリーであることも、その魅力のひとつです。

 愛媛セレクトショップ「いよかん」でも、はだか麦商品が揃います。なかでも大人気なのが宇和島市・マエダの「国産大麦のホットケーキ」(350円税込)。愛媛県産のはだか麦を使用したホットケーキミックスは、水だけでもおいしく調理できるので、卵や牛乳にアレルギーがある人にも安心な商品です。

 水で溶かした生地は、粘りが強いけれどフライパンで焼くとふっくら仕上がります。甘さ控えめで、はだか麦の香ばしく豊かな風味がいっぱい。フォカッチャのようなしっかりした食べ応えなのでこのまま、オリーブオイルをつけたり、チーズと一緒に食べてもワインのおともにぴったり!

ホットケーキ

 バターをのせると、ホットケーキに気泡が多いせいかほどよく中にジュワッとしみこんで、しっとり。そしてはだか麦の旨みが引き立つ味わいに。はだか麦のおいしさを満喫できる、ホットケーキ、ぜひお試しを。

上品な香りと味わいの「鯛めし」

鯛めしのもと
宇和島市・松下海産「鯛めし」

 愛媛県を代表する魚といえばタイ。全国屈指の漁獲量を誇り、「県の魚」にも指定されています。そして、郷土料理として地元で愛されてやまないのが「鯛めし」。タイをまるごと一尾、釜や土鍋に入れて米と一緒に炊き込み、塩や昆布などで味付けして、炊き上がったら身をほぐしていただく料理です。

 その味わいをおうちでも気軽に味わえるのが、宇和島市・松下海産の「鯛めし」(550円税込)。松下水産は地元・宇和海の魚介にこだわり、さまざまな加工品を製造しています。鯛めしに使われるタイも、宇和海のもの。愛媛県西部に位置する宇和海は、太平洋から黒潮が流れ込み、栄養が豊富。豊饒な海で育った新鮮な真鯛をふんだんに使った、炊き込みタイプの「鯛めしの素」です。具材と調味液をごはんと一緒に炊き込むだけで、手軽に鯛飯が完成します。

鯛めし

 炊飯器を開けるなりふわっと漂う、タイのいい香り!! 湯気のむこうには、ゴロゴロたっぷりのタイの身! よくかき混ぜて、しばらく蒸らしてからいただきます。

 タイのうま味がすみずみまでしみこんだあつあつご飯は、なんとも上品な味わい。そして、ホクホク、ふっくらしたタイの身がザクザク。食べだすと止まらない! もうこのくらいで…と思っても炊飯器にリターンする引力に耐えがたいほどのおいしさです。

高麗人参スプラウト
今治市・イルミファーム「菊間高麗人参」

 最近、愛媛県今治市で、日本ではまだ珍しい薬膳食材の栽培がスタートしています。イルミファームの「菊間高麗人参」(20gパック 2000円税込)は、生食できる高麗人参です。

 一般的に流通している高麗人参は、4~6年程度栽培して、乾燥させた根の部分。菊間高麗人参は、根を水耕栽培して発芽させた、いわば「高麗人参のスプラウト」。豊かな森林が広がる菊間地区の豊かな水を使用して育った高麗人参は、葉も茎も根も食べることが可能です。

高麗人参

 菊間高麗人参の葉や茎は、少しほろ苦くて山菜のよう。みずみずしい根は味と食感がゴボウに煮ています。サラダ、パスタ、スープ、炒め物などさまざまなアレンジで楽しめますが、おすすめは天ぷらだそう。

キムチ和え

 私もいろいろ試しましたが、「キムチあえ」がおいしい! さっとゆでた葉、刻んだ茎と混ぜ合わせるとキムチの味に深みも加わって、ビールのおつまみにもぴったり。

焼肉

 また、「焼肉のトッピング」にするのもおすすめ。焼肉に高麗人参独特の味わいが見事なマッチング。スッキリとした後味でいただけるのも魅力です。

 気軽に食べられる高麗人参スプラウトで、パワーアップしてみてはいかが?

■愛媛県アンテナショップ「いよかん」 

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)