フキノトウのジェノベーゼも絶品。春の秋田県はデトックスグルメの宝庫

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.34/池田陽子]―

新緑がまぶしい季節。コートを脱いで、春のコーディネートに切り替えると同時に、カラダの中もリフレッシュ! そこで薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は秋田県のアンテナショップ「あきた美彩館」で「春のデトックス」に最適なグルメをお届け!

春はデトックスに最適な季節

秋田ショップ
秋田県アンテナショップ「あきた美彩館」

 中国伝統医学の「中医学」では健康で美しい体をつくるために、栄養をとることも大切ですが、余分なものを体から排泄することも大切と考えます。現代人は食事が豊かで「補いすぎ」、そして身体に老廃物などの「ゴミ」をため込みがち。体調不良や、美容面でも肌荒れ、吹き出もの、太りやすくなる、ダイエットをしてもなかなか体重が減らない…といったトラブルを引き起こしてしまいます。

 まずはしっかり体内をリセット。春は新陳代謝がアップして、冬の寒さに耐えるために蓄積した栄養物をいったんリセットするために、体が老廃物を追い出そうとする季節です。この時季にリセットすることで、春に引き起こしやすい頭痛、鼻水、鼻づまり、吹き出ものといったトラブルを防ぐのにも役立ちます。

 そんな「春のデトックス」にぜひ取り入れたいのが、春に多く出回る山菜類。フキノトウ、ワラビ、ゼンマイ、コゴミなどの山菜は解毒作用があり老廃物を追い出してくれます。まさに天然のデトックスフード! さらにタケノコもおすすめです。また初夏の味覚になりますが、ジュンサイも解毒、利尿作用の高い食材なんです。今回は秋田の食の幸がそろう、秋田県アンテナショップ「あきた美彩館」から、身体リセットにうれしいグルメを紹介します。

香りとほろ苦さが楽しめる「ジェノベーゼ風ふきのとう」

 雪どけのころに芽を出すフキノトウは秋田県の県花であり、地元では「ばっけ」と呼ばれ愛されてやまない、春を告げる味覚。天ぷらなどは秋田ならではのこの「ばっけ味噌」で味わいます。ばっけみそは、刻んだフキノトウとみそなどを練り合わせた、おかずみそ。独特の香りとほろ苦さがいきた素朴な味わいで、ご飯のともに、酒の肴にと秋田の春の食卓に欠かせない料理です。

ふきのとう
春の味覚ふきのとう

 大仙市の「三吉フーズ」は、地元の厳選した食材を使い、添加物や着色料は不使用で、素材の味をいかした商品づくりを手がけるメーカー。秋田県産フキノトウに丁寧な下処理を施し、ペースト状にしてから秋田みそと合わせて、甘味料にはアガベを使ったこだわりの「ばっけ味噌」は高い人気があります。

 このばっけ味噌に、オリーブオイルやニンニクを加えてイタリア風に仕上げたのが「BAKKE ジェノベーゼ風ふきのとう」(730円)。

ふきのとう
BAKKEジェノベーゼ

 生えている「ばっけ」本来の色に近づけるために、フキノトウのアクとりを丁寧に行っているというだけあって、目にも鮮やかな美しいグリーン! フキノトウのほろ苦い独特の風味、みそのコク、そしてオリーブオイルの相性はバッチリ。まろやかでやさしい味わいに仕上がっています。バケットにのせたり、パスタに使うと、白ワインのおともにぴったりです。

パスタ
パスタに使えば、白ワインと一緒に楽しみたい一品に

生産量日本一。 みずみずしい味わいのジュンサイ

じゅんさい
秋田県と特産品のじゅんさい

 秋田県が生産量日本一を誇るジュンサイ。ジュンサイは沼や池に自生するスイレン科の多年草で、ゼリー状のぬめりがある透明な粘質物がついた「幼葉」や葉柄を摘んで食べます。

 県北西部に位置する三種町は、日本全国のジュンサイの9割を生産する「ジュンサイの里」。白神山地と出羽丘陵に囲まれていて、山からの清らかな伏流水に恵まれ、「90%以上は水分」という、ジュンサイの生育に適した環境です。収穫は5月下旬~8月上旬頃。ジュンサイが自生する沼で、箱舟に乗ってひとつひとつ手作業で摘み取ります。ぬめりがあるので、経験を積まないと難しい作業なのだそう。

じゅんさい
「食べるエメラルド」ともいわれるじゅんさい

 秋田やまもと農業協同組合「生じゅんさい」(300円)は、旬の時期に収穫された新鮮なジュンサイをパックした商品。とれたての味わいを1年じゅう楽しめます。フレッシュなグリーン、透明のゼリーのようなぬめりが光をうけるとキラキラ輝くことから「食べるエメラルド」ともいわれるジュンサイ。涼しげな風情も魅力です。

 さっとゆでて冷たい水でしめてから、ワサビやショウガじょうゆ、ポン酢などで味わうと、つるるん、プリッ、プニュッとした食感、のどごしが心地いい! かむとみずみずしい味わいで、体がリフレッシュするような気分になります。これからの季節、そうめんや冷ややっこと組み合わせるのもおすすめ。みそ汁やおすましに入れて、さっと火をとおしてもおいしくいただけます。

比内地鶏スープで味つけした「いぶりたけのこ」

たけのこ
大人気の「いぶりたけのこ」

 地元の山の幸を使った加工品づくりを行う北秋田市「マルイシ食品」で高い人気を誇るのが「いぶりたけのこ」(756円)。上質な国産タケノコを、秋田の特色をいかして仕上げた商品です。「いぶりがっこ」のように、タケノコをナラ材のチップで丹念にいぶし、さらに比内地鶏スープで味つけしてあります。

たけのこ
そのままでもアレンジしてもおいしい!

 食べてみると香ばしく、スモーキー。そして比内地鶏のうま味がたっぷりしみこんだたけのこは、一切クセがなく豊かな甘味が口いっぱいに広がります。やわらかさがありながら、シコシコした食感がきっちり残っているのも魅力。ひとつ食べると止まらなくなるおいしさです。そしておつまみにすると、ビールも止まりません(笑)。そのままでももちろんですが、スライスチーズをのせたり、ワサビやからしを加えたマヨネーズをつけて食べるのもおすすめ。ラーメンや冷やし中華のトッピングに使ってもぴったりハマるおいしさです。

 紹介したアイテムは、どれもデトックスに最適で、さらに秋田県ならではの味も感じられるものばかり。ぜひお試しくださいね。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)