1年じゅう気になる肌の悩み。なかでも老化からくる、しわやたるみが心配です。今回は薬膳アテンダントの池田陽子さんが、秋田県のアンテナショップ「あきた美彩館」で見つけた、肌悩みに解消にうれしいグルメをお届けします
あきた美彩館で見つけた肌にいいグルメ
肌のたるみは、中国伝統医学「中医学」において「脾」とよばれる臓器の衰えが原因と考えられます。脾は皮膚や内臓を本来あるべき位置から下げないように維持する働きがあり、この働きが衰えると顔がたるみやすくなることも。そのためお肌のリフトアップのためには脾のパワーを強める食材を取り入れるのが大切。とくにおすすめなのは、鶏肉やキノコ類。脾の働きを強化して「持ち上げケア」に貢献します。
さらに肌が乾燥してシワが増えたというときは、肌と関連の深い臓器「肺」がポイント。肺の機能が低下して乾燥すると皮膚も乾燥して、シワの原因になってしまいます。肺に潤いを与える食材を上手に取り入れて「体内保湿ケア」で、肌にも潤いを与えましょう! おすすめはアンズ。肺を潤わせて、しっとりした美肌づくりに役立ちます。アンズはのどのトラブルにもよいフルーツ。
さらに効果を高めるためには、老化をつかさどる臓器「腎」の働きを強化する食材を取り入れると完璧! 腎のパワーアップに威力を発揮するのが「海藻類」。生命力や気力を養い、肌の若々しさを保つ効果があるんです。
そこで今回も「あきた美彩館」から、肌の老化に役立つグルメをご紹介します!
比内地鶏のうま味がいきた「絶品釜飯」
秋田が誇るブランド地鶏「比内地鶏」。そのルーツは江戸時代までさかのぼります。かつて比内とよばれた秋田県北部で、そのおいしさから年貢として納められていたという「秋田比内鶏」に、ロード種を交配して誕生したのが比内地鶏。赤みが多く歯ごたえのある肉質、濃厚でコクのある風味が魅力。秋田を代表する郷土料理「きりたんぽ鍋」には欠かせない食材です。
大仙市・三吉フーズ「釜飯名人 比内地鶏と香り舞茸」(871円)は、比内地鶏のおいしさを手軽に楽しめる商品。具は比内地鶏の胸肉・モモ肉と、同じくきりたんぽ鍋の定番食材マイタケ(秋田県産)、米は「あきたこまち」、そして比内地鶏のスープがセットされています。すべての具材を容器に入れて、レンジで5分加熱するだけで、本格的な釜飯が完成!
ふたをあけるとブワーッ! と漂う、マイタケのなんともいい香り。ふっくら炊き上がったお米には比内地鶏の豊かなうま味がひと粒、ひと粒にしみわたり、思わず笑顔になるおいしさ。噛むほどにコクのある肉、滋味あふれるマイタケと相まって、とてもレンジでつくったとは思えない「絶品釜飯」です。
ねばりがやみつきになる海藻「ぎばさ」
秋田で愛されている海藻といえば「ぎばさ」です。正式にはホンダワラ科のアカモクといわれる海藻で、海岸の浅瀬に生息し、熱湯にくぐらせると赤褐色から鮮やかな緑色に変わります。これを細かく切ると、驚くほどのねばりがでるのが特長。地元ではこの「ねばり」が強いほど、「おいしいぎばさ」とされているのだそう。
男鹿市・三高水産「ぎばさ」(200g 496円)は、男鹿半島の荒磯で育ったぎばさを湯がいて、細かく刻んでパックにした商品。そのまますぐに食べられます。ぎばさは、もっとも発色がよく、ねばりが強いとされる5月下旬から6月上旬に収穫したものを使用。あきた美彩館でもリピーターの多い人気商品です。
パックをあけると心地よい海風のような磯の香り。モズクのような感じかと思いきや、器に出すと「表面が膨らむ」というとんでもないもっちり感。はしでかきまわしてみると、納豆をはるかに上回る、衝撃的なネバネバっぷりです。
まずは、そのままめんつゆや、ポン酢をかけていただきます。磯くささは少なく、風味よし、そしてコリコリシャキシャキ、もっちりネバトロ食感が、ほかのどの海藻にもないおもしろさで、やみつきになるおいしさです。ご飯に乗せたり、うどんやそうめんと合わせたりするのもおすすめ。みそ汁に入れてもおいしくいただけますよ。
甘い漬物、鹿角の「しそ巻きあんず」
秋田県北東部に位置する鹿角には、アンズを使った珍しい郷土料理があります。その名も「しそ巻きあんず」。なんとあんずの「甘いお漬物」なんです! アンズをシソ、砂糖、塩などとともに漬け込み天日干しを繰り返して仕上げたもので、鹿角市・刈谷食品の「しそ巻きあんず」(524円)は、伝統の味をはちみつ、梅酢などを使って仕上げた商品。地元の定番として愛されています。
シソでくるまれた四角いかたちが、なんとも愛らしい。かじるとジュワッと甘酸っぱいアンズの風味が、口の中にひろがります。香り豊かなシソとの相性もばっちり。ほのかな塩気があるせいか、あと味がすっきりしているのでつい、もうひとつ、と食べてしまうおいしさです。
お茶請けかと思いきや、地元ではご飯と一緒に食べることが多いのだそう。試してみると違和感なし! 桜もちのような、和菓子を食べているような気持ちになります。またきざんでアイスクリームやヨーグルトに乗せたり、ジャムがわりにトーストに乗せて食べるのもおすすめです!
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)