―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第33回:木村彩乃アナ]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュとして全国で活躍する木村彩乃アナが、国産かんきつを使ったオランジェットを店舗をもたずに販売するシェフの活動をレポートします。
10種以上のかんきつでつくる、こだわりのオランジェット
かんきつ類の皮を砂糖漬けにして、チョコレートをかけた「オランジェット」。皮の苦味とチョコレートの甘味が調和してお酒にも合う、フランス生まれのお菓子です。ビターチョコレートかホワイトチョコレートか、細切りか輪切りかなど、お店によって個性が出ます。
オランジェットに使うかんきつはその名のとおりオレンジ一択のお店が多いなか、国産かんきつのさまざまな品種で多彩な味のオランジェットをつくるお店、「季菓貴(きかき)」と出会い、珍しさはもちろん、そのおいしさに大変驚きました。
シェフの菊池さんに、これまで商品化したことのある品種を聞いてみると、ミカン、夏ミカン、美生柑、紅甘夏、甘夏、レモン、青レモン、ブラッドオレンジ、伊予柑、ネーブルと、その数、10種以上!
旬を大事にしているため、時季によって変わりますが、常時6~9種のかんきつを使用しているそうです。食べ比べは楽しいですし、春夏秋冬を楽しめるのもすてきです。
おいしさの秘密は柑橘に合わせた調理法のアレンジ
菊池シェフは元エンジニアならではのこだわりで、すべての作業を科学的に分析した結果、届いた時点でのかんきつの状態に合わせ、調理法をカットの形からチョコレートの配合まで変えています。
さらに、かんきつの香りをいかすため、1週間以上かけて少しずつ糖度を上げるという手法にも、試行錯誤の末に行きついたそう。本来の風味を楽しめるよう香料や洋酒は一切使用せず、材料はかんきつ・砂糖・チョコレートのみ。国産果物の魅力を繊細に引き出す味わいは、まさにシンプルイズザベストです。
筆者のお気に入りは佐賀のブラッドオレンジ。厚切りで食感がよく、満足度が高いんです。オレンジならではのえぐみがなく、ほろ苦さが上品で、なによりしっかりと果実の甘味を感じられるのが特徴です。
愛媛の伊予柑はとってもみずみずしくチョコレートとのバランスも最高でした。また、オランジェットで使わないかんきつの実の部分は、キャラメルやジャムなど、おいしいスイーツに変身させています。
全国の農家から直送してもらう規格外のかんきつを使用
菊池シェフの熱い思いは素材の選び方にも表れています。オランジェットに使うかんきつは愛媛県を中心に佐賀県・高知県・和歌山県など、全国の農家から直送してもらっているそうです。
「体にやさしいスイーツをつくるために高品質な農産物を使うと原価がかさむため、信頼のある農家さんから、傷があるなどの理由で一般流通できない規格外品を買い取り、スイーツ開発を行っている」とのこと。
規格外とはいえ、スーパーで買う果物の価格より高くて驚きましたが、それだけ品質にこだわるからこそ、風味豊かなオランジェットになることに納得です。
しかも無農薬・減農薬だと、つくり方の「湯こぼし」という工程が短くすみ、果皮そのものの本来の味が伝わってきて、筆者は一度で虜になりました。
菊池シェフは店舗をもたず、関東近郊でのマルシェ出店やオンライン販売をしています。「加工者がさまざまな加工法や消費者への提供方法をもてば、規格の選別作業を省くことができ、出荷量を増やすことにもつながるので利益を上げることができます。」というお話は、農業や地域活性化へつながるすばらしい発想・試みだと感じました。
チョコレートは冬に需要があがるといわれますが、オランジェットはさっぱりしているので、夏のおやつにもぴったりです。全国の高品質で旬な柑橘にこだわったやさしい味のオランジェット、いかがですか?
<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。
―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第33回:木村彩乃アナ]―
地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト