なんだか体調がイマイチで、肌や髪のコンディションもどうもよくない…。そんなときは「食事を見直すのが大切」と教えてくれたのは薬膳アテンダントの池田陽子。今回は、滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」」で見つけた、コンディションアップに最適なグルメを紹介します。
気・血・水の3要素で体を整える
中国伝統医学の「中医学」では、体は「気・血(けつ)・水(すい)」の3つで構成されていると考えます。この3つは人間が活動するうえでとても大切なエネルギー。健康で美しくあるためには、それぞれが満たされていることが重要です。
気とは体内のいたるところを巡る生命エネルギー。いわば元気の源で、体を支える基本といえるもので不足すると疲れや体調を崩す原因に。そんな気を補う食材としては、豆類、キノコ類、イモ類、エビ、ウナギ、タイなどがあります。
次に血は、血脈の中を流れる液体。西洋医学の血液としての要素だけではく、全身に流れて体のすみずみにまで栄養を与える液体と考えます。美しい肌や髪をつくるために欠かせない要素で、不足するとめまい、立ちくらみ、不眠、疲れ目といった不調に。血を補うためには牛肉、カツオ、イカ、ホウレンソウ、ニンジンなどの食材が役立ちます。
最後に水は、血以外のあらゆる体液のこと。内蔵、皮膚、髪を潤わせて、関節や骨髄にも入って動きをスムーズにします。不足するとのどや肌の乾燥、のぼぜ、便秘といったトラブルに。水を補うには豆腐、豆乳、湯葉、ナガイモ、ホタテなどの食材がおススメ。
今回は滋賀県アンテナショップ「ここ滋賀」から、気・血・水を補うパワフルグルメを紹介します。
ブランド牛を手軽に味わえる「近江牛のしぐれ煮」
滋賀が誇るブランド牛肉「近江牛」。その歴史は古く江戸時代までさかのぼります。彦根藩はみそ漬けにした牛肉を「反本丸」という名の養生薬として販売。江戸の将軍家にも献上していました。当時、肉食は禁止されていましたが、例外的に彦根藩は牛肉生産を許されていたことが近江牛のはじまりとされています。
近江牛のおいしさは、琵琶湖のほとりに広がる湖東平野の豊かな土壌、鈴鹿山脈からの良質な水という滋賀の恵まれた環境にあります。また、近江牛は年間わずか6000頭という少数生産。生産者が1頭1頭、丹念にこだわりと技術をつくして飼育しています。
近江米の稲わらなど栄養バランスに配慮したエサで育った近江牛は、きめ細やかでやわらかな肉質、甘味のある脂、芳醇な香りが魅力です。
彦根市・いのうえの「近江牛しぐれ」(594円)は、貴重な近江牛のおいしさを手軽に味わえる商品。400年もの歴史をもつブランド牛を家庭の食卓で、身近に食べてもらいたいと開発されました。近江牛をふんだんに使用し、相性のいいゴボウ、ショウガと合わせて、しょうゆ、砂糖、山椒などを加えてほどよく上品な味つけで仕上げています。
食べてみると、いきなり口の中いっぱいに甘味のある、とろける脂が広がって驚きます。そして、角切りになったゴボウ、ショウガがなんともいいアクセント。あと味もエレガントで、「さすが近江牛!」とうなるおいしさ。品格あるご飯のともとしておすすめです。
琵琶湖の幸と大豆を炊き上げた「えび豆」
「琵琶湖八珍」のひとつである「スジエビ」。体長3~5㎝ほどの淡水エビで、透き通ったあめ色、胸にスジが見えるのが名前の由来です。殻がやわらかいので、まるごと食べることができます。スジエビは郷土料理の「えび豆」に欠かせない食材。えび豆は、大豆とスジエビをしょうゆ、砂糖、みりん、酒などで炊き合わせた素朴な料理で、いわば「滋賀のおふくろの味」。「エビのように腰が曲がるまで、マメに暮らせる」縁起のよい料理として、お正月などハレの日にも登場するそう。
彦根市・木村水産「えびまめ」(378円)は、琵琶湖産スジエビと国産大豆をほんのり甘く、やわらかく炊き上げた一品。大豆はていねいに炒ってから使用。小ぶりでも身のしっかり入ったスジエビのかみごたえ、風味を存分に楽しめるように仕上げてあります。ふっくらホクホクの大豆は、エビのうま味がいっぱい。スジエビは香ばしく、殻の歯ごたえも絶妙! 味つけもほどよい甘辛さで、大豆にもスジエビにもバランスよくしみこみ、食べだすととまらなくなるおいしさ。おかずにも、お酒のつまみにもぴったりです。
水戻し不要で豊かな風味の「乾燥ゆば」
滋賀県にある比叡山延暦寺は、日本における湯葉の発祥地。比叡山開祖伝教大師最澄が、仏教とともに中国から伝えられたとされています。比叡山延暦寺御用達である大津市・比叡ゆば本舗は、厳選した滋賀県産大豆と良質の水を使用して、熟練の職人の技で仕上げた湯葉が高い評価を誇る「湯葉専門店」。一枚一枚丁寧にすくい上げて仕上げた湯葉は、薄い絹のように繊細で、大豆本来の香りとうま味を感じる豊かな味わいが楽しめます。
本格的な湯葉の味わいを、気軽に楽しめるのが「比叡ゆば」(540円)。水戻し不要の乾燥ゆばは、そのまま使える手軽さで、ここ滋賀でもリピーターの多い人気商品です。みそ汁や吸い物にそのまま入れるだけ。すぐに戻ってシコシコ、てゅるんとした食感、大豆のまろやかで豊かな風味が味わえます。
そのほか、うどんやそば、おかゆに入れたり、だし汁で煮て片栗粉などでとろみをつけてからご飯にかける「湯葉のあんかけ丼」もおすすめ。料理に湯葉をプラスすると、なんだかホッとやさしい「なごみ味」になります。さまざまなメニューに、使いこなして「ヘルシー&やさしさ」仕立てにしてみては?
今回紹介したものは、ジメジメした毎日のコンディションづくりに最適! どれも手軽に楽しめるものばかりなのでぜひお試しください!
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)