パン好き必携の資格として注目を集めている「パンシェルジュ検定」。合格するとパンシェルジュとしてパンにまつわる仕事にいかせたり、特別なイベントや体験会への参加もできます。和歌山県のパンシェルジュが、石川県能登の旅先で出会ったのは、香り豊かなフランスのパン。表面はサクサク、中はもっちりの「クロワッサン」など、ひと口ごとに幸せな気持ちになれるパンの登場です。
海沿いの町で、香り豊かなフランスのパンを
小学生の頃は、毎朝食パン1斤をたいらげ、今は国内外のパン屋巡りがライフワークという和歌山県在住の木許智佳子さん。生地の素材や焼きあがったときの小麦の香り、料理やドリンクとの相性など、パンへの探求心と愛情が深まる日々。そんな木許さんがパン巡りの旅で見つけたのが、石川県能登半島の輪島朝市の近くにたたずむ「Rapport du pain(ラポール デュ パン)」。「輪島の空気と海の表情を楽しみながらパンを焼いています」と語る、輪島を愛するオーナー夫婦が営むベーカリーです。
パンシェルジュの木許さんが「Rapport du pain」にひきつけられた理由は、本場フランスのパンを目指して日々試行錯誤していること、小麦粉やバターなど材料にこだわっていること、そして日本海に面した最高なロケーションにあること! 本格的なフランスのパンをはじめ、サンドイッチ、パティスリーなど、目移りするほど魅力的な商品が並ぶ店内で、木許さんが選んだ5つをご紹介。
バター・卵・牛乳不使用!軽さを追求した「山型食パン」
北海道産小麦粉、塩、酵母、砂糖のみを使用した、ナチュラルでシンプルな「山型食パン」。バター・卵・牛乳は一切使わず、「サクッ」、「モチッ」、「フワァ」がどこまで表現できるか試行錯誤して完成した1品。
「外側はしっかり焼かれていて、重量感のある食パン。それでいて、食感はサックサク&ふんわりと軽く、何枚も食べたくなります。トーストすると小麦の風味が増し、なにもつけずに味わうのがおすすめです。また耳がこげる直前くらいまで焼くと香ばしさが強くなり、ザクザク感が増して違った食感と風味を味わうことができます。焼き方次第でいろいろな味に変化する食パンです」(木許さん)
サクサク&もっちり!こだわりの「クロワッサン」
お店のいちばんの人気はやっぱり「クロワッサン」。バターの風味と小麦の香りのバランス、表面はハラっと崩れてしまうけど、中は歯型が残るほどムッチリとしたクロワッサンを目指して誕生した品。
「理想を常に追い求め、試行錯誤を繰り返すオーナーの熱い思いが詰まった1品です。こだわりの18層からなるクロワッサンは、表面はサクサク、中は層が伸びるほどもっちりとしています。食べた瞬間にバターの風味が強く感じられ、いくつでも食べられます」(木許さん)。
ワインとも相性抜群「グリーンオリーブのパン」
「『オリビアを食べながら』といいうネーミングもついたチャバタ風のパン。水分を多く含んだ生地は、ふわもちっ!の食感。グリーンオリーブの存在感もしっかりあり、塩味がアクセントになっています。ワインやトマトソースのパスタや魚介を使ったアクアパッツァなどの料理と相性もばっちり。期間限定の商品で現在は販売していないそうですが、再販したらぜひまた食べたいです!」(木許さん)
チョコチップがたっぷり!「ヴィエノワ・ショコラ」
「もっちもち食感の生地の中に、チョコチップがぎっしりと入っていて食べごたえがあります。ヴィエノワの特徴でもあるクープ(表面の切込み)が深めに入っているので、見た目からもチョコの存在感が感じられ、チョコレート好きにはたまらない1品です」(木許さん)
表面の焼き感がクセになる「Noix」
「しっかり焼かれた表面はとても香ばしく、ブラウンシュガーのほんのりやさしい甘さのあるパンです。大きめの気泡が加水率の高さを象徴していて、もっちりとした食感を実感できます。トーストすると外側のサクッと、中のもちもち感はアップ。中に入ったクルミも歯ごたえがあり、食べ出すと止まらなくなります! カットではなく、ホールで全容をお目にかかりたいパンです 」(木許さん)
地元の素材を使ったガレッドやフルーツタルトも
店名の「Rapport」は、フランス語で「架け橋」、「人と人とのつながり」、「ご縁」の意。「ひとつのパン屋が今後のいろんなご縁に繋がる、きっかけづくりの場となれば」という、オーナー夫婦の思いが込められています。
「旅の予定を急遽変更して訪れたお店ですが、オーナー夫婦の情熱あふれるパンにすっかり虜になりました。その後、数回お取り寄せしています。パン好きの友人たちにも好評です」(木許さん)
「店内には、本格的なフランスのパンをはじめ、輪島の塩を使った塩ガレットやカヌレ、地元農園のフルーツを使ったタルトなどのパティスリーも豊富。オーナーの気まぐれパンや季節限定素材を使ったパン、ボリューム満点のサンドイッチなど、日替わりメニューはインスタグラムで確認することができます。ぜひチェックしてみてください」(木許さん)
■ショップ情報
輪島朝市からもすぐ近く、海沿いのマリンタウンに構える1軒。2階にはイートインができるオープンスペースもありテラス席から日本海を眺めながらパンとコーヒーが味わえます。現在や冬期はクローズしている場合があるため、店舗へ問い合わせ必要。お取り寄せ配送も対応してくれます。
協力/パンシェルジュ検定運営事務局
<取材・写真/木許智佳子、文/寺川尚美>
◆パンシェルジュ 木許智佳子〈きもとちかこ〉さん(パンシェルジュ1級)
パンの素材や製法に興味を持ち、パンシェルジュ資格取得を目指す。パンの知識を得たことの喜びは、パン職人やパン好きの方との交流が深まっていること。自分好みの味を追求しながらパン作りをしたり、友人と数種類の食パンの食べ比べなどを楽しんでいる。いつか、和歌山県のパン屋さんをはじめ、全国の食パンを集めた「食パンフェスin和歌山」を実現させるのが夢。