弘前で長く愛される「カランカランアイス」
私事ですが第2子を出産いたしまして、0歳2歳とドタバタの日々を送っています。すると…体が欲するのです、アイスを。家族が寝静まった夜更けに独り、薄暗い台所でなめたいのです。(妖怪か?)
とは言えこちらはお土産コラム。せめてなにかご当地感あふるるアイスはないかしらんと探したところ、青森の「カランカランアイス」なるものに出会いました。
そんなわけで今回は弘前市「藤田アイス店」さんからカップアイス5種類(ブルーハワイ・イチゴ・リンゴ・バナナ・メロン)をお取り寄せ。さてさてどんなアイスなのでしょうか。
カランカランアイス5種類を食べ比べ!
素朴な包装を開いてみると、プラ容器に入ったカップアイスがずらり。カランカランとベルを鳴らしながら台車で移動販売しているところからこの名がつき、青森では夏の風物詩となっているんだとか。
まずはブルーハワイ味からいただきます。けっこうカチンコチンに凍ってるので、しばらく置いてから食べるのもオススメだそう。
【ブルーハワイ】
クリーム感はゼロでアイスキャンディーに近い、しょりしょりした軽い口溶け。アッサリさっぱり、甘さがスルスルと溶けていきます。あっっつい日に屋外で食べたら最高だろうなという感じ。かち割り氷やカキ氷を連想させます。
【イチゴ】
駄菓子っぽいイチゴ味。どのフレーバーもそこそこケミカルな甘さではあるので、ハワイで食べた虹色のシェイブアイスを思い出しました。
【リンゴ】
青森と言えばのリンゴ味アイス。これだけ果肉プレザーブ(シロップ漬け)が入ってます。食感とさわやかリンゴ味がよく合います。
【バナナ】
バナナ…? なのか? これは? バナナと言われればバナナ。果実感は薄めですが食べやすい。
【メロン】
これがいちばん好きかもしれません! なんというか、古きよきメロン容器のシャーベット(よくTwitterで「知ってたらRT」と回ってくるやつ)ありますよね? あれを彷彿とさせます。
秋田では『ババヘラアイス』とも呼ばれるアイスクリン
どのフレーバーも「昔懐かし」といった味わいで、青森の地元で愛されているというのにも納得。くたびれ&火照った体をサッパリと冷やしてくれるアイスでした。
そんなカランカランアイスは「アイスクリーム」「シャーベット」「ジェラート」のどれでもなく、「アイスクリン」。牛乳の代わりに鶏卵や脱脂粉乳などを使ってつくられた安価な氷菓のことで、だからこそ手軽なオヤツとして地域に根づいたのでしょうね。
今ではアイスクリン販売自体が減っているそうですが、高知や沖縄、横浜、倉敷、秋田あたりではまだまだ現役だそう。
そして秋田では「ババヘラアイス」としても有名だそうで。「ババヘラ」の存在は知っていたのですが、アイスクリンが地域によって「ババヘラ」と呼ばれたり「カランカランアイス」と呼ばれたりするのだということは今回初めて知りました。青森ではババアがよそってもカランカランアイス!(すみません)
余談として、今回注文したのは10個入りだったのですが、お願いしていた領収書が同封されておらず問い合わせたところ、すぐに送って下さるとのお返事。そんなに気にもしてなかったのですが、後日すぐに届いたものは……領収書と、アイス5個でした。アレ!??
領収書のおわびに直筆の手紙とアイスが届いた!
そこにはなんと直筆のおわびのお手紙と「アイスは気持ちです。食べてください」の文字が…! いいのォ!? 10個注文して5個オマケついて来ちゃってるけど!?
こういったコラムのため(+趣味で)お取り寄せをしていると、メーカーさんも大小さまざま。お店のなかにはそもそも領収書が非対応だったり、問い合わせても返事がなかったりというのが、ある意味慣れっこでした。そこでまさかこんなに太っ腹対応をしてもらえるとは、申し訳ないやらうれしいやら。
屋台販売のアイスを買いに行っても、笑顔で山盛りアイスをつくってくれそうな、そんな古きよき温かさを感じた1コマでした。アイスなのに温かいとはこれいかに、なんつって。おあとがよろしいようで。(オチもレトロにしてみました)
株式会社金正藤田正紀商店(旧藤田アイス店)
「モナカアイス (おまかせ10個)」1600円 (税込)
日もち ★★★★☆
配りやすさ ★☆☆☆☆
心温まるレトロなアイスクリン ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。