シコシコ歯ごたえがクセになる。鳴門海峡のワカメをおいしくいただく

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(59)】―

女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、徳島県のアンテナショップ「徳島・香川トモニ市場」で見つけた、ワカメを使ったおいしいレシピをご紹介します。

歯ごたえと磯の香りがたまらない「鳴門のわかめ」

鳴門のわかめ

「ワカメ」っておみそ汁の具や酢の物のために常備しておくけれど、そんなに積極的に使わない方が多いのではないでしょうか。灰干しか塩蔵の違いがあるけど、どれも同じ…と思いがち。それが、全然違うのです!

 十数年前、取材で鳴門に訪れたときに昼食で立ち寄った海鮮丼屋さん。ランチの海鮮丼についてきたおみそ汁にびっくりしました! 大きなお椀にワカメだけがぎっしり入って、そこに実なしのみそ汁を注ぐだけ。

 そのワカメを口に入れてさらにびっくり。シコシコのしっかりした歯ごたえと磯の香りがたまりません。添え物程度に入れていたワカメとはまったく違う、正真正銘の「ワカメのみそ汁」。ワカメのおいしさを再発見しました。
 もちろん、そのあとはおみやげで購入、鳴門から取り寄せをしていた時期もありました。物産展で見かければ購入、近くのスーパーでも「鳴門のワカメ」を探して選んでいます。しかし、気軽にいつでも身近にある感じではありません。

 それが徳島県のアンテナショップ「徳島・香川トモニ市場」に行けばいつでもあるとわかって、大喜びです(笑)。

鳴門のわかめ

 ワカメは灰干し、塩蔵と種類がありますが、どちらも好みでいいと思います。戻した後の食感は変わらないかなと(私の主観です)。以前取り寄せていたときは灰干しでしたが、今は塩蔵をよく使っています。アンテナショップではいろいろ揃っていて、今回選んだのは、「鳴門北泊産 湯通し塩蔵わかめ」(391円200g/並川海産)のもの。北泊漁場は鳴門の中でももっとも流れが速く、コシが強い良質のワカメが育つそうです。

鳴門のわかめ

 水でさっと洗ってから浸けて戻すと、4~5倍に。湯通ししなくてもきれいな色です。

鳴門のわかめ

 サラダや酢のものなどは、ワカメの葉脈のようなちょっと硬い芯をつまんでスッと取ると、食感が均一になります。

みそ汁にはいつもの3倍入れて。鳴門のワカメの楽しみ方

鳴門のわかめ

 おみそ汁なら、戻したワカメをざく切りにして、水気を絞ってお椀に入れ、上からアツアツのみそ汁を注げばOK。いつもは添え物のように入れるワカメですが、鳴門のワカメはその3倍入れます。私は油揚げ入りが好きなので、油揚げだけ入れた汁を注ぎます。

 もちろん、鍋に入れても、ドロドロにならず食感を保てるのが、鳴門のワカメの特徴ですが、みそ汁の鍋に多めに入れてしまうと、さらにふやけてカサが増し、よそうのが大変になるかもしれません(笑)。

●アレンジレシピ「キュウリとワカメの酢のもの」

キュウリとワカメの酢のもの

 定番のワカメの酢のものも、キュウリと同等の存在感になって、ひと味変わります! 酢の物やサラダに使うときは、水で戻してからそのままでも使えますが、気になる方は湯通しを。色も鮮やかになります。また私は水っぽいと全体の味が決まらないので、しょうゆ少々をからめて絞って下味をつけるようにしています(しょうゆ洗い)。

【材料】つくりやすい分量
キュウリ…1本
塩蔵ワカメ…適量
シラス干し…大さじ3
A(酢50ml、砂糖…大さじ1)
塩・しょうゆ…各少々

【つくり方】
①キュウリは薄く小口切りにして、塩(分量外)小さじ1/4ぐらいをふり、しばらくおく。水気がでたら絞る。
②ワカメは、さっと洗ってから水にしばらく浸けて戻したら、さっと湯通しし、再度水につけて冷ましてから水気をしぼり、ざく切りにする。しょうゆ少々をふって、さらに絞っておく
③ボウルにAをよく混ぜ、①と②、シラス干しを加えてよくあえる。最後に塩味を調える(キュウリ、ワカメ、シラスの塩分があるのでAには塩を入れていません)。

キュウリとワカメの酢のもの

カボスやユズの皮を器にすると、いつもの酢の物もおしゃれに。

●アレンジレシピ「ワカメのショウガ煮」

ワカメのショウガ煮

 歯ごたえのしっかりした鳴門のワカメなら、さっとショウガ煮にしておくと、サラダに、ご飯のおかずや酒の肴にもすぐ使えて重宝します。好みで赤唐辛子の輪切りを入れてピリ辛にしても。

【材料】つくりやすい分量
塩蔵ワカメ…30g
ショウガ…1片
A(めんつゆ…大さじ1と1/2、酒・みりん…各大さじ1、砂糖…小さじ1、水…大さじ2)

【つくり方】
①ワカメは、さっと洗ってから水にしばらく浸けて戻したら水気をしぼり、ざく切りにする。
②ショウガはみじん切りにする。
③鍋にAを入れて火にかける。煮立ったら②のショウガを入れ、1分ぐらい煮たら①のワカメを加え、全体に混ぜながら煮て、汁気が少なくなったら出来上がり。器に盛って冷ます。

グリーンサラダにワカメのショウガ煮をのせて

 グリーンサラダにワカメのショウガ煮をのせて。しょうゆドレッシングやゴマドレッシングで。

●アレンジレシピ「ワカメとゆで豚にゅうめん」

ワカメとゆで豚にゅうめん

 ゆで豚入りにゅうめんにワカメをプラス。戻したワカメでもワカメのショウガ煮でものせるだけで磯の香りと食感で、満足するおいしさになります。うどんやそばでもどうぞ!

【材料】1人分
豚のショウガ焼き用薄切り肉…70g
塩蔵ワカメ…15g
そうめん…1束
ネギの小口切り…適量
白いりごま…適量
めんつゆ…かけそば用150ml

【つくり方】
①豚肉は、酒少々を入れた湯でさっとゆでる。火がとおったら取り出して冷まし、食べやすく切る。
②ワカメは、さっと洗ってから水にしばらく浸けて戻したら水気をしぼり、ざく切りにする。
③そうめんは少しかためにゆでて、流水にさらしてざるに上げ、水気をきる。
④鍋にそうめんのつゆを入れてひと煮立したら③を入れて温め、器に盛る。豚肉とワカメを盛り、ネギをのせ、ゴマをかける。

「鳴門のワカメ」は東京・JR有楽町駅前にある交通会館1階の「徳島・香川トモニ市場 」で購入しました。

徳島県アンテナショップ 徳島・香川トモニ市場
徳島県アンテナショップ 徳島・香川トモニ市場

撮影・文・料理制作/坂口明子

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案】―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。