寒い季節の強い味方。風邪予防に取り入れたい長野グルメ

寒さがひときわつのる今日この頃。風邪対策が気になる季節です。薬膳アテンダントの池田陽子さんに、長野県のアンテナショップで見つけた風邪予防に役立つ、とっておきのグルメを教えてもらいました。

食の宝庫・長野県の風邪予防におすすめのグルメ

銀座NAGANO
長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」

 中国伝統医学の「中医学」において、風邪予防のためには「気」を補うことが重要とされています。気とは全身のいたるところを流れている、目には見えないエネルギー源。生命活動を維持するエネルギー源である気が不足すると、免疫力が低下し、抵抗力がなくなることによって風邪をひきやすくなってしまうのです。気は体を温める働きも担っています。そのため、冬は寒さによって気が目減りしがち。しっかりと気を補う食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはキノコ類。気をすみやかにチャージして、免疫力をアップする優れた働きがあります。
また、クルミも気を全身に満たし、滋養強壮に威力を発揮。身体を温め、アンチエイジングにも役立ちます。

 薬膳において代表的な食材ともいえる「ナツメ」には、気を補うパワフルな効果が。乾燥させたものが「大棗(たいそう)」の名で、生薬として用いられているのです。ナツメは、花粉症の改善にもよいとされていて、毎年症状が気になる人は、今のうちから取り入れておくのがおすすめ!

 今回は長野の食の幸がそろう長野県アンテナショップ「銀座NAGANO」から、風邪対策におすすめグルメを紹介します。

うま味が強い野生種エノキを使った「なめたけ」

野生種えのきなめたけ
須坂市・キノコ村「野生種えのきなめたけ」(588円)
 
 長野県はエノキダケ生産量日本一を誇ります。昭和初期、日本で初めてキノコの人工栽培に成功した京都の森本彦三郎氏がガラスびんで菌を培養し、エノキダケを栽培。それに興味をもった、松代町出身の県立屋代中学の生物学教師・長谷川五作氏が教えを請い、栽培に成功したのがきっかけとされています。

 昭和30年頃から県の園芸特産課が農家の副業として、普及を促進し、今や全国シェア60%を占めるほどの「一大エノキタケ王国」。農業の柱となっています。エノキダケの加工品といえば、「なめたけ」。銀座NAGANOにもじつに多彩な、なめたけ商品がズラリと並んでいます。須坂市・キノコ村「野生種えのきなめたけ」(635円)は、雪が積もる時季、厳しい寒さのなかでもたくましく成長する「野生種えのき」を使用したなめたけ。

 キノコ村は菅平高原のふもとの自然豊かな環境に農場を構えています。さまざまなキノコを種にあたる「種菌」から、手間ひまかけて栽培。野生種えのきも、山から採取しておがくずに米ぬか、おからなどを混ぜこんだ培地で、しっかりと、その味わいが発揮されるように育てたもの。

野生種えのきなめたけ
添加物は不使用で塩分も控えめ

 野生種エノキは、一般的なエノキと違って濃い茶色で、カサが大きくて軸も太め。調理すると独特のぬめりがあらわれる特徴があります。野生種えのきなめたけは、そのもち味をいかして信州丸大豆しょうゆ、三年熟成みりん、純米酒、米酢とカツオ節・昆布・シイタケのだし、喜界島の粗目糖で仕上げた商品。添加物は不使用、塩分も一般的な商品に比べ60%程度減らしています。

「エノキファースト」で仕上げたなめたけは、食べてみると野生種えのきならではのうま味の強さ、風味のよさがストレートに味わえます。まるでマツタケのような香気あふれる風味にびっくり! しっかりした軸のシャキシャキ感、カサのなめこのようなとろんとした舌ざわりと、食感も楽しい! あっさりとした味つけ、ほんのりした酸味なのでご飯はもちろん、麺類、サラダにと多彩に使えるのも魅力です。

東御のクルミがたっぷり入ったジェノベーゼソース

くるみのジェノベーゼ
東御市・ナチュラルライフままふぁーむの「くるみのジェノベーゼ」(926円)
 
 国内で流通しているクルミは99パーセント以上が外国からの輸入品。そんななか、国産のクルミはとても貴重。長野県東部に位置する東御(とうみ)市は、クルミ生産量日本一を誇ります。
 クルミは明治中期、軽井沢を訪れた外国人によって持ち込まれたとされています。雨が少なく、日照時間が長くて温暖な東御の気候が、良質なクルミの生育に適していたことから、栽培が広まりました。おもに、長野県が開発した殻が薄くて割りやすく、コクがあり実が多く入った「信濃くるみ」が栽培されています。

くるみのジェノベーゼ
地元食材を使うなどこだわりがつまった一品

 そんな東御のクルミをイタリアンで楽しめる商品を発見! 東御市・ナチュラルファームままライフ「くるみのジェノベーゼ」(1000円)は、東御産のクルミをたっぷり使ったジェノベーゼソース。地元の食材にこだわり、おなじく東御の無農薬で育てたニンニク、バジルを使用。添加物は一切不使用で、日本人向けにと「優しい味わい」に仕上げてあります。

くるみのジェノベーゼ
クルミの食感も楽しめる、ジェノベーゼはおすすめ

 バジルが勢いよくさわやかに香るソースはくるみがザクザク! そして細かく刻まれていても、そのコク、甘味、しっとりした食感、雑味のなさが実感できます。まったく輸入品とは異なる味わいに驚くはず! 

 パスタソースとしてはもちろん、バケットに塗ったり、肉や魚のソテーに使ってもおいしくいただけます。

そのまま味わえる、セミドライ仕上げの長野産ナツメ

なつめセミドライ
「なつめセミドライ」(463円)

 薬膳で欠かせない食材ナツメ。国内で流通しているのは、ほぼ中国あるいは韓国のものですが、じつは長野でも栽培が行われています。

 立科町・佐研フーズでは、約30年前から自社農場、契約農園でナツメを無農薬で栽培。日照時間が長く、標高600メートルの澄んだ空気という恵まれた環境で育ったナツメを使った、さまざまな加工品の製造・販売も行っています。

なつめセミドライ
お茶やコンポート、鍋など使い方はいろいろ!

「なつめセミドライ」(500円)は、ナツメをやわらかさが残る程度に乾燥させた商品。一般的な乾燥ナツメより実がフカッとしているので、そのまま食べられます。口に入れてかみしめると、リンゴのような風味、そして素朴で優しい甘さ。ジワジワ体が元気になってくるような味わいです。
 もちろん、お茶にしたり、煮つめてコンポートにしたりもよし。また、スープや鍋ものに入れて使うとほんのりとした甘味がついておいしく仕上がります。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)