絶品スイーツが続々登場。今年400周年を迎える沖縄の黒糖を堪能

サトウキビの生産量日本一を誇る沖縄では、コンビニでも黒糖が売られており、お茶うけやおやつとして、多くの家庭で当たり前のように黒糖が常備されています。食に関する資格を持つ津波真澄さんが、今回は400年の歴史を持つ沖縄県産黒糖の魅力や、新しい楽しみ方ができる場所を紹介します。

大地の恵みを凝縮。栄養たっぷり沖縄黒糖

さとうきび畑

 沖縄は今、サトウキビの収穫期(12月~3月)。製糖工場はフル回転で稼働しています。収穫した2mほどの長さのサトウキビを小さく切断し、圧搾機に数回かけて汁を絞り出し、不純物を沈殿させて濾過した液を加熱して濃縮。その後、攪拌しながら空気を含ませて、冷却したものが黒糖です。つまり黒糖は、さとうきびの汁をそのまま煮詰め、大地の恵みを凝縮したものです。

 一方、ろ過した液から糖分以外の成分を含んだ糖蜜を取り除き、精製したものが上白糖やグラニュー糖、氷砂糖、三温糖などです。これらの砂糖と比べ、黒糖には、体内の水分を調整してくれるカリウムが約550倍、強い骨をつくるカルシウムが約240倍、また精製された砂糖にはほぼ含まれていないマグネシウムや鉄分、亜鉛も含まれています。

個性が異なる8つの島の8つの黒糖

黒糖8種

 栄養豊富な黒糖を製造して県外に出荷しているのは、現在離島8島(伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島)のみ。そして各島の土壌や天候、栽培方法の違いが、それぞれの黒糖に特徴をもたらしています。

 味だけではなく、香りや色、形、食感も異なります。例えば、塩味が強いもの、苦味が強いもの、硬いもの、口の中でほろっと溶けるものなどです。

 現在、この8島の黒糖を詰め合わせたセットが県内外で販売されているので、ぜひ一度食べ比べてみてください。すると、この島のものはこの料理に合う! この島のものはあのお菓子に! これはそのまま食べていたいかな、など、いろいろ想像がふくらみます。私も実際食べ比べてみて、用途によって使い分けるようになりました。

 沖縄県黒砂糖協同組合のウェブサイトには、プロのシェフの味覚分析が掲載されているので、ご自身の感想と比べてみるのもおもしろいですよ。

沖縄黒糖を使った注目スイーツが続々登場

モスバーガー

 沖縄黒糖のおいしさを楽しめる注目のお店をご紹介します。
 沖縄以外の地域でも沖縄黒糖のおいしさを味わえるのがモスバーガー。2023年3月下旬まで、全国の店舗で「焦がしキャラメルラテ<与那国島の黒糖使用>」を販売しています。

 エスプレッソのほのかな苦味と、きめ細やかなミルクフォームの甘味を感じるカフェラテに、与那国島の黒糖を使用したキャラメルソースを融合。キャラメルソースには北海道産バターと練乳が使われており、黒糖のまろやかな甘みを引き立てています。日本の北と南のタッグを味わってみてください。

ゴディバ

 那覇市久茂地にあるデパートのリウボウのゴディバでは、沖縄県産の黒みつを使ったショコリキサーが堪能できます。和の要素をもつ黒みつの甘味と、洋の要素をもつホワイトチョコレートのミルキーな味わいが絶妙の組み合わせ。嫌味のない甘さを持つ沖縄黒糖のよさが引き出されています。さすがゴディバの味わいをぜひ沖縄で!

かき氷

 コンビニにもあります。沖縄のぜんざいは「かき氷」。季節を問わず人気のローカルスイーツです。そして現在ローソン沖縄では、沖縄黒糖を使用したぜんざいを販売中。注文するとその場で削ってくれるので、削りたてのかき氷を食べることができます。

 沖縄ぜんざいには金時豆が入っているのも特徴の1つ。ローソン沖縄のぜんざいには、北海道産の金時豆が使われています。ここでも日本の北と南のタッグですね。こちらの商品、2022年3月に発売したところ、大好評で一時期品切れ状態になっていました。今は安定供給できているようなので、沖縄に来たら、ぜひローソンへ。

カフェ
写真左上から時計回りに「ほうじ茶と黒糖、オレンジのレアチーズケーキ」「黒糖とこし餡のガトーショコラ」「黒糖とりんごのガトーショコラ」「黒糖で旨味UPレモンのミートソースパスタ」(写真提供:kitchen)

 那覇市安里にあるカフェ「kitchen」では、沖縄黒糖を使用したメニューが大人気。スイーツだけではなくパスタにも黒糖を使用したメニューがあります。

 最近は黒糖入り料理を目的に来店されるお客様が増えてきているとか。フードコーディネーターでもある店主のアイデアで沖縄黒糖のよさが生かされたパスタやデザート。沖縄旅行の思い出に立ち寄ってみてはいかがでしょう。

 沖縄での黒糖製造は1623年に始まりました。2023年は400周年の節目の年。県内外でPRイベントもあると思います。この機会に沖縄黒糖に注目してみませんか。

<取材・文>津波真澄

津波真澄さん
広島県出身、那覇市在住。外資系企業などに勤務し、海外でも生活。15年ほど前に沖縄に移住。野菜ソムリエ上級プロ、アスリートフードマイスター1級、インナービューティープランナーほか、食に関する資格を持ち、「沖縄」「環境」「食」の知識や経験をもとに、料理教室を主催。企業やメディアからの依頼でレシピ開発やメニュー監修をするほか、通訳や講演・執筆活動も行っている。美と健康の知識を要するミセスジャパン2019世界大会で第3位(2nd Runner-up)を受賞