パスタも絶品に「アマゾンカカオ×信州食材」でつくる感動グルメ

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第38回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュとして全国で活躍する木村彩乃アナが、世界中、日本中から新進気鋭の銘菓が集まるチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で出合った魅惑の食材をレポートします。

カカオの可能性を広げる日本人シェフの挑戦

筆者と太田シェフ

 サロン・デュ・ショコラはパリで始まった世界最大級のチョコレートの祭典で、日本では毎年1月後半から2月にかけて東京、札幌、仙台、京都、広島、福岡など全国主要都市のデパートで数日に渡り開催されます。毎年欠かさず開催期間は何度も足を運ぶ筆者は、もはやヲタクと言っても過言ではありません。

 今回ご紹介する「アマゾンカカオ」とはペルーの希少な品種で、チョコレートの原材料として知られているカカオの一種にほかならないのですが、「アマゾンカカオ」と名づけて日本に輸入を始めたのは、長野県で予約が取れないレストラン「ラ・カーサ・ディ・テツオ オオタ」を営む太田哲雄シェフです。

 太田シェフはスペインの「エル・ブジ」やペルーの「アストリッド・イ・ガストン」など、海外の一流レストランで10年以上料理人として活躍後、現在は地元、長野でレストラン2店舗を営むほか、今回のようなポップアップイベントに参加されたり、アマゾンカカオや昆虫食の普及にも尽力されています。

 アマゾンカカオは、太田シェフがペルーでカカオ農家を訪れた際、チョコレートは高く売れる一方でカカオ農家の生活は決して豊かではないことを知り、現地から日本に公正な値段で直接仕入れることを決めたそうです。

 カカオ農家の生活をよりよくするとともに、カカオがチョコレート以外に料理の食材としてもすばらしく活用できることを広く普及されています。サロン・デュ・ショコラへの出店もそのひとつ。今では全国各地のパティスリーで使用されるようになっています。

 謙虚な人柄にもファンが多い太田シェフのブースには、世界の有名シェフが集まっていろいろと質問する姿が印象的でした。筆者は2019年に知って以来の大ファンですが、今回の長野県の食材にこだわったプレゼンテーションの素晴らしさにも、なかなか簡単に味わえないことに絶望するほど感動しました。

アマゾンカカオ×信州食材で想像を超える絶品料理

アマゾンカカオをスープにふりかける

 1品目は、長野県の牛、鶏、豚を粗くこした野性味たっぷりのスープに、よくからむ太めのパスタを合わせた「スープスパ」。仕上げにテーブルまで覆いそうなほど削りかけるアマゾンカカオが香り豊かで、ほどよい酸味やフルーティーさがスパイシーなスープに少しづつなじむので、味の変化を楽しめます。

カカオたっぷりのスープ

 厚く大きなバターも丸ごと乗っていて、そちらも徐々に溶けるので、どんどんまろやかになっていきます。まろやかとはいえ、たっぷりのハーブの刺激は弱まらず、ずっとワクワクできるおいしさです。野草で包み10か月熟成させた信州豚のトッピングは品のある甘味で、ひと口目からラスト1滴まで、感動の食体験でした。

パフェ

 2品目は、信州のリンゴ(ブラムリー)のジュレや、白馬の山で放牧している乳牛からの絞りたて牛乳を使ったジェラートやキャラメルムースなど12層のパフェです。カカオハスク(カカオの皮)のジュレは、16時間かけて抽出しています。往復80分かけて浅間山のわき水を汲みに行き、使っているのも太田シェフならではのこだわりです。

信州の天然食材たっぷりの「チョコレート」

サルナシのチョコレート

 サロン・デュ・ショコラでは物販もあり、アマゾンカカオの商品はすべて購入希望でしたが、ほぼ完売で2品のみ買えました。写真左は、太田シェフ自ら山で採っているサルナシの実と山ブドウのコンフィチュールがたっぷり入ったタブレットです。封を開けた瞬間から、カカオの心地よい香りが漂います。

サルナシチョコレートの中身

 サルナシは旬の9~10月に山で採ってから追い熟成しているそうで、「大変そうだから少量かな」と思っていたところ、実が丸々、しかもゴロゴロと入っていました。山ブドウのコンフィチュールは、果汁があふれて甘味、酸味がダイレクトに届きます。カカオニブもたくさんあり、口の中がパレード状態に!

サルナシチョコの凸凹の厚み

 人間にはなぜ歯があるのか?という「原点」を大事にされる太田シェフらしく、タブレットはバリバリボリボリとした食感で幼少期に戻ったように純粋に楽しめます。一方で味わいは大人っぽいので不思議な感覚に陥ります。食べている間は私も山の中にワープしたような気分になれるほど、力強い味わいなんです。これら全てシェフの計算だと思うと、こんなすてなショコラに出会えたこと、味わえることに感謝しかありません。

 サロン・デュ・ショコラで展開された料理や商品はこの場限りのものでしたが、太田シェフのショコラやそのほかのスイーツは、軽井沢にある太田シェフの2軒目のレストラン、「マードレ」やオンラインショップで購入できます。また各種イベントにもご出店されているので、計算されつくした感動の食体験、お勧めです!!

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。

[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第38回:木村彩乃アナ]

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト