山形のソウルフードで春を元気に。アンテナショップで見つけた薬膳グルメ

体調があまりよくないし肌のトラブルも多い…。「そんなときは、体にゴミがたまっているのかも!? 」と、教えたくれたのは、薬膳アテンダントの池田陽子さん。山形県のアンテナショップで買える、体の不調やお肌にいいおすすめのグルメを教えてもらいました。

春におすすめのサトイモ、大豆、こんにゃく

おいしい山形プラザ
山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」

 中医学では健康で美しい体をつくるためには、不足しているものを補い、余分なものは排泄することが大切だと考えます。現代人は、食生活が豊かなぶん「補い過ぎている」傾向があり、毒素や老廃物をついため込みがち。体調不良や、美容面でも肌荒れ、吹き出もの、太りやすくなる、ダイエットをしてもなかなか体重が減らない…といったトラブルを引き起こしてしまいます。

 そんなときはまず、しっかり体内をリセットする食材を取り入れることが大切。おすすめはサトイモ、大豆、こんにゃく。いずれも解毒作用に優れ、体内の老廃物を排出する効果が高い食材です。じつは、春は1年でもっとも「体リセット」におすすめの季節。新陳代謝がアップして、冬の寒さに耐えるために蓄積した栄養物をいったんリセットするために、体が老廃物を追い出そうとするんです。効果的に不要なものを体内から追い出しやすい、デトックスに最適のタイミング。新しい季節をスッキリした身体で迎えましょう。

 今回は山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」から、体リセットにうれしい食材を使ったグルメをご紹介します。

うま味と甘味がピカイチ!「秘伝豆」の浅漬け

秘伝豆浅漬
漬物店「佐徳」の「秘伝豆浅漬」(540円)

 山形を代表する豆といえば「秘伝豆」。おもに山形県をメインに栽培されている品種で、皮、中も薄緑色の色合いをしています。栽培が難しいため生産量が少なく、収穫時期も短い希少な豆は身のはりに優れ、甘味が強く香り豊か。秘伝豆の名は「人に教えたくないほどおいしい」ことに由来するとされているほど。地元では、塩ゆで、煮豆、豆ご飯などで食されています。

秘伝豆浅漬
おかずにもおつまみにもぴったり

 創業145年を誇る鶴岡市の漬物店「佐徳」の「秘伝豆浅漬」(540円)は、秘伝豆のおいしさを年中堪能できる商品。製造はすべて手作業で、化学調味料や保存料・着色料は一切不使用です。秘伝豆は「ほどよく固い」くらいの、絶妙な加減にゆであげて使用。秘伝豆ならではの風味を引き立てるために、昆布とカツオ節で丁寧にとっただしをきかせた特製のタレに漬けこんであります。

 風味豊かなだしがしみた秘伝豆は、驚くほどコリコリとした食感。そしてほかの豆にはない、独特の深みのあるうま味と甘味に驚きます。漬物といっても、塩気が強いわけではなく極めてナチュラル。秘伝豆そのもののおいしさを存分に引き出した味わいに仕上がっています。また、タレに入っているリンゴ酢のほんのりした酸味であと味も爽快。とまらなくなること間違いなし!で、おかずにもおつまみにもぴったりです。

山形のソウルフード、絶品「玉こんにゃく」

玉こん 味付
長井市・平野屋の「玉こん 味付」(324円)

 じつは、山形県はこんにゃくの消費量が日本一。その大きな理由は、県民が愛してやまないソウルフード「玉こんにゃく」にあります。3センチほどの丸いかたちをしたこんにゃくを、しょうゆで煮つけてお団子のように串に刺したものは、スーパーやコンビニに並び、お祭りやイベントの定番です。

 玉こんにゃくの発祥は「宝珠山立石寺」、通称「山寺」といわれています。平安時代に開山した慈覚大使が、中国からこんにゃくを持ち帰り地域に広めたとされています。

玉こん 味付
一度食べるとやみつきになるおいしさ

 山形おいしいプラザで高い人気を誇るのが長井市・平野屋の「玉こん味付」(324円)。創業130年を誇る平野屋は、西は朝日山系、東は出羽丘陵に挟まれ、その間を最上川が流れる自然豊かなロケーションでこんにゃくを製造。玉こんには、こんにゃくイモのなかでも、最高品質の国産特等こんにゃく粉を使用。ミネラル豊富な地下水で、高度18という超軟水を加え、きめが細かくなめらかで、弾力のある玉こんにゃくに仕上げています。

「玉こん味付」は、しょうゆをベースに魚介エキスやカツオ節を加えた、特製のタレでじっくり煮込んであります。コロンと愛らしいかたちの玉こんはプリッとしているのに、なんともしなやかできめ細やかな食感。こんにゃくにありがちなジャリっとした感じや雑味はゼロ! 濃すぎず薄すぎずほどよい味つけのダシがジワッとしみこみ、ホッとするやさしい味わい。一度食べるとやみつきになるおいしさです。冬は温めて、夏は冷やして食べるのがおすすめです。

本場の「芋煮」をおうちで楽しむ

山形の芋煮
山形市・まるい食品の、「山形の芋煮」

 山形ならではの郷土料理といえば「芋煮」。肌寒くなってきたころに、あちこちの河川敷で多くのグループが芋煮鍋を囲む「芋煮会」の風景は、まさに山形の秋の風物詩です。地域によって味つけや具は異なりますが、おもにサトイモ、牛肉か豚肉、こんにゃく、ネギを煮込むのが基本。その歴史はさまざまな説がありますが、江戸時代に京都から最上川上流に荷物を運んできた船頭たちが、地元のサトイモと積み荷の棒鱈を煮て食べていたことがルーツといわれています。

山形の芋煮
「内陸版」と「庄内版」の2種類で食べ比べができるのも魅力

 本場ならではの味わいを気軽に楽しめるのが、山形市・まるい食品の「山形の芋煮」。レトルトパック入りの芋煮で、あたためればすぐおうちで芋煮会気分が楽しめます。山形県産牛肉、サトイモ・長ネギ、こんにゃくなどをしょうゆベースで煮込んだ「内陸版」と山形県産豚肉、サトイモ・長ネギ、ゴボウなどをみそ仕立てで仕上げた「庄内版」の2種類を用意。食べ比べができるのも魅力です。

 今回は、内陸版をいただいてみました。レトルトを温めて、器に盛りつけるとザクザク具だくさん。牛肉のうま味があふれたコクのあるダシがしみこんだ、具材のおいしさったら! とくにとろけるようなサトイモのホロっとした食感に感動! レトルト入りですが、山形で食べた芋煮の味わいそのもの。

 素朴ながら肉、野菜、こんにゃくなどが醸し出す奥深くまろやかな味わいが楽しめます。しみじみと、心も身体も温まるはずですよ!

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)