なんだか最近、腰が痛い、だるくて重い…。そんなときには食べるものを変えるだけで、痛みやだるさの改善が期待できると教えてくれたのは薬膳アテンダントの池田陽子さん。香川県のアンテナショップで買える、腰痛改善グルメを教えてもらいました。
中医学ではイワシは「腎」に効果あり
中国伝統医学の「中医学」において腰痛は、老化、骨と髄をつかさどる臓器「腎」との関係が深いと考えます。腎の働きが低下すると腰痛、腰が曲がる、足腰に力が入らない、骨がもろくなるなど下半身が弱りやすくなることも。改善のためには、腎の働きを高めることが大切です。腎のパワーをアップするのに役立つのがイワシ。腎に作用して足腰を強めます。また、海藻類も弱った腎をサポートしてくれる食材です。
今回は、香川の食の幸がそろう「香川・愛媛せとうち旬彩館」から、腰痛改善に役立つグルメをご紹介します。
海のビーフジャーキーのような絶品イリコ
香川が誇る「讃岐うどん」のだしに欠かせないのがイリコ。観音寺市沖に位置する伊吹島はイリコの特産地。カタクチイワシの水揚げ量が多く、イリコの生産が盛んな「イリコの島」として知られています。加工されたものは「伊吹いりこ」の名前で、その品質が極めて高く評価されているのです。
おいしさの秘密は漁場と加工場が極めて近いこと。イリコづくりは鮮度が決め手です。伊吹いりこは、漁獲から加工まで網元が一貫して行い、水揚げされたカタクチイワシはすぐに海水氷に入れ、高速運搬船で運ばれ、フィッシュポンプで加工場に搬入。なんと約30分以内に加工されます。
高松市・大久の「伊吹いりこ」(大/780円)は、香川・愛媛せとうち旬彩館でも大人気の商品。ピカピカの美しいイリコは、だしをとれば、じつに豊かな香り、こっくり深みのあるうま味がじんわりしみる上質な味わい。そのまままるごと食べても美味。えぐみやくさみはいっさいなく、かむほどにじわじわと深いパンチのあるうま味があり、魚を食べているというより「肉????」というほど。たとえるならまるで「海のビーフジャーキー」。だしをとる前に食べつくしてしまいそうな絶品イリコ、ぜひお試しを。
小豆島の癒やし系のりの佃煮
瀬戸内海の小豆島の特産品といえば、しょうゆ。その歴史は400年前にさかのぼり、大阪城築城の採石部隊が小豆島を訪れた際に、紀州湯浅のしょうゆを持ち込んだことがその始まりとされています。今も伝統の木桶仕込みのしょうゆづくりを行う蔵が多く、深い味わいが魅力です。そしてしょうゆの伝統をもって小豆島のもうひとつの特産品となっているのが「佃煮」。厳選した海産物を使い、一般的なしょうゆよりも濃厚で香りのよい小豆島のしょうゆが味の決め手となった佃煮は、全国的にも高い評価。
小豆島町・亜味選の「小豆島生炊きのり」(500円)は、小豆島沖で養殖されている希少な「あまのり」だけを使った佃煮。もちろん小豆島内の老舗しょうゆ蔵の丸大豆しょうゆを使用。職人が素材のうま味を最大限に引き出すべく温度、時間を微妙に調整しながら釜で丁寧に炊き上げています。乾燥させていない生のりを使っているので、磯の風味が濃く、繊維がのこりとろりとした食感。そこにこっくりしたまるみのある味わいのしょうゆが加わり、なんともまろやか。ご飯にのせると思わず笑みがこぼれるような幸せマッチング! 炊き立てご飯のお米の甘味が際立つような、ホッと癒やされる佃煮です。
ところてんの概念が変わる逸品
香川・愛媛せとうち旬彩館で初夏のころから、とりわけ高い人気を誇るのが、坂出市・清水屋の「八十八名物 ところてん」(213円)。清水屋は、1764年に創業。街道増に位置し、山々の木々の中、霊験あらたかと伝えられるわき水「八十八の霊泉」のそばにたたずむ峠のお茶屋さんです。近くには四国霊場第79番札処でもある天皇寺もあり、江戸の頃から、お遍路さんや旅人に愛されてきたという歴史があります。
創業当初からメニューは「ところてん」のみ。原料は国産、産地を厳選した海女さんが春摘みした最高級とされる「天草」のみを使用し、手作業でつくり上げます。平釜でじっくりと数時間炊き込み、水にさらして翌日、突き立てを提供しています。
「八十八名物 ところてん」は、お店と変わらぬ味わいが楽しめます。スーパーで買うところてんは、クセがあったり固いつるつるしたものだったり、というイメージがあるかもしれませんが、こちらはまったく別モノ! 固すぎずほどよいコシ、やわらかな舌ざわり、プリンとしたかみごたえ。単一ではなく「表情がある」ところてんです。天草の風味が残り、きちんと味わいがあるので添付のタレも少しで十分。ところてんの概念が変わるおいしさ。香川・愛媛せとうち旬彩館では、酢じょうゆ、ごまだれ、柚子みつの3種類を販売しています。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)