―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第58回:木村彩乃アナ]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在は食専門の話し手として全国で活躍する木村彩乃アナが、生まれ育った千葉市の新名物、竹炭グルメをレポートします。
需要がなくなった竹材を竹炭グルメに
千葉市には東京ドーム34個分にもなる約160haの広大な竹林があります。もともと竹材として利用されていた竹林は、時代とともに需要が減り、管理が行き届かなくなったことによる弊害が発生するようになっていました。
竹が低い樹木を圧迫して枯れさせてしまったり、農作物を荒らすイノシシなどのえさ場や隠れ場所になってしまうというのです。
千葉市と千葉市観光協会は、同エリアで推進しているグリーンツーリズムの一環で農業者から竹を「竹炭(ちくたん)」として利用することを提案されたことを機に、地元の飲食店と協力して、竹炭を活用した「竹炭グルメ」を開発することにしたそうです。
竹炭はパウダーとして食用に使用することができ、竹炭グルメが普及すれば、放置された竹林をいかす方法が増えて一石二鳥。この千葉市産の竹炭パウダーを使った「竹炭グルメ」を食べられる飲食店は徐々に増え、今では千葉市内に10軒以上あるそうです。
竹炭グルメは無味無臭
千葉市役所が開催する「ちばフェアトレードマーケット」で「竹炭グルメ」が食べられると聞き、行ってきました。まずは千葉市中央区鶴沢町のパン屋・クロワッサンフレールの手づくりパン「フォカッチャ セミドライトマト&チーズ」。黒いパンは見慣れずドキドキしつつも、いざ、実食!
ふわりとやわらかく、オリーブオイルが香り、チーズのうま味やセミドライトマトの酸味が良い感じです。ニンニクも効いていておいしい。竹炭の味はというと、無味無臭と聞いていましたがそのとおりでした。
続いて「竹炭マドレーヌ」です。1食目で竹炭は無味無臭であると納得したとはいえ、真っ黒な塊なのに食べるとマドレーヌの味なことがちょっぴり不思議で楽しい食体験です。ちなみに竹炭だけでなく、卵やはちみつも千葉県産という、地場食材にこだわったマドレーヌでした。
竹炭パウダーはミネラルの補給やデトックス、便秘解消などの効果があるそう。疲労回復・アンチエイジングにもいいという真っ黒な「恋するスムージー」も気になるところです。
ホテルの本格中華にも真っ黒な竹炭料理
本格中華料理店でも竹炭グルメがあると聞き、「京成ホテルミラマーレ・中国料理 景山」へ伺いました。
料理長の若林竜也さんに、なぜ竹炭を使うことにしたのか聞いてみたところ、「竹害の多い若葉区出身なんです。地元が被害にあっていると知り、なにか役に立ちたい、きっかけになりたいと思い、レシピ開発に取りかかりました」とのこと。
これまでもジビエなど千葉県産の豊富な食材や新たな技法を取り入れた料理に挑戦してきた料理長ですが、竹炭は手やコックコートが真っ黒になってしまったり、炭が水を吸収してしまうのか、これまでとは違う水分調整が必要となったり、試行錯誤があったそう。それでも地元愛からなんとかスタートできたとのことでした。
最初の料理は「竹炭香辣炒飯~黒鬼~」。運ばれるときからいい香りが漂い、期待大です。料理が到着してまず思ったことは……かっこいい!でした。今までも黒い食べ物は珍しくてワクワクするとは思っていましたが、景山のチャーハンは黒がスタイリッシュでかっこよく映ったのです。
料理長に伝えると、「色味にはこだわりました。ただ真っ黒にするのではなく赤を添えて、なじみがない食材を使うからこそ、どうしたらおいしそうに見えるかと考えました」とのこと。黒ければ黒いだけおもしろいと思っていた概念が覆された一皿です。
さらに味わいはホテルクオリティの本格的なおいしさ。パラパラ食感のお米、各具材の食感、そしてなにより味に深みがあり、食べる喜びを感じられます。景山の通常チャーハンももちろんおいしいのですが、黒鬼は四川料理店らしく辛味もしっかりきいていて、筆者はリピート確定です。
じつは「2人前と間違えてませんか?」と聞いてしまうほど量が多かったのですが、あっという間にペロリと完食していました。
続いて「竹炭芝麻球~漆黒~」。一見、黒ゴマで黒く見えている風ですが、生地も真っ黒だからより黒さが際立っています。こちらもかわいさより、かっこよさが目立ちます。サクッとした生地、かむ度に広がる香ばしさ、それを再び包み込む生地のやさしさがくせになります。中身も中華あんのため真っ黒でした。
最後は「竹炭蜂蜜杏仁豆腐~杏黒~」。残念ながらこちらは3月で終了してしまったのですが、筆者のイチオシでした。グレーに見える杏仁豆腐をすくうと真っ黒な杏仁豆腐が出てくるのがおもしろく、なにより味が楽しい。竹炭の消臭効果を実感できて、杏仁が消えているようにも思うのですが、ふわりと感じられる瞬間があり、口の中での変化が大変、興味深いスイーツです。
杏仁豆腐用のシロップに千葉市産はちみつも合わせていて、サラッとしているのですが、ときどきはちみつのコクが姿を表します。楽しく、おもしろく、おいしく、考えているうちに食べ終わってしまいました。竹炭グルメのイベントでは400個が即完売したことにも納得です。
ちなみに杏仁豆腐の副題は「杏黒」。「暗黒」ではないのがポイントですね。料理長は「おいしくつくるのがいちばんですが、それだけではありません。地元のために、知ってもらうために名前にもこだわりました」というとおり、1品1品、副題がついています。
料理長の料理をきっかけに竹炭グルメを始めた仲間もいるそうで、筆者も食べ歩いてみようと思いました。夏休みにぜひ、千葉市の「竹炭グルメ」はいかがですか。イカ墨のように歯が黒くなってはいないので、デートでも安心して食べられますよ♪
<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。
―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第58回:木村彩乃アナ]―
地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト