暑い日が続く夏は、旬の食材で夏バテ予防したいもの。そこで今回は薬膳アテンダントの池田陽子さんに、滋養強壮にぴったりの食材・アユを使ったとっておきグルメを教えてもらいました。
夏バテ撃退にもうれしい岐阜県のアユグルメ
夏を代表する川魚といえばアユ。アユは薬膳において滋養強壮に優れ、パワーアップに役立ちます。食欲不振の改善にもよく、体内に停滞した水分を追い出しす作用も大。まさに高温多湿の日本の夏をのりきるために、うれしいお魚なのです。
今回は、全国でも有数のアユの産地として知られる岐阜のアンテナショップ「岐阜トーキョー」から、とっておきアユグルメを紹介します。
夏の晩酌にぴったりな稚鮎(ちあゆ)の甘露煮
県内各地に清流が流れる岐阜県の県魚にもなっているアユ。夏場は、鵜飼などのアユ漁やアユ釣りが盛んで、観光ヤナはアユ料理を楽しんだり、アユ漁を体験したりする人々でにぎわいます。
「日比谷OKUROJI」内にある「岐阜トーキョー」には、絶品のアユグルメが豊富。飛騨市で川魚の養殖・加工を行う「さわ」は、清らかな水に恵まれた奥飛騨で育ったアユ、イワナ、ニジマスなどを素焼きにして、甘露煮にした名物「ぼっか煮」で知られています。
「風味絶桂 稚鮎」(100g・864円)は、稚鮎を飛騨産の山椒とともにやわらかく煮上げた商品。稚鮎とは、その名のとおり成魚になる前の小さなアユ。4~8cm程度で、骨はやわらかくまるごと食べることができます。小さいながらも、アユ独特の香りを備えた稚鮎をしょうゆ、砂糖、酢などを入れて煮汁がなくなるまで、長時間かけてじっくり煮込みます。やわらかく、薄味で仕上げた稚鮎は、なんとも上品な味わい。やわらかな身はほろ苦く、清々しい風味が楽しめます。ピリッときいた山椒がアクセントになって、日本酒のおつまみにぴったり。夏の晩酌にふさわしい一品です。
タレとほろ苦さの塩梅が絶妙な、おつまみ小アユ
明治10(1877)年創業、長良川鵜飼の土産品などの製造・販売を行っている岐阜市「鵜舞屋」。長良川のアユなどを使った加工品は、お中元などの贈答品としても高い人気を誇ります。アユはオス、メスごとに育った地域まで指定して仕入れ、使用する原材料は北海道産厚葉長昆布など厳選した国産品のみを使用するというこだわりぶり!
「うまつま! 小鮎やわらか煮 柚子風味」(646円)は、小アユをじっくりと調味料で炊き上げた商品。昔ながらの佃煮は水あめを使って、硬く煮つめたものが多いなか、しょうゆ、本みりん、砂糖、ショウガとともにじっくり煮込んで、その名のとおりやわらかく仕上げてあります。小アユの微妙な大きさの違いにあわせて、職人が丁寧に炊き加減を調整しで仕上げ、タレの甘さと小アユのほろ苦さの塩梅が絶妙。ユズの風味が加わって、日本酒が思わずすすむ味わいです。スタイリッシュなパッケージで、ホームパーティなどの手土産にもぴったり。
子もちアユのプチプチ卵がたまらない、しぐれ煮
岐阜トーキョーで高い人気を誇るのが、子もちアユを使ったアユグルメ。大垣市で、7~10月だけ季節限定でオープンする料理店「十六兆」の「子持ち鮎しぐれ」(90g・1275円)です。店主自ら養殖した絶品のアユ料理が堪能できる名店が試行錯誤の上、完成させたのだそうです。
オリジナルのいけすで育てた、しっかりと運動して身が引き締まり、藻を食べて香りもバツグンの子もちアユを使用。炭火焼きにしてから、骨をはずして身と卵を、エゴマとともにしょうゆ、酒、みりん、ショウガ、はちみつ、ユズをブレンドした調味料で煮込みます。煮汁がこっくりと浸み込んだ身のうま味、卵とエゴマのプチプチ食感が楽しいしぐれ煮は、ユズの風りもよくクセになるおいしさ。そのままおつまみに、ご飯のおともに。お刺身とあえると、粋な酒肴としておすすめですよ。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)