毎日暑くてぐったり、夏は体力を消耗する季節です。そんな夏こそおいしい食べ物で元気をだしたいもの。そこで薬膳アテンダントの池田陽子さんに、体から熱を逃がして夏バテを防ぐおすすめグルメを教えてもらいました。
夏の疲れた体にうれしい岐阜グルメ
夏は、汗をかくことで元気の源である「気」も一緒に排泄されてしまうため、だるい、やる気がないといったいわゆる「夏バテ」の症状を引き起こしてしまいます。夏を乗りきるために、まず大切なのは体にこもった熱を冷ます食材をとること。中国伝統医学の中医学では、すべての食物には体を温めたり、冷やしたりする作用があるとしています。夏の暑気払いには「寒涼性」の食材が効果的。おすすめはトマト。体内にこもった熱を冷ますとともに、汗で失った水分を補う働きがあります。また、手軽に飲み物でクールダウンするなら緑茶がおすすめ。さらに、失われた気を補う食材を取り入れると効果的で、大豆、大麦、はと麦などがおすすめです。
今回は岐阜アンテナショップ「岐阜トーキョー」から、夏バテに役立つグルメをご紹介します。
トマトをまるかじりしたような絶品トマトジュース
岐阜県飛騨地域は、日本でも有数のトマトの生産地。3000m級の山々に周囲を囲まれた飛騨は、冷涼で昼と夜の寒暖差が大きく、山からミネラル豊富な水が流れ込むというおいしいトマトの栽培に適した環境。しっかりとした実質でうま味、甘味、酸味のバランスに優れた味わいのトマトに育ちます。高山市丹生川町に位置する「寺田農園」は、「子どもが笑顔になるようなトマトづくり」をテーマに、トマト本来の味合いを引き出す、健康で栄養をたっぷり含んだ夏秋トマトを栽培。シーズンとなる7月下旬~10月頃に、樹で熟した「樹熟」の状態で収穫されたトマトはみずみずしく、絶品。寺田農園ではその味わいを存分に堪能できるジュースも加工・販売しています。
「庄兵衛さん家のとまじゅう 桃太郎」(180ml 360円)は、酸味と甘味のバランスのよい大玉トマト「桃太郎」を使用。樹で真っ赤に過熟した朝どれのトマトを新鮮なうちに、スピーディに加工場へ搬入。塩や添加物は一切不使用、特殊な方法で酸化を防ぐこだわりの製造方法で、トマト本来の香り、コク、うま味が味わえるジュースに仕上げています。飲んでみると、しっかりしたコクがあるのにあと味はスッキリさわやか。まさに、鮮度バツグンのトマトをかじったときのあの感じが、再現されたようなトマトジュース! 飲むたびに、ジワジワとカラダが元気になっていくような「ナチュラルで健やか」な味わいです。口あたりがよくクセもないので、トマトが苦手でも「このジュースなら大丈夫」という人が多いというのもうなずけます。
美濃いび茶のおいしさを満喫できるグリーンティー
お茶処でもある岐阜県。美濃・飛騨の豊かな自然のなかで育まれた「美濃茶」が生産されています。揖斐川・長良川・木曽川の3つの川によってつくられた濃尾平野が広がり、一方は揖斐川源流部の山々に囲まれた西美濃地域は、「美濃いび茶」の産地。さわやかな香気で、甘味の強さが魅力の銘茶はおもに池田町・揖斐川町で栽培されています。池田町「瑞草園」は、明治14(1881)年に創業した歴史ある茶舗。初代である五十川源左衛門は、開港したばかりの神戸港に赴いて販路を拡大したり、朝鮮半島まで販路開拓に務めたりと美濃いび茶の名を広めるために尽力した人物です。瑞草園は創業以来、製茶問屋としての加工・販売に加えて京都から茶師を招いて農家へ技術を提供するなど、優れた茶葉の生産にも力を注いでいます。
ひとつひとつの茶葉から、豊富な知識、経験に裏づけられた技術で火入れ、ブレンドを見極め、年間をとおして安定したおいしい良質なお茶を提供。明治神宮への献茶、農林大臣賞受賞など高い評価を得てきました。最近では、お茶へのなじみが少なくなっている若い人や幅広い世代に向けてお茶の魅力を発信するべく、道の駅池田温泉に直営店をオープン。茶葉のみならず、お茶をアレンジしたドリンク、スイーツなども提供し、好評を博しています。
「グリーンティー」(100g・750円)は、一番茶抹茶を使用した、水でも簡単に溶ける加糖抹茶。山間を思わせる豊かな香気、甘味でも苦味でもない独特のコクがあるという、美濃いび茶の魅力を気軽に堪能できます。どこか懐かしい温かみをたたえた山吹色のグリーンティーは、グラデーションのある豊かな風味。コクがありつつも、まるみがある優しい味わいであと味もなめらかでスッキリ。ギラギラした日差しに疲れた夏の午後に、ホッと癒やされます。
岐阜トーキョーでは8月からカフェメニューとして、ミルクで割った「グリーンティーラテ」が発売され人気です。グリーンティーをお湯または水で溶かしてミルクを加えれば完成。奥深く、マイルドな味わいでおすすめ。ぜひ、試してみて。
手が止まらなくなるみそ味のせんべい
飛騨高山地方の郷土料理といえば「朴葉みそ」。朴の葉で焼いたみそはご飯のとも、酒のつまみとして愛されています。そのほか、みそと砂糖を混ぜた甘辛い生地にネギを絡めて揚げた「みその天ぷら」という隠れた名物料理もあります。
そんな食文化がある飛騨で、人気を博しているのが飛騨市古川町「井之廣製菓舗」の「味噌煎餅」。白壁土蔵や昔懐かしい古い建物が並ぶ弐之町通りに明治40(1907)年創業。3年間熟成させた自家製みそ、飛騨産さくらたまご、飛騨産コシヒカリをはじめすべて国産原料を使用。創業当初より変わらぬ製法で1枚1枚焼き上げた、味噌煎餅は地元で愛されてやまない逸品。お土産にも大人気です。優しい甘さで、薄目でパリパリした味噌煎餅は食べだすと止まらなくなる味わい。
最近ではベーシックな昔ながらの味噌煎餅に加えて、多彩なトッピング、見た目にもおしゃれなアレンジ商品も展開。「岐阜トーキョー」でも人気を博しているのが「野草グラノーラ入り味噌煎餅」(670円)です。味噌煎餅に地元「かわい野草研究グループ」が開発した、飛騨の野山に自生する野草や薬草を手づみして天日乾燥させたグラノーラをたっぷりトッピングしてあります。野草グラノーラは大麦、はと麦、桑の葉、クコの葉、ドクダミ、スギナ、エゴマなどに大豆や、オーツ麦、レーズン、ヒマワリの種、アーモンド、白ゴマなどをブレンドしたもの。素朴で軽い口当たりの味噌煎餅に、ザクザク楽しい食感、ひとつひとつの素材がもつ滋味があふれる豊かな風味のグラノーラの相性はバツグン。おやつにも、ワインのおつまみにもぴったり。良質なカカオを使ったホワイトチョコ、ブラックチョコの2種類があります。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)