総面積の約93%が森林、そのうちの約7割が広葉樹林という岐阜県飛騨市。飛騨米や飛騨牛、鮎、野菜など、豊かな食を生み出しています。そんな飛騨市の生産者と地元店のコラボによる「飛騨市まるごと食堂」が2023年9月30日まで開催中。スタンプラリーなどのイベントも合わせてご紹介します。
飛騨市の食の魅力を発信する「飛騨市まるごと食堂」
「広葉樹の森が生み出す豊かな水と飛騨の気候の特徴である寒暖差が、飛騨市の豊かな食を生み出しています。『飛騨市まるごと食堂』は、とれたての新鮮な農産物を、飛騨の料理人が腕によりをかけた1品を味わえる期間限定のイベントです。今は、糖度の高いトマトやズッキーニなど夏野菜がもっとも輝く季節。ぜひこの機会に飛騨市を訪れてください」(飛騨市役所農林部食のまちづくり推進課・上野力哉さん)
「飛騨市の食の魅力を国内外にPRしよう」との試みから、2021年に「飛騨市食の大使」に任命されたのが、工藤英良氏。カナダ・中国・フランスの3カ国で10年間、公邸料理人として世界各国の賓客に和食を提供してきた料理人です。飛騨牛の生産現場や米農家などを訪れ、生産者と自然との共生に感銘。飛騨の食材を使った料理動画の公開や「まるごと食堂」などイベントの協力など、飛騨の豊かな食材を世界中に発信するサポートを行っています。
飛騨の風土と水が育むグルメの宝庫
水資源の豊富さも飛騨のおいしい食材を生み出す秘訣。冬の間に飛騨の山々に降り積もった雪はやがて解け、250本以上もの谷川となって市内を流れます。市内農地の9割がこの谷川(支川)からの取水。ミネラル豊富な水がおいしい農作物を育てているのです。
サシが細かく、柔らかく、とろけるようなうま味の「飛騨牛」。市内を流れる谷川の水を1日20~40㎏飲んでいるそう。また、飛騨の米をエサにし、お姫様のように育てられた「飛米牛(ひめぎゅう)」は、味わい深い赤身肉が特徴。脂身の甘味と肉のうま味のバランスが絶品と評価されています。
26メニューが登場する「まるごと食堂」in 飛騨
飛騨市内の農家と飲食店がコラボし、期間限定の特別メニューを提供する「飛騨市まるごと食堂」。9月30日(土)まで、飛騨市内の飲食店21店舗で、26の限定メニューが味わえます。
オーガニック野菜を使用した、「喫茶あん」の「まるごとトマトの夏野菜スープカレー」をはじめ、朝一番で行かないと売りきれてしまうほど人気の「前田本店」の「旬の果実フルーツサンド」(水・土限定)など。
ほかにも、糖度の高いトウモロコシとトマトの酸味が絶妙な「茶屋丸」の「カミオカスターコーンの甘さが引き立つ トマトクリームパスタ」、あまっこ・カナリア・ブラックチェリーの3種のトマトが彩る「福全寺蕎麦」の「長尾農園の3色トマト蕎麦」など、おすすめメニューがずらりとそろいます。
また、「飛騨産直市そやな」をはじめとする市内農産物直売所3店舗と、「飛騨市まるごと食堂」参加飲食店を含めたスポットで、豪華賞品が当たるスタンプラリーも同期間展開中。
2022年7月に「道の駅アルプ飛騨古川」内に移転オープンした「飛騨産直市そやな」は、新鮮野菜や果物などのお土産入手には欠かせない店舗です。
「こちらは、名物店長『トマト店長』のいる直売所。農家さんから届く、朝どれ野菜などが並びます。高品質の農作物はもちろん、季節毎の旬の新鮮な食材を購入できますのでぜひお立ち寄りください」(上野さん)
東京都内でも楽しめる「まるごと食堂」と産直野菜
飛騨の生産者と東京都内10店舗の飲食店がコラボした「首都圏版飛騨市まるごと食堂」も、9月30日(土)まで展開中です。
武蔵小山のワイン&ビストロ「Eme」で味わえるのは、ソヤ畦畑のオーガニック野菜を使った「飛騨野菜のポワレ~発酵トマトとえごまの香り~」。甘味や酸味が味わえるワクワクする1皿です。
西小山のイタリアン「Cizia」で出会えるのは、飛騨産のトウモロコシを生地に練り込んだイタリアの伝統料理「夏野菜のとうもろこしを使ったピアディーナ」。トマトとスイカで作ったソースの酸味がとうもろこしの甘さを引き立ています。
2023年8月から毎週金曜日に、「中部地方インフォメーションプラザin京王新宿」で飛騨市の採りたて旬野菜を販売。自然のうま味が凝縮した飛騨の食材を使って、おうちご飯を楽しんでも。
取材協力/飛騨市役所農林部食のまちづくり推進課
<取材・文>寺川尚美