ほっとする優しい甘さ。青森の「りんごしろっぷ」は料理にも使えて便利

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第60回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツアナウンサーとして活躍する木村彩乃アナが、青森県の老舗和菓子屋の紅玉リンゴのシロップやスイーツをレポートします。

地場産リンゴを無駄なく使うお菓子づくり

リンゴ商品と木村アナ

 日頃からまだ知らないスイーツとの出合いにアンテナを張り巡らせている筆者が今、大注目しているのが、青森県の「りんごしろっぷ」です。商品の魅力は後述しますが、開発、製造するのは大正7(1918)年創業の「おきな屋という老舗和菓子店。

 創業当初は、おはぎ・団子・大福もちなどの生菓子を製造販売しており、昭和3(1928)年、2代目が白あんとリンゴを混ぜ合わせた「りんご最中」を発案し、その後、洋菓子部門を立ち上げて青森のリンゴを使った和菓子・洋菓子を手がけているそうです。

 代表取締役社長である阿部淳之輔さんにお話を伺うと、「和洋菓子に扱うリンゴは一切、無駄にしません。お菓子ごとにリンゴの魅力を最大限に引き出しています。青森だからこそできることです」とのこと。控えめながらも、目の奥から愛情と自信が感じられます。

 地元名産のリンゴをいかすことを第一に、和菓子にとらわれない斬新な発想での商品展開に筆者は興味津々、さらに、1つ1つのリンゴを余すことなく活用する取り組みにもひかれました。

 実際、アップサイクルには強いこだわりをもち、以前は年間7tものリンゴを煮た液を廃棄していたそうですが、現在は菓子原料やシロップとして販売することで、廃棄量はほぼゼロに近い状態になっているそうです。

ドリンクから料理までおいしくなる「りんごしろっぷ」

リンゴシロップ

「りんごしろっぷ」は、りんごのうま味がつまった煮汁を再加工した商品です。材料は青森県産紅玉リンゴの煮汁と砂糖のみ。自家製ナチュラルフルーツシロップというと高そうですが、350mlで594円というお手頃価格も魅力です。

リンゴシロップ

 口に含んだ瞬間、ふわっと一瞬リンゴの香りが立ち上がります。少しトロミがありますが、比較的サラっとしています。派手さはありませんが、気持ちがほっと落ち着き、つい笑顔になってしまう、そんな味わいです。蜜のようにしっかり甘さがあるので、用途はいろいろあります。

りんごシロップドリンク

 まずはドリンク。紅茶や炭酸・牛乳・お湯・水・酢など、なんにでも合います。子どものころ、体調が悪くなると母がリンゴをすって食べさせてくれていた、温かい思い出がよみがえるような味わい。

肉や煮物にもシロップを活用

 そのままヨーグルトやホットケーキ、パンにかけてもいいですし、カレーの隠し味にもピッタリです。お店の方に「煮物にも合いますよ」と教えてもらい、入れてみたらあら不思議、深みが増しました! また、ショウガ焼きやスペアリブに使うと、肉がやわらかくなった気が。次は魚にも合わせてみようと思います。

 青森の喫茶店では「抹茶クリームあんみつ」や夏季限定「かき氷」にも「りんごしろっぷ」をかけていると聞き、気になりました。材料がシンプルなだけに、ドリンクからスイーツ、料理まで、使い道はまだまだありそうです。

20種を超えるリンゴの和洋菓子

 リンゴ使いのプロフェッショナル、おきな屋では、りんごしろっぷのほかにもリンゴを使った商品はたくさんあります。和菓子で珍しいところではどら焼きなど、洋菓子ではマドレーヌ、パウンドケーキ、ジャムをはじめ、約20種にも及びます。筆者は最近知ったばかりですが、県内外にファンがいることにも納得の品ぞろえです。

薄紅

 店を代表するリンゴの形を残したお菓子「薄紅(うすくれない)」は、青森産紅玉リンゴの輪切りを砂糖で煮て乾燥させたグラッセ。紅玉の甘味と酸味がいかされ、形の美しさはもちろん、直径7cm前後という大きさにもこだわります。リンゴの収穫時期に限定数製造し、売り切れ次第終了です。

「薄紅」をひと口大にカットしだ【薄紅百顆】(うすくれないひゃっか)は年中購入可能です。グミとゼリーの中間位のやわらかさで、しっかり甘味があり、皮もついていて、食感を楽しめました。

アップルパイ

 新鮮な紅玉リンゴが確保できる時季にしか製造しない「ハートアップルパイ」は、現地の青森市の店舗でしか販売しておらず、筆者もまだ出合えていないので、今年こそはと狙っています。

 リンゴの収穫は9月後半~11月前半ころ。今年も新たな発見やスイーツとの出合いがありますようにと願いつつ、りんごしろっぷのさらなる使い道を探求し、楽しみにしている筆者です。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第60回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト