―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第61回:木村彩乃アナ]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツアナウンサーとして全国で活躍する木村彩乃アナが、地方色豊かな「クラフトコーラ」についてリポートします。
全国から生産者が集まる「クラフトコーラヴィレッジ」
2023年9月1日から3日間、東京ビッグサイトで開催された「クラフトコーラヴィレッジ」へ行ってきました。ご当地名物と出合えるかも⁉ との予感どおり、たくさんの発見がありました。
「クラフトコーラ」とは、そもそもどんな飲み物なのでしょうか。国際クラフトコーラ連盟・理事長の山田貴久さんによると「スパイスやハーブとかんきつを煮込んだものが多いです。かんきつから果物に派生して、モモやイチゴなど、それぞれのカラーが出てきました。加えてクラフトなので、手づくり、小規模生産、職人技などの意味も込められています」とのこと。
たとえば三重県の「Uシロップ」という商品の原材料の一部を見ると、カレーや火鍋のスパイスのようなイメージ。これらを煮込んだビンづめの「コーラシロップ」を、炭酸やその他の飲料で割るのが、クラフトコーラの主流の飲み方です。
全25種もあるということで「どうやって選んだらいいんだろう?」と少し不安を抱えながら訪れたのですが、多くのお店で試飲ができました。「店ごとに個性が異なるので好みを見つけてファンになってもらえれば」という開催側の意向があるそうです。
驚いたのは、各ブースのスタッフが、自社のアピールよりも「〇〇さんはもっと〇〇ですよ」など、競合であるはずの他社について熟知しており、スタッフがいないブースは隣のブースのスタッフがまとめて説明してくれるなど、お互いを尊敬しあう姿。一段とクラフトコーラへの興味がわきました。すべてレポートしたいところですが、地場の食材を使ったクラフトコーラを厳選してご紹介します。
畑の作物を使った農家のコーラ
まずは、長野県の『BOTANICAL CRAFT COLA』です。自社で育てている信州産の「ヤーコン」(イモの仲間)からつくるシロップが主原料の約60%も占めているのが特徴です。
製造しているのは、もともとヤーコンから甘味料をつくっている会社で、「クラフトコーラにヤーコンシロップが合うのでは?」とつくってみたら「めっちゃうまいわ!」と思ったのが始まりだそう。ヤーコンシロップの糖分はオリゴ糖で、血糖値を上げない健康にいい甘味料だそうです。
イモだからかコクがあり、ほどよいスパイスの刺激と香りが包み込まれて飲みやすかったです。ボトルのかっこよさにも目がいきますね。
代表取締役の宮入隆通さんは、「農業って苦しいイメージをもつ方もいると思うんです。でも違うんだよって伝えたいから、実際に栽培・加工・販売まで自分で行って、おいしくてカッコいい商品を出しているんですよ」とおっしゃっていて、味だけでなく見た目にもこだわる理由が印象的でした。
おいしい飲み方を伺ったところ、「私は白ワインを割っています。おすすめというよりは我流の飲み方ですが(笑)」と意外な回答が。低GI・低カロリー・高ミネラルのコーラシロップなら、健康を気にされる方でもお酒を楽しめそうですね。
ヤーコン農家がクラフトコーラをつくることに驚いていたら、スパイス農家が製造している商品もありました。ショウガや唐辛子、ウコンなど、5種のスパイスを栽培している島根県の『出雲 SPICE LAB クラフトコーラ』。スパイスのプロでありながら、発売に至るまで数えきれないほど試作をしたというから驚きです。
かんきつ類がたっぷりのやさしいコーラ
続いて、愛知県の『知多コーラ』です。知多半島は数多くの果物が育つので、「地元の特産物を使用した知多半島らしいクラフトコーラをつくりたい」と考え、試作を重ねるなかで、素材をいかした、無添加でおいしいクラフトコーラにいきついたそうです。
定番商品には、もぎたての知多半島産ミカンとレモンが使われています。フレッシュでフルーティーでとってもやさしいクラフトコーラですよ。
「章姫(あきひめ)」というイチゴを使ったクラフトコーラは、「風味をいかしたくて」とおっしゃるとおり、イチゴのみずみずしさや果肉感など果物そのもののおいしさがつまっていました。
「甘味と酸味のバランスがいい章姫には甜菜糖を合わせました。香りも楽しんでいただきたいです」とのことで、スパイシーというよりはやさしさが際立ち、飲みやすく、クラフトコーラ初心者やイチゴ好きにぴったりな味わい。豆乳や牛乳に入れてもおいしいそうです。
なぜジャケットにクジラが描かれているのか代表の磯村優太さんに伺うと、「その昔、知多半島周辺にもクジラが生息していたんです。クジラはかつて陸の生き物だったそうですが、時代や環境の変化にともない、海で生きるようになりました。陸から海へと大きく変化したように、チャレンジ精神を忘れずにクラフトコーラを通じて、私もさまざまなことにチャレンジしたい、とクジラをデザインにしました」と教えてくれました。
地域の生き物に敬意をしめす発想がすてきですし、メッセージ性があり贈り物としても最適だと思いました。また地域の活性化も考えられており、地元のEスポーツ選手を応援し、大会では景品なども出されているそうです。
発酵素材でパンチの効いた個性派コーラ
最後は、筆者の地元、千葉県の『銚子灯台コーラ』です。90mlのお試しサイズは、専用の「夜明けの炭酸水」がついて1350円と、試しやすい価格でした。
きれいな青はバタフライピーというハーブの天然色だそう。シロップには、スパイスとハーブのほか 、銚子産発酵調味料・醤(ひしお)が使われています。銚子の名産品であるしょうゆの原型ともいわれる調味料です。しょうゆの味はせず、バランスのとれた味わいでした。
レシピどおり、コーラシロップ1に対して炭酸3を注ぎます。下は大地、上は海と青空の2層にわかれました! 故郷を思い出す美しい風景です。
発酵つながりで目を引いたのは、茨城県の商品『8cco(ハッコ)』。これは、もしや納豆!? と思ってよく見ると、国産の「じゃばら」という苦いかんきつを発酵させ、クラフトコーラに合う食材にしているそう。代表取締役社長は創業300年以上という老舗しょうゆ屋の18代目とのことで、しょうゆ屋の発酵技術をいかした、特許製法だそうです。
かなり刺激的でスパイシーな味わいで、覚醒しそうな感覚はくせになりそうです。あえてこさない点も特徴的でした。
ほかにも、さまざまな発想から生まれた個性たっぷりの商品ばかりで、味わいもやさしいものから刺激的なものまで多種多様で甲乙つけがたく、どれもおいしいと思ったのが筆者の正直な感想です。たくさん試飲をしても体がポカポカして、翌日の胃もたれもありませんでした。
次回の「クラフトコーラヴィレッジ」は未定ですが、2024年4月頃に開催される可能性があるようです。大阪では10月9日まで関西で生まれたクラフトコーラを集めたイベント「関西クラフトコーラ巡り」が開催されます。
早速ハマりそうなおもしろい世界なので、もっと多くの方がいろいろなクラフトコーラに出合う機会が増えたらいいなと思いました。各社HPはもちろん、おしゃれなカフェやおみやげ屋さんで探してみて下さい。
<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。
―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第61回:木村彩乃アナ]―
地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。