「プレミア和歌山」の令和4年度審査委員特別賞・奨励賞などプレミア和歌山推奨品をPRするイベントが開催されました。今年も受賞事業者と応援団の泉麻人さん(コラムニスト)、弘兼憲史さん(漫画家)、荻野アンナさん(作家)ほか、名だたる面々が登壇。ここでは今回受賞した4点の逸品をご紹介します。
県産品のブランド化を推進する「プレミア和歌山」
和歌山県が県産品のブランド化を進めるために、平成20年度からはじまった「プレミア和歌山」。農林水産物、加工食品、工芸品など「和歌山のめぐみ」のなかで、とくに優れたものを認定品とし推奨している制度です。隠れた逸品が数多くある和歌山県の品々を知ることができるので、百貨店やアンテナショップのバイヤーなどからも注目されています。
特別賞はご飯がすすむ山菜「ごんちゃん」が受賞
特別賞受賞推奨品は、「ごんちゃん」。製造しているのは、日高川町生活研究グループ美山支部。イタドリは山あいに自生するタデ科の植物で、「ごんちゃん」は県内で初めてイタドリを商品化したものです。
こちらは毎年売りきれる30年来のロングセラーの人気商品で、つくり方や味つけは美山地区で代々受け継がれてきました。とれたてイタドリの柔らかな茎を秘伝の味で煮つけていて、シャキシャキとした食感と、どこか懐かしい味わいが心に残る逸品です。
イタドリを食べる食文化は全国的に少ないのですが、日高川町の美山地域では春の山菜として昔から親しまれています。近年は鹿の食害などで採れる量が少なくなっているため、イタドリ栽培にも取り組んでいるそうです。
ちょっと地味な山菜漬けのようにみえますが、食べるとご飯がすすむ!すすむ! お酒のアテにも合います。購入できるのが「道のほっとステーションみやまの里」だけ、という希少さも魅力です。
胡蝶蘭をアート作品に仕立てた「フォアスSOSO」が奨励賞
奨励賞を受賞したのは、年間26万株もの胡蝶蘭の生産を行い日本で最大規模を誇る生産農家がつくりあげた胡蝶蘭ブランド「フォアス」の1本立ちシリーズ「SOSO」。
和歌山県の伝統工芸「紀州漆塗り」と日高町の「熊野黒竹」を取り入れ、胡蝶蘭をアート作品に仕立てています。船形の漆器は船出を意味し、新たな門出を祝うギフトやエントランスなどの飾りつけにもおすすめ。
「フォアス」ブランドの最大の特長は、人と地球にやさしいこと。生産者のヒカル・オーキッド代表の佐原宏さんは、「40年間胡蝶蘭を生産してきたなかで、贈り物として重宝されている胡蝶蘭ですが、廃棄のわずらわしさによって贈り先のストレスになっている一面もある」という現状に心を痛めていたそう。そこでSDGsに配慮した胡蝶蘭の開発に取り組みました。
たとえば、従来は鉄だった支柱は園芸用のハサミでカットができ、コンパクトに可燃ゴミとして処分できます。重くて運びにくかった陶器鉢は軽い和紙鉢に変更。オリジナルの水差しで給水は3週間に1回でOK。そして、プレミアムシリーズでは、花が終わったら返送し再育成してもらい、特別価格で購入ができる取り組みも行っています。
「胡蝶蘭の美しさを通して、地球を大切にする心を共有したい」という生産者の思いが伝わります。
日本ミツバチの「南紀 熊野蜜」も奨励賞に
南紀・熊野地方で伝わる養蜂技術を用いて精製された「南紀 熊野蜜」も奨励賞を受賞。このハチミツは、現在減少してきている日本ミツバチの蜜で、採取は山中に生息する野生の蜂を捕獲することから始まります。
ミツバチが木々の花から集めた蜜の香りの質と高さは絶品! 口あたりが驚くほどなめらかで、鼻に抜ける香りがほんのりフローラル、とがりのないやさしい甘さ。その深みのある上品な蜜の味わいは、自然豊かな熊野だからこそでしょう。
蜂の巣箱は杉の木をくりぬいてつくった「ゴーラ」と呼ばれている伝統的なもの。熊野の山中には、この丸いゴーラが置かれていて、珍しい景観がみられるそう。また、ハチミツの精製には機械の遠心分離機を使わず、自重で垂れ落ちる「垂れ蜜」を取り入れています。生産者のベリー工房髙田では、ミツバチの保護も考慮し、2年に1回しか採蜜しないなど、あくまでも自然にこだわり、安心と安全を追求しています。
奨励賞を受賞したジュースはもぎたてミカンの味
和歌山県有田川町賢地区は有田ミカンで有名。そんな賢地区にあるミカン農家が集まったマルケンみかんの「マルケンみかんジュース賢宝」も奨励賞に。
一見してわかる色の濃さ。この深い橙色が物語るのはまさにミカンの味。色と味の秘密は、「完熟早生ミカンを熟しきるまで木にならせギリギリまで収穫しないこと。とにかくもぎたてのミカンの味を目指しました」(マルケンみかん社長・永石睦巳さん)。
収穫してから選別する一般的な方法ではミカンの質が落ちるため、山で収穫し選別する「山選り(やまより)」という独自の栽培収穫出荷法を行っています。じつはこの手法で夜の作業が減り、若者の後継者も従事しやすくなって、ミカン農家離れが緩和されているそう。
樹上完熟させたミカンを新鮮なうちに皮をむいてから絞ることで、雑味のないミカン本来のおいしさだけを果汁にしたジュースは、いちど飲んだら忘れられない味になるはず。
バラエティに富んだ令和4年度のプレミア和歌山受賞の品々はいかがでしたか? 和歌山県にはまだまだ名品が眠っています。ぜひ、今後もご注目を!
取材協力/和歌山県商工観光労働部
<取材・文>カラふる編集部