チャンネル登録者数131万人の人気YouTuber・筋トレ好き料理家だれウマさんが、佐賀酒のプロモーション活動「SAGABAR」とのコラボで、東京・日比谷ミッドタウンにある居酒屋「一角」にて期間限定メニュー(2024年1月19日~2月2日まで)を考案。佐賀酒や食材を深く知るため佐賀県をめぐり、酒蔵と農産品の生産者を訪ねただれウマさんの様子をレポートします!
人力にこだわる酒蔵で酒づくりの大変さを実感
「日本酒は好きだけど、酒蔵をきちんと見学するのは初めて!」というだれウマさん、今回の佐賀訪問をとても楽しみにしていました。
まず訪れたのは、江戸末期創業の小松酒造。仕込みで重労働があるというので、筋トレ大好きなだれウマさんがマッチョな肉体を生かし、酒づくりを体験しました。
「多くの作業を人力で行っている酒蔵なんですよ。その手間暇が味にでているのでしょうね」と明るく話す社長兼杜氏の小松大祐さん。
だれウマさんが体験したのは、水と麹が入ったタンクに蒸した米を入れる作業です。約25kgの米を20回運び、筋力と体力に自信のあるだれウマさんも「さすがに疲れました…」と作業の大変さを実感。タンクは1トン分、一升ビンにして1000本だそう。
かつては海軍御用達の銘醸蔵でしたが、平成2(1990)年には休止の危機に。そこで当時東京にいた小松さんが会社を辞めて事業を継承。酒類研究所で理論などを学び、酒造会社で蔵人として修業をし、数年後に酒づくりを復活させました。
復活初年度には「大吟醸万齢」が福岡国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞。その見事な復活劇は話題になりました。今では人気の酒蔵となり、年に2回ある蔵開きは敷地の外まで入場待ちがでるほどです。
「世界に誇れる日本の発酵文化を後世に残したい」という小松さん。「新たなことにもチャレンジしたい!」との思いから、みりんの製造免許を取得し、業界初の「飲むみりん」を製造しました。
「砂糖を使っていないのに、こんなに甘いのは麹、つまり発酵のチカラ」と小松さん。挑戦する酒蔵として、次の10年を見据えて米づくりも手がけ始めました。小規模でも自分たちの力でという思いは、まだまだ続いています。
そんな小松酒造について、だれウマさんは「手作業で酒づくりをすることに驚きました。機械を使う方が楽なのにその熱意がすごい。心と味で勝負していることがファンに伝わっているのだと思います。そして、飲むみりんの『のみりんこ』がおいしくてびっくり。料理としては、まずはおでんに使ってみたいですね!」
世界に佐賀酒を発信する老舗酒蔵。訪れて知った日本酒の魅力
一方、元禄年間に創業し、300年の歴史をもつ天吹(あまぶき)酒造は、アメリカ、香港、ドイツ、スウェーデンなど海外販路も拡大している酒蔵。見学(要予約)も受けつけていて、海外からの見学者も多いそう。そんな歴史の深い酒蔵をだれウマさんが見学しました。
敷地は3500坪、国の登録有形文化財である築150年の建物など、宝物蔵もあります。酒蔵の壁には天吹山と「風神」のこて絵があしらわれ、「歴史を感じますね」とだれウマさん。酒蔵では、徹底管理された酒づくりが行われ、大きなタンクがきれいに並ぶ風景は圧巻。
貴重な場所を一般に開放している理由を11代目蔵元・社長の木下壮太郎さんにうかがうと、「地酒が好きな人はどんな人がどんな場所でどのように考えながらつくっているのかをよく見ています。だから、一般の人にも酒づくりを知ってもらって日本酒を身近に感じてほしい」とのこと。
歴史の重みを感じさせる一方、つくっているお酒は華やか。マリーゴールド、ヒマワリ、シャクナゲ…など、すべて花の天然酵母を使用。こだわりは、日本酒を飲んだことのない女性が楽しめるような味わいです。フルーティでキレがあったり、上品で豊潤だったり、花によって香りにはっきりとした違いがあり個性的。海外ではナチュールワインと同じようにとらえられているそう。
見学を終えだれウマさんは、「歴史ある建物とシステマティックな印象の酒づくりとのコントラストがすごい。酒づくりの流れがわかり見ごたえがありました。特別に試食させてもらったできたての米麹は、栗のような味わいでおいしかった! 試飲した『天吹 生酛(きもと)純米吟醸』は、口のなかをさっぱりさせてくれるので、クリームパスタやビーフシチューに合わせたいですね」。
さらに、ナデシコの花酵母でつくった『天吹 純米吟醸 雄町』について「日本酒の香りがありつつ、やわらかくて優しい味。日本酒が苦手な人でもスーッと飲めるお酒」と絶賛でした。
料理に取り入れたくなる、佐賀特産品の生産者を訪ねて
佐賀県のウマいものは日本酒だけではありません。だれウマさんが気になった食材は、イチゴ、不知火、ゴボウ。いずれも県が自信をもっておすすめする農産物です。実際に畑を訪れて、だれウマさんが取れたてを試食しました!
果肉の中まで赤く、名前もかわいい「いちごさん」
2018年にデビューしたばかりの佐賀県のブランドイチゴ「いちごさん」。まだまだ希少な品種です。特長は、形の美しさと優しい甘さ、果汁のみずみずしさで、果肉全体が赤いのもポイント。
「いちごさんは甘味と酸味のバランスよく、いちばんおいしいのは2月下旬。3月になると徐々に酸味がでてきます。イチゴは大きい方が熟す時間が長くて甘くなる。1パックに4個しか入らないほど大きくなりますよ」と栽培する脇山裕中さん。こちらの畑では、ほぼ無農薬で化学肥料も不使用です。
「雑味がなくてイチゴの味が濃い。とてもジューシーで、甘味がギュッと凝縮しています。ケーキをつくるときは、大きさや見た目を大事にしているので、いちごさんはぴったり。カットして断面の果肉の赤さも見せたいですね。丸まるイチゴが使えるイチゴテリーヌがつくりたいです」とだれウマさん。
ぽっこりとしたでっぱりが特徴のかんきつ、不知火
かんきつ類の生産が盛んな佐賀県で、だれウマさんが気になったのは、先端のポッコリしたでっぱりが特徴の「不知火」。皮が向きやすくて、熟すと濃厚な甘さがあり、種もないので食べやすい果物です。
畑を案内してくれたのはシトラスプラスの社長・上野勉さん。こちらの農園は、土づくりにこだわるとともに、温度や湿度も徹底管理し、樹木が元気に光合成できる環境を守っています。
「ミカン本来の“甘い・すっぱい・濃い”の3つの味をしっかり出すために、農園独自のブレンドで配合したオリジナルの発酵肥料を使っています」と上野さん。安心安全な作物をつくるため、できる限り農薬は使いません。
試食しただれウマさんも「大きくてきれい。外皮がむきやすいし、薄皮のままでも食べやすいです。びっくりするほどさわやかでみずみずしく、あと味がすっきり。色もきれいなので、コンポートにしたり、ゼリーにしたり、果肉がストレートにみえるスイーツにしたいですね」と、そのおいしさを実感。
ミシュランシェフがほれ込む太閤ゴボウ
佐賀県唐津は古くからゴボウづくりが盛んな地。だれウマさんが注目したのは、全国のゴボウ農家から一目置かれる「太閤ゴボウ」。ささき農園の佐々木励さんが研究栽培を重ねてつくり上げました。
一般的なゴボウは収穫まで5か月程度のところ、太閤ゴボウは1年。まるで木のように大きく成長しますが、とてもやわらかくて、栄養価も非常に高いのが特長です。
「1年かけてさらに熟成させるので、うま味が強く、糖度は24度にもなります。完熟したゴボウはアクが少なく、水にさらさなくても食べられますよ」と佐々木さん。大きいものは長さ1m、直径6~7cmにもなります。ミシュランの星つきレストランからも支持されているそう。
「ゴボウが好きなので気になりました。ゴボウは下の方が甘いので、その部分は素揚げで塩をふって食べたいです。料理では、昆布とみりん、しょうゆでシンプルに炊き込みご飯にしたい。香りを生かしたポタージュもいいですね!」と、料理のイメージが次々と浮かぶだれウマさんでした。
佐賀県には「ウマい」ものがあふれている
今回佐賀県を訪れ、ウマいものをめぐっただれウマさん。「佐賀県を旅して、日本酒のおいしさを知りました! 日本酒の魅力をまだわかっていない若い人が多いと思うので、ぜひ知ってほしい。そして、佐賀は農産物もおいしいです。料理に取り入れたいと思うものばかりでした」。
海があり、山があり、米どころでもある佐賀県は、だれウマさんが感じたようにウマいものにあふれています。佐賀の日本酒、農産物を味わって、ぜひその魅力的なおいしさを堪能してみては。
【だれウマさん】
筋トレ好き料理研究家。「だれでも上手(ウマ)く、そして美味(ウマ)く」をテーマに簡単でおいしい料理を提案。「だれでもウマくつくれる」がコンセプトのYouTubeはチャンネル登録者数が131万人、SNSのフォロワー数は100万人以上。『やせウマずぼら飯(極)』(扶桑社刊)など著書多数
取材協力/佐賀県流通・貿易課
撮影/林紘輝(扶桑社) 取材・文/カラふる編集部