しこしこした弾力とふっくら感。胃にも優しい大分の絶品シイタケステーキ

最近、ストレスで胃が痛い…。そんな人におススメのとっておきアイテムを教えてくれたのが、薬膳アテンダントの池田陽子さん。大分県のアンテナショップで見つけた気の流れをスムーズにするアイテムを教えてもらいました。

胃の働きをよくするには気の流れが大切

大分県アンテナショップ「坐来大分」
大分県アンテナショップ「坐来大分」

 中国伝統医学の中医学において、ストレス胃痛は、ストレスによって人間の体の中をめぐるエネルギーである「気」のめぐりが悪くなることで引き起こされると考えます。胃がはって痛む、ゲップが多い、胃からすっぱい水があがる、食後に痛むといった特徴も。改善のためには、気の流れをスムーズにして、胃の消化能力をアップする食材を取り入れることが大切。おすすめはシイタケ、かんきつ類。気のめぐりをよくしてストレスを改善、胃の働きをよくする働きがあります。
 今回は、大分県アンテナショップ「坐来大分」を訪ねて、絶品シイタケ&かんきつグルメをご紹介します。

まるで「森のお肉」のようなステーキ用シイタケ

ステーキ用原木椎茸
「ステーキ用原木椎茸」(1800円)

「乾シイタケ」生産量日本一を誇る大分県。国内でもっとも原木シイタケ栽培が盛んです。その歴史は古く、豊後地域で300年前に栽培が始まったとされ、明治時代にはその価値の高さから生産振興のために、県がクヌギ植林を推奨。昭和に入り、シイタケ菌を培養した木片を原木に接種する「純粋培養木片種菌法」が発明され、大分県椎茸農業協同組合では全国に先駆けてこの方法を導入。一気に生産量が増加し、大分でのシイタケ産業が飛躍的に成長をとげることになりました。
 さらに大分県は日本椎茸農業協同組合連合会主催の「全国乾椎茸品評会」において団体の部で24大会連続、56回もの団体優勝を獲得。生産量だけではなく、その品質も全国一の評価を得ているのです。

ステーキ用原木椎茸
深く熟成したうま味が口いっぱいに広がります

 坐来大分内のスペース「坐来大分ギャラリー」にも、数々のシイタケ商品が多く並んでいます。とりわけ目を引くのが中津市・北曾木椎茸農園の「ステーキ用原木椎茸」(1800円)。肉厚で手のひらサイズの大きな「椎茸ステーキ用」の乾シイタケです。北曾木椎茸農園は、中津市南部の深耶馬溪(しんやばけい)にある自然豊かな里山「北曽木山」で、4代にわたってシイタケ栽培を行っています。作業は原木を切り倒すことからスタート。夏は温暖、冬は厳しい寒さという寒暖差、またきれいな水に恵まれた大分で育ったシイタケを乾燥させることでうま味と香りを凝縮させて仕上げます。その中でも大きく立派なものをステーキ用としています。水で戻すと、見事なまでの、ふっくら感! フライパンにオリーブ油を熱して、まるごとじっくり焼いていただきます。

 こんがり焼けたシイタケは、なんとも芳醇な香り。かみしめると、しこしことした弾力があり歯ぎれがよく、深く熟成したうま味が口いっぱいに広がります。シイタケ特有のクセや雑味はゼロ! 味つけは塩と、ブラックペッパーだけで十分なほどです。まるで極上のステーキをいただいたような満足感に、感動するはず。

シイタケのうま味をいかした、絶品ご当地カレー

豊後きのこカレー
「豊後きのこカレー」(400円)

 干しシイタケのうま味をカレーで楽しむのはいかが? 坐来大分で高い人気を誇るのが、大分市・大分県椎茸農業協同組合「豊後きのこカレー」(400円)。専門農協が厳選した乾シイタケを使ったレトルトカレーは、絶品ご当地レトルトカレーとしてメディアでもたびたび取り上げられ、まとめ買いをしていく人もいるというヒット商品。使用されているのは「若芽どんこ」を乾燥させたもの。発生後まもない小ぶりなどんこシイタケで、歯ごたえのよさが魅力です。

 なかでも肉厚なものを吟味して、水でじっくり戻してから、まるごと豚肉や野菜とともに煮込みます。ごろりと入ったシイタケは、プリプリ。かみしめるとアワビのような歯ごたえ。シイタケのおいしさが見事にキープされていることに驚きます。

豊後きのこカレー
大分の乾シイタケの実力を見せつけられるような味わい

 そしてしょうゆを隠し味にした、少し和風で甘味があるカレールーとシイタケの相性はバッチリ。さらに、シイタケから出たうま味の効果で、ルーはおなかの底からジワジワ響いてくるような、奥深い味わいとコク。なかなかほかにはない、強い印象を残すおいしさです。大分の乾シイタケの実力を見せつけられるような絶品カレー、やみつきになること間違いなし!

鉄輪温泉の「地獄蒸し」カボスのコンフィチュール

Erstes grün大分のかぼす
「Erstes grün大分のかぼす」(870円)

 大分を代表するかんきつといえば「カボス」。国内生産量の90%以上が大分県産です。江戸時代、臼杵市で栽培がスタートしたとされ、臼杵・竹田・豊後大野・国東・豊後高田市がおもな産地です。カボスは、香酸かんきつのなかでも、甘味が強く、まろやかな酸味、さわやかな香りが特長。食材の味を消さずに、本来の味わいを引き立てるという魅力があります。地元では、名物のとり天や焼きシイタケをはじめ、刺身、カレー、そしてみそ汁にも入れるほど、料理の引き立て役として愛されている存在です。

 大分県別府市鉄輪温泉(かんなわおんせん)・一也百(はなやもも)の「Erstes grün大分のかぼす」(870円)は、カボスの魅力を余すことなくいかしたコンフィチュール。鉄輪温泉はいたるところから湯けむりが立ち上る、別府一の温泉地。100℃以上にもなる温泉の蒸気をいかした、「地獄蒸し」と呼ばれる調理法が江戸時代から行われています。この技術を活用して、カボスを1個丸ごと、低温でスチーム。種だけをのぞき、皮、薄皮、白いワタもすべて入れて仕上げます。

Erstes grün大分のかぼす
「Erstes grün大分のかぼす」(870円)

 長時間煮込んでつくるジャムは、果物の色合いや風味が変化してしまいますが、低温で蒸すことで、カボスの色やフレッシュ感はそのまま。そして、カボス本来のうま味や甘味を余すことなく堪能できるそう。鮮やかなグリーンが美しいコンフィチュールをひと口食べると、目が覚めるようなさわやかさ。続いて、皮の心地よいほろ苦さが加わって、なんとも大人っぽい味わいの、いわば「カボスのマーマレード風」。一般的なマーマレードは煮つまってこってりとした感じですが、こちらは皮がシャキッ、味わいもいたってみずみずしく、あっさりとしているのも魅力。パンやヨーグルトにはもちろん、チーズと合わせてワインのおつまみにもよし。ソーダで割ったり、今の時季ならお湯で溶いて「ホットカボスティー」にするのもおすすめです。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)