パン好き必携の資格として注目を集めている「パンシェルジュ検定」。合格するとパンシェルジュとしてパンにまつわる仕事に生かせたり、特別なイベントや体験会への参加もできたりします。和歌山県のパンシェルジュが、おいしいパンを求めて訪れたのが、大阪府泉南郡岬町で週末3日間のみ営業するハード系を中心とした人気のベーカリー。
ハード系を中心に、菓子パンや総菜パンも並ぶ
小学生の頃は、毎朝食パン1斤をたいらげ、今は国内外のパン屋巡りがライフワークという和歌山県在住の木許智佳子さん。生地の素材や焼きあがったときの小麦の香り、料理やドリンクとの相性など、パンへの探求心と愛情が深まる日々。そんな木許さんが今回おすすめするのが、2019年に和歌山市から大阪府泉南郡岬町に移転したベーカリー「ベーカリー パレード」です。
ハード系を中心としたパンが評判のお店。主に、フランスパン生地や全粒粉のカンパーニュ生地、ライ麦の全粒粉配合生地などでつくられるパンは、小麦本来の香りや味わいを感じることができます。ハード系以外にも、華やかなデニッシュやパン・オ・ショコラなどの菓子パン、具材が豊富なサンドイッチなどの総菜など種類が豊富なのも魅力。なかでも、木許さんが絶賛する6つをご紹介。
発酵バターが香る、やみつき「クロワッサン」
発酵バターを使用した、お店の看板商品。このクロワッサンを求めて、県外からも多くのお客さんが訪れほど。
「何日も生地を熟成させて、風味豊かに焼き上げています。表面はサクサク、中はしっとり。かむほどに口の中でじゅわ~っと広がるバターの風味がたまりません。とくに焼きたてがおすすめです」(木許さん)
食べ応えあり!「とうもろこしとタマゴのアランジュ」
たっぷりのスイートコーンとゆで卵がのった、ボリューム満点のピザパン。子どもから大人まで喜ばれる総菜パンです。
「食パンの生地を使ったふわもち食感のパンの上には、具材がこぼれ落ちるほどぎっしり。コーンは甘く、プチプチと歯応えもよい。具材全体を包んだチーズは、トースターなどで軽く温めることでとろ~り感が増します」(木許さん)
カラメルシロップが味のアクセントになった「クリームパン」
カスタードクリームの上に、カラメルシロップをトッピングしたリッチなクリームパン。食欲をそそるビジュアルも◎。
「フワフワ生地の上に、上品な甘さのとろ~り自家製カスタードクリームがたっぷり。カラメルシロップのほろ苦さとマッチして、まるでプリンを食べているかのようなパンです」
かむほどにライ麦のうま味が広がる「パン・ド・カンパーニュ」
「ライ麦を使った、食物繊維たっぷりのヘルシーパンです。クープの立ち上がりが本当に美しく、パン好きには萌えます!」
きめが細かくしっとり食感の「パン・ド・ミー」など食パンも充実
食パンは5〜6種類あり、「パン・ド・ミー」と山型の「ハードトースト」のほかに、「グラハム食パン」(1斤・399円 )や「黒米食パン」(1斤・399円)なども店頭に並びます。
「私のいちばんのおすすめは『パン・ド・ミー』。クラム(耳)がしっかりと焼かれ、生地全体がキメ細かく、しっとりとした食感です。かぐわしい小麦の香りとほんのり塩味が感じられ、ディップをつけたりトッピングしたりするとよりおいしくいただくことができ、食べ応え抜群です。今回、カマンベールチーズに、はちみつをかけてトーストしていただきました」
パンに情熱を注ぐ店主が、3日間かけて仕込むこだわりパン
兵庫県・芦屋市のパンの名店「ビゴの店 本店」で修業を積んだパン職人、野間俊行さんが夫婦で営むお店。小麦粉の香りを大事にしたい、ハード系の魅力を感じてほしい、と日々奮闘。仕込みに3日間かかるため、営業は週末の金・土・日曜日のみです。
「『そこの土地に合うパンをつくること』を目標に、地域の方に寄り添いながら、長く愛される店にしていきたいとのことです。午前中に売りきれてしまうこともなるので、早めの来店がおすすめです」
「店内には、16席ある広めのイートインスペースが完備され、焼きたてのパンをコーヒーとともに楽しめるのもうれしい。紅茶やジュースもあります」
■ショップ情報
大阪府泉南郡岬町の深日町駅より徒歩5分、大阪湾沿いの深日漁港魚市場からも歩いて6分ほど。旧国道26号線沿いにあり、17台分の駐車場スペースは完備しています。
大阪府泉南郡岬町深日616-1
協力/パンシェルジュ検定運営事務局
<取材・写真/木許智佳子、文/寺川尚美>
◆パンシェルジュ 木許智佳子〈きもとちかこ〉さん(パンシェルジュ1級)
パンの素材や製法に興味を持ち、パンシェルジュ資格取得を目指す。パンの知識を得たことの喜びは、パン職人やパン好きの方との交流が深まっていること。自分好みの味を追求しながらパンつくりをしたり、友人と数種類の食パンの食べ比べなどを楽しんでいる。いつか、和歌山県のパン屋さんをはじめ、全国の食パンを集めた「食パンフェスin和歌山」を実現させるのが夢。