大分の名産品をチョコに。中津市で味わう香り豊かなスイーツ

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第66回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーとして全国で活躍する木村彩乃アナが、大分県の特産食材にこだわったチョコレートをレポートします。

幻の紅茶をチョコレートに

店内の様子

 大分県中津市にある、夫婦で営むBean to Barのチョコレート店「HARU CHOCOLATE」は、もともとフレンチのダイニングカフェを営んでいた塩崎ご夫婦がカカオの魅力にほれ込み、2013年から始めました。

 大分県にたくさんある名産品とチョコレートを合わせたい、身近な素材がカカオを通して見せる別の顔を届けたいという思いで、ひとつひとつの素材と向き合い、数量限定で生産しています。

 筆者が訪れたときは、国ごとのカカオ豆の違いが楽しめるカカオ70%のタブレット(板チョコ)5種と、さまざまな味のミルクチョコレート5種の計10枚がお店に並んでいました。70%の方は、カカオをすりつぶす時間を調整して心地よい食感のあるクランチタイプと、なめらかなスムースタイプがあります。

 とくにほれ込んだのは「紅茶チョコレートcacao50%MILK」です。そもそも紅茶のチョコレートが好きだった塩崎夫妻が、大分県の紅茶をおいしいと感じたことをきっかけに取り入れたそうです。

 使用している紅茶は「きつき紅茶」の「べにふうき」。ダージリン系品種とべにほまれを交配した高い香気が特徴的な品種です。大分県杵築(きつき)市で無農薬栽培された手摘みの特産品で、栽培量が少ないため「幻の紅茶」とも言われているそう。

紅茶チョコレートの中身

 シンプルでモダンな箱を開けると、紙をクシャっとさせたようなさりげない凸凹のデザインが目を引きます。口に含むと最初は日本茶のような風味がして少し驚くうち、徐々に紅茶の風味に気づいていく。まるで口が急須になったかのようなはじめての感覚です。続いてミルクティーのようにまろやかなコクを味わいながら紅茶とカカオ両方の華やかな余韻が続き、最後にはとても好みな渋味が感じられました。

板チョコの断面

 数種の素材やカカオの特徴が口の中で順番に顔を出すチョコレートは経験したことがありますが、1種の素材(茶葉)がこのように変化していくのははじめてで、興奮しつつも心地よく、「身近な素材がカカオによって別の顔になる」というお店のコンセプトに納得の味わいでした。

生産農家で自ら収穫。レモンのチョコレート

レモンチョコレート

「檸檬チョコレート」は、大分県佐伯市の特産品「マリンレモン」(グリーンレモン)を使用しています。マリンレモンは普通のレモンに比べて強い酸味がないのが特徴で、ずっとさわやかな香りを楽しんでいられます。果皮にはエグ味や苦味が少なく、そのまま食べらるフルーティーなレモンです。

 塩崎ご夫妻は生産者と顔を合わせることも大切にしていて、マリンレモンの生産農家に自ら収穫に行き、購入させてもらっているのだそう。チョコレートに使用するレモンは 9月~10月の収穫分のみ。下ごしらえに1週間以上かかるほどの量を収穫しても完売が早く、檸檬チョコレートは1人1箱しか買えない人気商品です。

 パッケージを開けるとマリンレモンの香りが品よく漂います。きれいに溶けるホワイトチョコレート、たっぷりと感じられるレモン果汁、レモン果汁に漬け込んでおいしさを凝縮させた果皮のドライは、ツブツブとした食感からもこだわりが感じられます。苦味、酸味、甘味のすべてにキュンとして、思わずペロリと1枚、食べきってしまいました。

 冬が仕込み時期というイチゴとホワイトチョコレートを合わせた板チョコには、香りと味わいに感動した大分県国東市の「桃の香いちご」を毎年、仕入れているそう。「イチゴあめのような濃厚な甘味を感じます」とのこと。東京でも3月はじめ頃から購入できる予定なので、ワクワクしています。

喫茶店で店舗限定の特別な出合い

喫茶店内

 大分県といえば別府や湯布院が有名ですが、「HARU CHOCOLATE」のある中津市京町も中津城や福沢諭吉旧居が有名で、観光がてら立ち寄るのもよさそうでした。

チョコレートスイーツとドリンク

 店内にある喫茶コーナーでは、カカオパフェ(ガトーショコラ・チョコレートアイスクリーム・カフェモカソース)とホットショコラを注文しました。細かい温度調整が施され、ここでしか味わえないこだわりが感じられるおいしさ。メニューにはべにふうきの紅茶もありました。

 大分県の耶馬渓牛乳とcacao100%のチョコレートをあわせたジャムや、大分県豊後高田市産落花生のピーナッツスプレッドなども人気。ショコラ好き仲間たちも興味津々で、「なんで買ってこなかったの~」と言われてしまいました。

スプレッドが並ぶ様子

 筆者ははじめて出合うおいしさにあまりにも感動して、全商品のうち9割は食べました。どの商品も、奥の方から顔を出すこだわりに気づいた瞬間、スキップしたくなるような、心がポカポカする味わいです。

ご夫妻と木村アナ

 そしてなにより魅力に感じたのは、ご夫婦のお人柄。カカオや食材への愛情があふれた商品説明と、穏やかな空気のなかでの親身な接客、職人ならではの調理中の鋭い眼差しに、一気にファンになってしまいました。

 11月中旬~3月末にかけて、北海道、東京、九州などさまざまな取扱い店がホームページで紹介されています。在庫がなくなり次第終了で、次の冬までは大分でしか楽しめなくなるそう。こだわりとやさしさがあふれるチョコレートでみなさんもぜひ、癒されてください。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第66回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト