広島県のおいしさを存分に味わう「HIROSHIMA GASTRONOMY “Horizon”」が東京ミッドタウン日比谷で開催。料理を提供した人気シェフが広島県の魅力的な食材をご紹介します。
山あり海あり。食材とお酒の宝庫、広島県
広島県は観光地として人気ですが、昨今、食材の宝庫としても注目を浴びています。中国山地を背に、瀬戸内海に面し、山の幸と海の幸が豊富。加えて、お酒の産地としても有名。
そんな魅力的な広島食材を味わってもらおうと、プレミアムダイニング「HIROSHIMA GASTRONOMY “Horizon”」を東京ミッドタウン日比谷のレストラン・DRAWING HOUSE OF HIBIYAに期間限定オープン。広島県が誇るトップシェフの中土征爾さんとドグエン・チランさんが、各1日限定のコース料理を提供しました。
今回の料理に取り入れた広島県産の食材について、「NAKADO」オーナーシェフの中土さんにお話をうかがいました。
食材の生産者との距離が近い広島県
広島市の中心にある人気フレンチレストラン「NAKADO」は、県内の食材をふんだんに使った料理が味わえるお店。今回提供されたコース料理にも、中土シェフが素材のよさにほれ込んだ広島の食材を使用しています。
「お店をオープンしたばかりの2020年はコロナ禍。そこで県内の生産者をまわり、魅力的な食材を探しました。今はサステナブルも料理の重要なテーマのひとつ。鹿のタンなど生産者さんが捨てていた材料も試し、意外なおいしさも発見できました。現在は20数件の生産者さんから直接仕入れています。広島は生産地との距離が近いのが大きなメリット。直接畑や農場に足を運び、生産者とお客さまの橋渡しになればと、お店での感想をお伝えしています。」（中土シェフ）
そのひとつが、フレンチでは欠かせないベビーリーフ。生産しているのは北広島町の「やまのまんなかだ」で、国内100軒のレストランと契約しています。ベビーリーフは水耕栽培されるものが多いですが、こちらでは堆肥を自社でつくり土耕栽培を行っています。
「やまのまんなかだのベビーリーフは、とにかく味が濃いので、ソースは軽めにしてリーフの味を楽しんでもらいます。すべて手摘みで傷がつきにくく、鮮度も抜群」と中土シェフ。
生産者の山田誠さん曰く、「味が濃いといってもらえるのはうれしいです。伸び伸びと根を広げ、栄養が行き渡るよう栽培しているので、リーフ自体が肉厚なんですよ」。
捨てられていた肉や魚も極上素材に
コースの一品には、県外にはなかなか流通しない比婆牛（ひばぎゅう）の料理も。庄原市の特産品で、飼育する酪農家も飼育数も少ない希少な牛肉。20203年のG7広島サミットでも各国首脳に提供されました。
「年間の生産量がわずか200頭にも満たない牛です。赤身のうま味が強く、脂はオレイン酸が豊富でサラッとしてしつこくないのが特徴」（中土シェフ）。
こうした希少な食材とともに、これまで使われていなかったものも活用。たとえば、ショウサイフグは、以前は捨てられる魚だったそう。
「今回使用したショウサイフグは、宮島の沖にあるカキいかだの下で生育したもの。栄養豊富な海で育ち、カキの稚貝も食べているので、どこかカキの風味があり、トラフグに負けないうま味があります」（中土シェフ）。
今回のジビエは安芸高田市でとれた鹿。専門の処理施設で加工されているので新鮮で臭みもなく、東京のレストランにも卸されているそう。
「ジビエを使うのは山間部の過疎地域に少しでも利益がいくといいな、という思いもあります。それに、材料を無駄にしないサステナブルな料理でありたい」と、中土シェフは料理を通して、産地の課題解決にも目を向けています。
コースには、広島県が全国1の生産量を誇るカキを使った料理も登場。厳しい規定をクリアして出荷される広島県のカキは、12月～2月が出荷のピークで、グリコーゲンをしっかり蓄えてプリっとよく太った状態だそう。
海や山の恵みで育った食材が豊富な広島県。広島へ訪れる際は、観光だけではなく、おいしい料理も旅の目的のひとつとしてぜひ楽しんで。
中土征爾さん
フレンチレストラン「NAKADO」オーナーシェフ。広島県北広島町出身。ソムリエ資格取得後、渡仏しブルゴーニュの一つ星レストランで修業。2020年に「NAKADO」をオープン。ゴ・エ・ミヨ2021からトック3獲得。食べログアワード2023ブロンズ受賞、ヒトサラベストシェフ＆レストラン2022-2023受賞、農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ顕彰」2023にてブロンズ賞など数々の賞を受賞している。
取材協力／広島県農林水産局 販売・連携推進課
＜取材・文／カラふる編集部＞
