寒暖差がある季節は、知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまいがち。そこで今回は、薬膳アテンダントの池田陽子さんに、徳島県のアンテナショップで買える「ストレス対策」になるとっておきフードを教えてもらいました
かんきつ類を上手に取り入れてストレス知らずに
ストレスがたまっている状態とは、中国伝統医学である中医学では気の流れが滞っている=「気滞」の状態と考えます。気のめぐりは、西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールが効かなくなることでイライラ、情緒不安定といった症状が起こります。
そこでストレス解消のためには、気をめぐらせる作用のある食材をしっかり取り入れることが大切。おすすめはかんきつ類。滞った気をスムーズに流しリラックスさせる効能があります。スダチ、ユズなどの香酸かんきつも同様の効能が。
今回は、徳島県と香川県の食の幸がそろうアンテナショップ「徳島・香川トモニ市場」から、徳島ならではの「すだちグルメ」を紹介します。
焼き魚からみそ汁まで。地元では多彩に使われるスダチ
徳島を代表する香酸かんきつといえば、スダチ。生産量は全国一位、9割の出荷を誇ります。徳島におけるその歴史は古く、江戸時代には食酢用の果実として栽培されていました。1960年代に、ミカンの転換作物として生産が一気に拡大。昭和49(1974)年には、スダチの花が県花に指定されました。
徳島では、徳島市、阿南市、上山町、佐那河内村など、おもに昼夜の寒暖差が大きい山間部で栽培されています。スダチはすがすがしくさわやかな香り、そして比較的おだやかな酸味のため、和洋中問わず料理の味わいを引き立てるのが魅力。また、皮も薬味として幅広い料理に使えます。
そんな徳島では愛されてやまないスダチ。絞って、輪切りにして、果皮をすりおろしてあらゆる料理をグレードアップする立役者として登場します。焼き魚、揚げ物、冷ややっこからはじまって、うどん、そばにも欠かせない存在。ジュースにお酒にとドリンク類にも大活躍。そしてちょっと意外かもしれませんがみそ汁に入れる、ご飯にかけるのも定番! スダチといえばサンマという人も、もっといろいろ試してみたい果実なのです。
果皮まで楽しめるスダチ100%果汁
アンテナショップにも多彩なスダチ商品が並びます。スダチのおいしさを手軽に楽しめるのが、徳島ならではの食材を使った加工品を手がける吉野川市・野田ハニー食品工業の「果皮入り徳島県産すだち果汁100%」。佐那河内村周辺でとれたスダチをギュッとしぼった果汁に、鮮やかなグリーンが美しい果皮もたっぷり入っているのが大きな特長。果皮まで楽しむ徳島ならではの商品です。
ボトルを振れば果汁と果皮を一緒に、振らなければ果汁だけ使えるので用途に合わせて利用できます。ひと口飲んでみると、微妙なニュアンスのあるまろやかな酸味と、皮のほろ苦さが印象的。絶対料理がおいしくなる予感にあふれています。
使い方はさまざま。焼き魚、焼き野菜、ギョーザやフライに。しょうゆやポン酢に加えればスダチの風味で味わいがワンランクアップ。すし酢にとして使うと、フルーティーなアロマの酢飯が完成! 皮が加わると「大人っぽい味わい」に仕上がるのも魅力です。もちろん、水で割ってジュースにしてもよし。はちみつ、牛乳と合わせてヨーグルト風のドリンクにするのもおすすめ。スダチの「万能ぶり」を手軽に試してみて。
鮮やかなグリーンが美しいすだちマーマレード
野田ハニー食品のスダチ商品で、高い人気を誇るのが「すだちマーマレード」。メディアにもたびたび取り上げられる逸品です。マーマレードの鮮やかな美しいグリーンは、天然のスダチの色。通常、スダチの果皮は加熱すると黄色や茶色に変色してしまいますが、独自の技術で変色を抑えることに成功。着色料は一切使用することなく、美しい色合いを維持しています。スダチならではの風味をいかすために、はちみつでほどよく甘さ控えめに。そしておなかへの優しさ考えて、寒天でなめらかな食感に仕上げてあります。
味わいは、すっきりした透明感のあるさわやかさ。みずみずしい香り、優しい口当たりのあとに、サイダーのような爽快感、そして皮のビターな感じ。なんともグラデーションを描くような味わいのマーマレードは、トーストに、ヨーグルトに、お湯で割ってお茶にと飽きることなく毎日いただきたくなるおいしさです。
さわやかすぎる、フレッシュな「すだち麺」
スダチの魅力を麺で味わうのはいかが? 徳島名物半田そうめんはじめ、さまざまな乾麺を製造する阿波徳島市・岡本製麺の「すだち麺」は、スダチ果汁を、特殊製法で練りこんだそうめん。徳島県のマスコットキャラクター「すだちくん」が印象的なパッケージをあけると、清々しいグリーンの麺。3分ほどゆでて、水でしめてからいただきます。
つるつると口当たりのよいそうめんは、つゆにひたしてもしっかりとスダチのジューシーな風味が感じられてじつにさわやか! 生のスダチを輪切りにして「追いスダチ」すると、新緑の風が吹くような、フレッシュさ! オリーブオイルと塩で味つけ、野菜や刺身をのせて、サラダスパゲティ風にするのもおすすめ。白ワインにぴったりの一品に!
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)