お酒を飲み過ぎた翌日、朝起きたら顔がむくんでいる。薬膳アテンダントの池田陽子さんは、海藻を食事に取り入れることでむくみの予防になるといいます。今回は、徳島のアンテナショップで買える海藻グルメを紹介してもらいました。
むくみに効果的な海藻類
メイクではごまかせないむくみ。そんな困ったむくみも、薬膳で水分代謝をアップする食材を取り入れれば、すっきり解消できます。むくみの改善におすすめなのは、ワカメ、のりなどの海藻類。利尿作用が高く、余分な水分を排泄する優れた働きがあります。また、そばにも体内の湿気を払う効能があり、むくみ改善に役立ちます。今回は徳島県と香川県の食の幸がそろうアンテナショップ「徳島・香川トモニ市場」を訪ねて、とっておき海藻類&そばグルメをご紹介します。
歯ごたえバツグンの「椿泊産 天然わかめ」
徳島県が誇る海産物といえば、ワカメ。ブランドワカメ「鳴門わかめ」で知られていますが、県南東部に位置する阿南市椿泊(つばきどまり)産のワカメも絶品。四国最東端の蒲生田岬周辺は、潮流がよく良質のワカメが育ちます。徳島県漁業協同組合連合会の「徳島県椿泊産 天然極わかめ」は、天然のワカメを湯どおし塩蔵した商品。経験を積んだ漁師が素潜りで刈り取ったワカメを厳選、スピーディに湯どおしして食塩をまぶした商品です。生に近いのでうま味、栄養もたっぷり、水で戻す必要がなく、水洗いで塩を落としてすぐ使えるのが魅力です。
椿泊のワカメは水洗いすると、なんとも美しい緑色。ふんわりと心地よい磯の香りが広がります。そして、とにかく分厚い! ザクザク切って、ワサビじょうゆ、そして徳島ならではのすだちを絞っていただきました。歯にアタックするような、しっかりした歯ごたえ、凝縮されたうま味。海をかじっているみたいなワカメに驚愕します。みそ汁やうどんの具にはもちろん、バツグンの歯ごたえをいかして炒め物にしてもパンチのあるおいしさに仕上がります。
スナック感覚で止まらない、徳島県民のソウルのり
徳島県民が愛してやまない、食卓の定番をご存じでしょうか? 徳島市・大野海苔「日の出印 味付きのり」は、徳島のどの家庭にも常備されているといわれるほどの「ソウルのり」。香川・徳島トモ二館でも堂々の売り上げ1位を誇る商品です。大野海苔は海産物を扱う昭和15(1940)年創業の「大野商店」の海苔加工部門として、昭和45(1970)年に設立。徳島県内でいち早くのりの養殖技術を学び、製造・加工も自社で行うようになった歴史があります。
味つきのりは、当初は地元ののりを使用していたものの、味つけのりに必要な「くちどけと食感のよさ」を追求した結果、有明海の上級品に変更。パリッとしたいちばん摘みを厳選して使用しています。味つけに使うタレも自社生産。だしはコンブとカツオブシ、干しエビを使い、砂糖、しょうゆ、みりん、日本酒、そして唐辛子を使ってピリ辛風味に仕上げています。
ツヤツヤピカピカののりは、爽快なほどパリパリ食感。軽快な歯切れとともに香りとうま味が口の中に広がります。味つけは少し甘味があるものの、そのあとにピリッとくる辛味が絶妙なバランスで、1枚食べると止まらなくなるおいしさ! 食卓に置いておくと、あっという間になくなるので危険です(笑)。ご飯にはもちろん、スナック感覚でビールやハイボールのおつまみにもぴったり。バタートーストにのせたり、ちぎってサラダのトッピングにするのもおすすめです。
しみじみ癒やされる「そば米雑炊」
徳島県西部、三好市の山間に位置する祖谷(いや)地方は、「粗谷そば」で知られるそばの名産地。平家の落人が隠れ住み、そばの実を育てたことがきっかけといわれています。つなぎの粉を入れずにつくるため、一般的なそばに比べて麺が太く切れやすいものの、そば本来の甘味を味わえるのが魅力です。また「そば米雑炊」も郷土食。そば米とは、そばの実を塩ゆでして殻をむいて乾燥させたものです。ニンジンや、シイタケ、ネギなどの野菜、鶏肉とともにだしで煮込み、雑炊に仕上げた素朴な料理は地元で親しまれる一品です。
三好市・阿波池田ラクーンネット「秘境のめぐみ そば米ぞうすい」は、お湯を注ぐだけで、手軽に本場そのもののそば米雑炊を味わえるフリーズドライ商品。でも、フリーズドライとあなどるなかれ。ふっくらしたそばの実、鶏肉、ニンジン、油あげ、シイタケ、ネギと具だくさんな雑炊は、ボリューム満点。プチプチしたそば米の食感が楽しく、そばのとろみがほんのりついた優しい味わいのだし。想像以上のおいしさです。しみじみおなかの底から温まる、癒やしの味わいをぜひ試してみて。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)