落花生やはちみつを認定。千葉市の食のブランド「千」を食べ比べ

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第67回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。キャスター・リポーターを経て現在は食専門の話し手として活躍する千葉市出身の木村彩乃アナが、千葉市の食のブランド「千(せん)」についてレポートします。

市民が誇れる千葉市の「食」ブランドを認定

筆者

 千葉市の食のブランド「」は、「千葉市の食を千年先へ-未来に続く豊かな循環を食から-」をコンセプトに、2020年にスタートしました。
 都市と農村が近くにある千葉市だからこそ、生産と消費のバランスは大切です。市・事業者・生産者・市民が一体となって持続可能な、千年続く豊かな千葉市を目指す取り組みを取材しました。

4回分の認定品一覧

「千」に認定されるには、千葉市へ指定期間中に申請し、認定基準に基づく審査を受ける必要があります。エントリー資格があるのは千葉市産の農林水産物か、千葉県産の農林水産物を原材料とする加工食品、またはそれらを活用した食関連サービスです。

 認定基準には地域特性、独自性、安全性、持続可能性、地域貢献度ほか、多くの項目が用意されています。認定されると千葉市が販路拡大や消費者への広報・PRを実施し、事業者は認定品に「千」のシールを貼ってブランドをPRするなど、千葉市の食を一緒に盛り上げるメンバーとして活動することになります。

 2023年中には「第4回認定品」に多くの応募があり、決定した9商品と1サービスについて、2024年2月17日に認定証授与式と販売会が行われました。

DNA分析で蜜源を明確にしたはちみつ

はちみつ

千葉大学西千葉はちみつ」は、千葉大学の環境健康フィールド科学センターが、はちみつに含まれる微量の花粉をDNA分析し、どんな花からできているのかを科学的に特定したはちみつです。

 なぜDNA分析が必要なのか、千葉大学助教の三輪正幸先生に聞いてみると、「国内外で販売されているはちみつには、『レンゲはちみつ』など植物の名前とともに売られている商品が多く見られますが、記載されている植物名については養蜂家の経験や感性が根拠とされており、科学的根拠に乏しい場合が多く、間違っているケースもあります」とのこと。これまでの研究手法では、煩雑かつデータに曖昧さが含まれることが課題として挙げられていました。

 そこで千葉大学では、飼育しているセイヨウミツバチが持ち帰った花粉や、はちみつに含まれる微量の花粉をDNA分析することで、蜜源や花粉源となる植物を調査しているそうです。

三輪さん

 植物を特定することで再現性を生み、味の情報を伝えたり、消費者に植物に興味をもってもらうきっかけにしたり、はちみつの付加価値を高めたり、研究の狙いは多岐にわたっています。

はちみつの寄り

 販売会では4~7月の西千葉はちみつが並んでいました。よく見るとはちみつの色も蜜源によってまったく違います。「月ごとに採取しているため、季節に合わせて菜の花・エゴノキ・クローバーなどと蜜源の花が変わり、全然違う味になるので食べ比べしたり、花ごとの味わいを感じてみてほしいですね」と教えてくれました。

千葉の特産、落花生の加工食品

大吉豆

 落花生類の加工機械(自動砂糖かけ機、搬送機、粉砕機、自動脱皮機、フライヤーなど)の製造を行う「成光商会」から、2種の落花生の加工食品が認定されました。

 ひとつは「大吉豆 塩バター味」。落花生のなかでも最高級品種と言われる「千葉半立(ちばはんだち)」を使っています。「千葉半立は、とにかく味がよく、甘いです。なかでも味が凝縮した小粒サイズのみを選んでいて、見た目より味を重視しています」とのこと。

塩バター味の落花生

 素材はもちろんのこと「水分含有量の管理を徹底しています。ものづくりの技術をいかして、サクッとした食感に仕上げています」というように、しっかりとした食感と力強い落花生で、バターの香りとほどよい塩味が、とてもおいしいです。

甘納豆と赤ワイン

 もうひとつは「大吉豆 落花生甘納豆」。落花生の甘納豆って珍しいですが、こちらも「千葉半立」のみを使用しています。4日間かけて煮込んだり漬けたり蜜の糖度を変え、数々の製造工程を経るこだわりの逸品です。

 ナッツの油分は感じない自然な和菓子で、やわらかくしっとりした食感は、ゆでた落花生とも異なります。落花生のうま味がやさしくマイルドに仕上がって「赤ワインに合いますよ」とのお話は半信半疑でしたが…合いました! ワインの酸味と甘納豆の甘さが引き立てあって、両方の香りが混ざりながら立ち上がる、おもしろいペアリングです。

 パッケージには招き猫が描かれていたり、英語表記があったり。「日本の文化・千葉市の技術や食材が、世界にはばたくように思いのたけをつめこみました! それぞれのこだわりについてお話していいのならまだまだありますが、お時間は大丈夫ですか?(笑)」と、自信満々の企画者さん。サスティナブルな社会や地球環境を追求すること、農業の魅力を示すことは会社の使命として大切にしている、というお話も伺い、とても印象的でした。

知波乃実

煎り落花生Qなっつ

 ほかにも、有限会社虎屋による落花生ペーストと自家製白あんをサンドした和風ダックワーズ「知波乃実(ちばのみ)」や、あんばい農園の自然栽培「煎り落花生Qなっつ」など、千葉らしく3品も落花生関連が認定されました。

昔ながらの老舗商品の価値も再認識

田子作煎餅

 筆者の実家では毎日のようにバリバリ食べている田子作本舗の「田子作煎餅」も認定されていました。昭和29(1954)年創業の老舗せんべい屋で、千葉県産コシヒカリの強いうま味と千葉県産しょうゆの豊かな風味が広がるうす焼きせんべい。夏や冬の贈り物シーズンの需要が高いそう。

のり

 まもなく創業100年を迎える老舗のり問屋「大野商店」からは「大野商店の江戸前ちばのり推等級」が認定されました。わが家は定期的に大野商店ののりを買いだめし、きらさないようにしています。「千」を通して、今まであることが当たり前になっていた食べ物の価値をあらためて知るいいきっかけにもなりました。

認定式の様子

 食関連サービス分野からは、JA千葉みらい農産物直売所「しょいか~ご」による地域農業活性化の取り組みが選ばれました。生産者と消費者を結ぶ、千葉市を代表する直売所として、近隣の生産者の鮮度の高い農産物を常時150品目以上販売しています。「これからも人とのつながりを大事にしたいです。農業を通して千年先を考えます」と力強いメッセージをくれました。

 季節柄、会場に現物がなかったものでは、片岡ファームの樹熟スイカや、ファームサポート千葉の竹炭ブルーベリー(竹炭栽培)が認定されました。
 みなさんの地域ではどんな商品を千年先まで残したいですか? 千葉市の食ブランド「千」の認定品、ぜひ体験していただきたいです。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
<写真協力/千葉市>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第67回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト