しっかり食事をしているのに、体調が優れない、疲れがとれない…。そんなときは「体のリセット」が必要かもしれません。今回は、薬膳アテンダントの池田陽子さんに、福岡のアンテナショップで見つけた、リセットグルメを教えてもらいました。
老廃物をしっかり出して体をリセット
中国伝統医学の中医学では健康で美しい体をつくるために、栄養を取ると同時に余分なものを体から排泄することも大切、と考えます。現代人は、豊かな食事で補い過ぎの傾向に。体に毒素や老廃物などのごみをためこみがちなのです。そうなると体調不良とともに、美容面でも肌荒れ、吹き出もの、太りやすくなる、ダイエットをしてもなかなか体重が減らないなど、トラブルが続出することに。美しく健康な体づくりのためには、体内の老廃物を追い出す食材を取り入れることが大切です。
おすすめは、タケノコ、高菜、昆布。いずれも老廃物を便や尿で排泄する作用があります。今回は、福岡の食の幸がそろうアンテナショップ「ザ・博多有楽町店」から、体スッキリに役立つグルメをご紹介します。
ナチュラルな味わいの癒やし系高菜漬
ご飯のおとも、ラーメンのトッピング、お茶漬けにと福岡県民に愛されてやまない「高菜漬」。その原料となる高菜は、福岡県南部に位置するみやま市が生産量日本一を誇り、とくに瀬高町での栽培が盛ん。歯ごたえがよく、辛みや香りのバランスに優れた「三池高菜」という品種が育てられています。
その歴史は古く1900年頃に、旧柳川藩主立花公の命によって栽培が始まりました。寒暖の差がある気候のもと、肉質が厚くてやわらかく、うま味が豊富な高菜でつくられた高菜漬は、保存食として生産が盛んに。
ザ・博多有楽町店にもズラリと高菜漬が並びます。瀬高町の高菜漬加工メーカー・オニマルの「高菜炒め」(400円)は多くのファンをもつ商品。オニマルは明治37(1904)年創業。長期間漬けこんだ昔ながらの「古漬け」でつくられた高菜漬は、地元でも高い人気を誇ります。厳選した鮮度バツグンの高菜に、塩と純ウコンを独自の配合で合わせたものを振りかけ、たるの中でじっくりと乳酸発酵させています。
高菜炒めは、自慢の高菜漬をシンプルに油炒めた商品。乳酸発酵のマイルドな酸味に、油のコクと香ばしさが加わってより奥深い味わいに。油加減や塩気もほどよく、全体的にナチュラル、香りもよく、さっぱり目の優しい風味。なんだかほっとするおいしさです。卵や豆腐と合わせたくなる、癒やし系高菜をぜひお試しください。
小料理屋の総菜のような「糸島産メンマ」
ザ・博多で、今注目を集めているタケノコグルメがあります。糸島市・糸島フードラボが手がける「福岡産糸島メンマ」(販売 柳川市高橋商店 648円)は日本で流通するメンマの9割近くが輸入品というなか、大変貴重な国産品。今、日本各地で問題になっている放置竹林対策に取り組み、食資源として有効活用しようという試みから生まれたものです。自社で竹を伐採、材料として収穫。やわらかな穂先をボイルして塩漬けにしてから水戻しをして、しょうゆ、みりんなどの調味料で味つけして仕上げます。
コリっとした食感がありながら、びっくりするほどやわらか。そして、一般的なメンマにありがちなくさみやクセは皆無! そのまま食べてもちょうどよい、絶妙な加減で調味料がしみこんだメンマは「小料理屋のお総菜」のよう。なんとも上品な「和のメンマ」に感動! 中華のトッピングというよりも、炊きたてご飯、和の食卓に似合う味わいです。
爽快なピリ辛感でクセになるおいしさ「昆布の佃煮」
ザ・博多有楽町店でリピーター続出の人気を誇るのが北九州市・平尾水産「庄屋さんの昆布」(756円)。ピリ辛の昆布の佃煮です。海産物を中心に、おいしいご飯のおともの販売でしられる平尾水産の商品のなかでも、たびたびメディアに取り上げられるロングセラー商品。やわらかい北海道浜中産の高級長昆布に、赤唐辛子の辛味をきかせた商品は「ただ、単に辛い」というだけではありません。
辛さのなかにうま味を閉じ込めて、調和のとれた佃煮に仕上げることを追求。昆布の厚みや、赤唐辛子の種類、調味料の配合。調理の手順や各工程の時間まで徹底的に工夫を重ねて完成させたそうです。確にベースは、九州ならではの甘辛い味なのですが、そこにキリッとした赤唐辛子が絶妙な塩梅にきいていて、華やかな爽快感。クセになるおいしさで、ご飯が止まらなくなること間違いなし。
お茶漬けにするのがお気に入りで、昆布のうま味がより染み出たスパイシーなだしのおいしさったら(涙)。昆布の上質感が実感できる、とろりとなめらかな食感もたまりません。卵焼きの具にしたり、キュウリやキャベツとあえておつまみにするのもおすすめです。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)