温め厳禁の冷たい唐揚げが絶品。福岡アンテナショップの鶏肉グルメ

風邪がなかなか治らない。熱は下がったけれど体がいつまでもだるく、せきが残る…。そんな季節の変わり目などの体調不良にぴったりのグルメがあると教えてくれたのが薬膳アテンダントの池田陽子さん。福岡のアンテナショップで買えるおすすめグルメを教えてもらいました。

疲れやすいと感じたら鶏肉がおすすめ

ザ・博多有楽町店
福岡の食の幸がそろう「ザ・博多有楽町店」

 中国伝統医学である中医学において風邪をひいたあとは、病気と闘ったことで「気」が失われた状態と考えます。気とは全身の至るところを流れている目には見えないエネルギー。生命活動を維持する働きをもち、不足すると常に倦怠感や疲労感がおきてしまいます。回復のためには、しっかり気を補う食材を取り入れましょう。

 おすすめは鶏肉。気を充実させるパワーが高く、気を補うための薬膳によく用いられ、古来、病後の滋養強壮によいとされています。消化吸収にも優れ体力増進を図れるので、日頃から疲れやすいという人によいお肉です。今回は福岡の食の幸がそろう「ザ・博多有楽町店」を訪ねて、とっておき鶏肉グルメをご紹介します。

プルプルのゼリー状。鶏と塩だけの「極上水炊きスープ」

善PRRMIUM水たきスープ
「善PRRMIUM水たきスープ」(594円)

 福岡を代表する郷土料理といえば「水炊き」。トリゼンフーズ「善PRRMIUM水たきスープ」(594円)は、水たき料亭「華味鳥(はなみどり)」の味わいをおうちで手軽に楽しめるスープです。華味鳥は、鶏肉の卸を行っていた河津善陽氏が、精肉店の2階で水炊きを提供したのが始まり。おいしい水炊きのためには、良質な鶏が欠かせないと自ら養鶏に携わり、ブランド鶏「華味鳥」を育てました。華味鳥は、九州北部に位置する開口部の多い「開放鶏舎」で、さわやかな風と太陽のもと、元気に走り回って育ちます。

 エサは海藻、ハーブ、ブドウの絞りかす、木酢液、腸内環境を整える飼料がプラスされたもの。健康的に飼育された鶏は鶏肉特有のクセがなく、はっきりしたうま味があるのが魅力です。善PRRMIUM水たきスープは、「華味鳥」の鶏ガラと丸鶏を使用して5~6時間、じっくりと炊き出してあります。加えているのは塩だけ、もちろん化学調味料も不要です。レトルトパウチをあけると、中身はプルプルのゼリー状! 鶏から出たたっぷりのコラーゲンで固まっています。

善PRRMIUM水たきスープ
中身はプルプルのゼリー状!

 鍋に入れ、鶏肉を加えて加熱したら、店舗同様スープのみを楽しみます。カップにスープを注ぎ、塩と細ネギをひとつまみ入れて飲んでみると。白濁したスープは濃く、うま味があるのに、雑味がなくてあと味がすっきりとしたエレガントな味わい。おかゆのようななめらかなマイルド感、カラダが元気になりそうな滋味あふれる深い味わい。鶏と塩だけなのに、このおいしさ!
 細胞が生き返り、ピチピチするような味わいです。続いてキャベツやニンジン、キノコ、豆腐などを入れて、たっぷりおいしいスープを吸った具材をポン酢やユズコショウでどうぞ。しめの雑炊も至福のひとときですよ。

善PRRMIUM水たきスープ
あと味がすっきりとしたエレガントな味わい

おばあちゃんの味つけ。優しさにあふれる「かしわ飯」

かしわ飯の素
「かしわ飯の素」599円

 福岡のソウルフード「かしわ飯」。鶏肉と野菜などの具材を炊き込んだ炊き込みご飯で、うどん屋や定食屋の定番メニューであり、お弁当でも知られています。豊前市・よかろうは昭和34(1959)年に総菜と仕出しの店として創業。看板商品のかしわ飯を手軽におうちで再現できるのが「かしわ飯の素」(599円)です。
 初代社長が考案したレシピは、今もそのまま変えることなく忠実に守られています。鶏肉はうま味が強く、肉質が柔らかくて歯切れのよい九州産若鶏を使用。脂も甘く、ご飯にいきわたることもポイントだそう。

かしわ飯の素
手づくり感が楽しめる

 具材のゴボウ、ニンジン、シイタケ、こんにゃく、油揚げはすべて国産品。味や香りを吟味したものです。味つけに使う調味料は、地元のしょうゆ数種をブレンド。甘くて濃いめに仕上げてあります。炊き立てご飯に混ぜ込んで蒸らすこと5分。炊飯器をあけると、食をそそるいい香り! 鶏肉のうま味、たっぷり入った具材ひとつひとつのうま味が一体となった具材たっぷりのかしわ飯は「レトルトに入っていた」とは思えないほど、「手づくり感」いっぱい。

 ふっくらした鶏肉はかむたびにうま味にあふれ、具材はそれぞれ味わいがしっかり感じられます。かなりしっかりした味つけですが、それはくどさではなく同社が目指しているという「お母さんではなくおばあちゃんの味つけ」。どこか懐かしく、何個も食べてしまうおにぎりのような優しさにあふれています。ああ、また食べたい、としみじみ思うおいしさです。

温め厳禁、冷たいまま食べるサクサク唐揚げ

努努鶏(ゆめゆめどり)
「努努鶏(ゆめゆめどり)」1080円

 ザ・博多の売り上げトップを誇るのが、福岡市・鳥一番フードサービスの「努努鶏(ゆめゆめどり)」(1080円)。前代未聞の冷たい唐揚げです。その名のとおり冷凍のまま、あるいは5~10分自然解凍して食べるというミラクルな商品。昭和47(1972)年に創業、鶏専門店として成長をとげてきた鳥一番フードサービス。どこにもマネできない商品を、と開発したのが努努鶏。普通、唐揚げは下味をつけて油で揚げてつくられますが、努努鶏は、下味ナシで高温の油で揚げ、そののちにタレをからめて冷やす、というまさかの調理法。

努努鶏(ゆめゆめどり)
売り上げトップも納得のおいしさ

 パッケージをあけると見た目は、普通の鶏手羽のから揚げ。凍っている感じはしません。正直、まったく味のイメージがつきませんが食べてみると…。あれ、サクサク。香ばしい! 冷たいせいか脂のベタっとした感じもなく、身もほどよいかたさで、かむたびに甘辛さをまとった肉のうま味が感じられて2本、3本とついつい食べてしまうおいしさ。ビールやハイボールにぴったりです。つい温めてみるとどうなのかな? と思いますが、パッケージに「決して温めないでください」とあるとおり、冷たいまま食べるほうがおいしいです(笑)

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)