絶品塩辛やスティックくさやが人気。伊豆・小笠原諸島の美容にうれしいグルメ

「魚には美容に役立つ成分がたくさん」という薬膳アテンダントの池田陽子さん。伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップで見つけた、美容にうれしいパワーが期待できるグルメを教えてもらいました

シーフードには美に役立つグルメがいっぱい

東京愛らんど
東京愛らんど

 シーフードのなかでもイカは肌荒れ改善におすすめ。中国伝統医学の中医学においては全身に栄養を与える液体である「血」が不足すると、肌にも栄養がいきわたらず肌荒れ、顔色の悪さ、肌のくすみを引き起こすと考えます。イカは造血作用が高く、また婦人科系トラブルの改善にも役立つ、女子の強いミカタ的存在なのです。また、シミ撃退によいのがアジ。シミは「血のめぐり」の悪さが原因。血行不良は新陳代謝の衰えを引き起こし、老廃物がたまることでシミが現れてしまうのです。薬膳において、魚は美容に役立つうれしいさまざまなパワーがあります。

 そして、ストレスが多い、イライラすると食に走りがち、という人のダイエット対策によいのがメカジキ。ストレスを食で解消する傾向がある人、また生理前にイライラして食欲過剰になる人は、人間のエネルギー源である「気」が滞りがち。中医学で「気滞」とよばれる状態ですが、血や水の動きが悪くなり、水分や脂肪もためこみやすくなります。メカジキは気のめぐりをスムーズにしてリラックスさせる働きがあります。ストレスを改善して、体重増加に歯止めをかけましょう。今回は伊豆諸島・小笠原諸島の食の幸がそろうアンテナショップ「東京愛らんど」を訪ねて、とっておきのシーフードグルメを紹介します。

リピーター続出のアカイカを使った絶品塩辛

赤イカ 塩辛 中辛
「赤イカ入塩辛 中辛」(1200円)

 東京愛らんどで絶大な人気を誇るのが、神津島・丸金商店「赤イカ入塩辛 中辛」(1200円)。一度食べるとやみつきになる、リピーター続出の逸品で、伊豆諸島で多くとれるアカイカ(ケンサキイカ)をたっぷりと使用した塩辛です。アカイカはイカのなかでも、うま味と甘味が強く、肉厚でやわらかく、もっちりした食感が魅力。「イカの王様」とも呼ばれる高級イカで、とろけるような食感に仕上げるために、丁寧に1枚1枚皮をはいでカットして使います。

 塩辛のコクを出すために、アカイカのとくに濃厚な部分とスルメイカのキモをブレンド。塩は大島の天然塩を使用。一般的な塩辛は塩分8~12%のところ、丸金商店では、4.8~5.2%に抑えているのも大きな特長。塩を多く使わなくとも、素材のうま味を十分に引き出しているのです。

 さらに丸金商店のイカ塩辛の味の決め手となるのは、神津島で無農薬有機栽培された「島唐辛子」。爽快な辛味が特長の唐辛子の味わいをより深みのある味わいにするために、熟していない緑のものと熟した赤いものをブレンドしています。さらにイカのプリッとした歯ごたえを引き立て、食感にリズムをもたせるために、プチプチしたトビッコもプラス。隠し味に、はちみつやみりんなども加えて仕上げます。

赤イカ入塩辛 中辛
食べ始めたら止まらなくなるおいしさ

 とことんこだわった塩辛を食べてみると…。まろやかでコクがあり、しょっぱさの少ないマイルドなタレをまとったイカは、プリプリのあとにムチッ、ねっとりとからみつくような食感。とんでもなくみずみずしさをキープしているのも驚きです。塩辛にありがちなクセやくさみも一切ありません。そして、爽快で単調ではない辛味であと味もすっきり。とても優しい味わいです。トビッコのプチプチもよいアクセントで、ついもうひと口と止まらなくなるおいしさです 酒肴というより、「イカ刺の肝あえ」と行ったほうがいいくらいの完成度!

 塩辛が苦手なでも、これは大丈夫、という人が多いのもうなずけます。お酒のつまみとしてはもちろん、炊き立ての白いごはんとも最高の相性。じゃがバターにのせたり、オリーブオイルとともにパスタにアレンジしたりするのもおすすめ。あっという間にひとビンがなくなってしまう、感動モノの「エンドレス塩辛」ぜひお試しを。

ニオイも少なく手軽に食べられる「スティックくさや」

けんちゃん家の焼くさや棒
「けんちゃん家の焼くさや棒」(1本320円)

 伊豆諸島の名物といえば「くさや」。ムロアジ、トビウオなどを、水、塩、漬けた魚の成分によって長い時間をかけて発酵した「くさや液」に漬けこんで干物にしたものです。くさやは島の厳しい生活から生まれたもの。島の人々は、魚を保存するためにおけの中に塩水を入れて漬け込み干物にしていました。貴重だった塩や水を有効活用するべく、一度使った塩水に塩を何回も加え、何度も漬け込みを繰り返すうちに微生物が生まれ、塩水が発酵。独特な味と香りがある、くさや液ができたといわれています。ぬかみそのように、日々かき混ぜて手入れされ、200年以上も前から使われているものもあるのだそう。

けんちゃん家の焼くさや棒
焼酎や白ワインのおつまみにぴったり

 東京愛らんどにも、さまざまなくさやが並んでいますが、最近人気なのがスティック状のくさや。大島・まるい水産の「けんちゃん家の焼くさや棒」(1本320円)は焼き上げたものを片手でも食べやすい状態にカットしたもので、ニオイも少なく、そのまま手軽にいただけます。手軽に食べられるといっても、受け継がれた伝統の技で仕上げた一品です。

 大島でくさやづくりを始めてから300年の歴史をもつ、まるい水産。秘伝のくさや液は、長年にわたって継ぎたし、かき混ぜて手入れをしたもの。そこに大島の近海で獲れたムロアジを鮮度バツグンのうちにスピーディにさばき、季節に合わせて温度や塩度を調整したくさや液に漬け込んだのち、水洗い、乾燥させて仕上げます。ほどよくカットして焼いたくさやは、焼きたてをパックにつめこんで完成。開封してみると、ニオイはほぼなし。かじると、ぎゅっとつまったコクのあるうま味、そして最後に独特のチーズのような発酵風味。芳醇な風味で魚を華のあるおいしさに仕上げています。焼酎や白ワインのおつまみにぴったり。長い歴史が育んだ味わいを、気軽に楽しんでみて。

メカジキがたっぷり入った、肉に負けないカレー

メカジキカレー
小笠原島漁業協同組合「メカジキカレー」(770円)

 小笠原諸島でもっとも多く水揚げされる魚は「メカジキ」。独特の「小笠原式深海縦縄漁」という漁法で通年漁獲され、年間約3000尾が水揚げされる一大産地です。小笠原のメカジキは身がふっくらして、とろける味わいが魅力。とくにメカジキでまち起こしに取り組む父島のレストランでは、ステーキ、唐揚げ、カレーなどで提供され好評を博しています。父島にある小笠原島漁業協同組合「メカジキカレー」(770円)は、「もっと小笠原のメカジキを多くの人に食べてもらいたい」と開発されたもの。鮮度バツグンのメカジキをたっぷり入れて、仕上げてあります。

メカジキカレー
お肉が入ったカレーにも負けないおいしさ

 レトルトをあけてご飯にかけてみると、これでもかというほど、ゴロゴロ入ったメカジキ! ホクホクと食感もよく、淡泊なイメージの強いメカジキですが、カレーに負けない豊かなうま味に驚きます。スパイスがきいているけれどどこか優しく、穏やか風味なのは小笠原のメカジキだからこそ。肉のカレーに引けを取らない、大満足のおいしさです。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)