肌のコンディションが悪い、なんだか最近太り気味、などの悩みは食養生が大切と教えてくれたのは、薬膳アテンダントの池田陽子さん。今回は新潟県上越地域のアンテナショップで見つけた、肌に優しいグルメを紹介します。
雪國商店のイチゴ、黒キクラゲ、ハスの葉を使ったグルメ
肌がカサカサ、ゴワゴワ…。肌荒れは「血の不足」が大きな原因と中国伝統医学の中医学では考えます。血は肌に栄養を与える成分で、不足すると肌荒れや顔色が悪いといったトラブルを引き起こしやすいのです。そこで、食材でしっかりと血を補いましょう。おすすめは、イチゴなどのベリー類。すみやかに体内に血をチャージする働きがあります。
また、ひとつできると、めっきり老けこんで見えるシミ。中医学では、シミの原因は血のめぐりの悪さにあるとしています。滞って体のすみずみまでいきわたらないと肌の新陳代謝が衰えて老廃物がたまり、シミが現れやすくなるのです。改善のためには血行促進によい食材を取り入れる必要があります。おすすめは黒キクラゲ。血のめぐりをよくするとともに肌の老化にもよく、美白対策に役立ちますよ!
ダイエットのためにはハスの葉がおすすめ。あまりなじみがないかもしれませんが、中国やベトナムなどでお茶として親しまれています。体内の余分な水分や老廃物を排出する作用があり、スリムダウンに貢献するとされています。今回は、新潟県上越地域の特産品を販売する「上越妙高 新潟食の蔵 雪國商店」で見つけた、美に役立つグルメを紹介します。
ブランドイチゴ「越後姫」のフリーズドライ
雪國商店で、とても愛らしいイチゴグルメを発見しました。上越市「苺の花ことば」の「ふわっと越後姫」(350円)は、新潟県のブランドイチゴ「越後姫」をフリーズドライにした商品。越後姫は、新潟県が開発に6年かけ、1994年にデビューを果たしたイチゴです。大粒でジューシー。そして日照時間が少ない新潟で、じっくり光合成をさせて育てることで、甘味が際立っているという特長があります。 ただし、実が柔らかくデリケートなため、あまり県外に出回らない貴重なイチゴでもあります。
「苺の花ことば」は、大潟区に2013年にオープン。限りなく自然に近い環境で、ハウス定植後は化学農薬を使わずに、安心・安全なおいしいイチゴを栽培しています。表皮が薄くて、甘い香りがするイチゴは、病気に弱く害虫の被害を受けやすく、農薬不使用はなかなか難しいフルーツです。けれど苺の花ことばでは、技術と知識を駆使して自然由来の薬剤を使用したり、ハウス内の環境を自然な状態に近づけたりすることで、テントウ虫などに害虫を「食べて」駆除させるという方法で化学農薬を使うことなく栽培を行っています。
また、イチゴの量より質にこだわる「一つ芽栽培」を採用。通常、イチゴはひとつの苗から複数の芽が生えて、なん粒もの実が実ります。数は増えても、根から吸収した栄養成分は多くの実に分散して味は落ちてしまうのです。味を落とさないために、あえて脇にある芽を摘み、ひとつの芽に集中させる一つ芽栽培で、収穫量より味を追求。手間ひまかけて育てたイチゴは、全国にファンをもち、海外からもそのおいしさを楽しみにツアーを組んでイチゴ狩りに訪れる人々もいるほどだそう。
「ふわっと越後姫」は、手間ひまかけて育てた越後姫を、その名のとおり「ふわっ」とした食感のドライフルーツに仕上げたもの。砂糖や添加物は一切不使用。パッケージをあけると、すぐにふわりと漂う甘い香り。かむと「ふわふわサクサク」。ジューシーでナチュラルなイチゴの甘味が、口いっぱいに広がり、ラムネのように、すうっと溶けていきます。そして、まるで摘み立てのイチゴを食べたときのような鮮やかなあと味! 越後姫のおいしさが、生とは違う楽しさで堪能できます。ミルクや紅茶に入れていただくのもおすすめ!
黒キクラゲ入りのカラフルなかまぼこ
日本海の幸に恵まれた新潟は、かまぼこも特産品のひとつ。雪國商店にもさまざまなかまぼこが並びます。雪國商店の三上さんによると「上越界隈では、かまぼこに黒きくらげが入っていることが多く、人気が高い」のだそう。
上越市「平八蒲鉾」の黒キクラゲ入りかまぼこも、ファンが多い商品です。平八蒲鉾は、大正2(1913)年、高田藩城下町の花街として、料理屋が軒を連ねる仲町で創業。料理人たちの依頼で、お膳や引き出物に使うかまぼこをつくってきたという歴史があります。そのため、数々の素材を混ぜこんだ「仕込み蒲鉾」の高い技術を誇っています。今もなお、創業以来の技を駆使。厳選した魚は繊維を壊さないように、石臼で丁寧に練り上げ、きめ細やかでありながら、しっかりした歯ごたえ、ほどよい弾力のあるかまぼこに仕上げます。
具は黒キクラゲのみのシンプルな「きくらげかまぼこ」が定番ですが、「きくらげちぎり」(540円)も、人気商品。キクラゲに加えて、枝豆、卵焼きが入った、彩り豊かな、一口サイズのかまぼこです。ころんと愛らしいかまぼこは、かんでみるとなんともジューシー。つるんとした「かたまり感」は一切なく、みずみずしく、ザクザクした食感に驚きます。そして、魚本来のうま味が炸裂! たっぷり入ったキクラゲのコリコリ感、枝豆の青い風味、卵焼きの甘味で、小さいながらかまぼこが多彩な表情の味わいに。一度食べるとハマること間違いなしです!
高田城址のハスの葉を使った「雪蓮茶」
上越市の観光で欠かせないスポットといえば「高田城址公園」。徳川家康の六男・松平忠輝のとして築城された高田城の跡に整備された公園で、新潟県の史跡に指定されています。春は桜の名所として知られていますが、7~8月ごろ、外堀一面にハスの花が咲き誇る姿は圧巻。東京ドーム約4個分の広さを埋めつくす光景は東洋一といわれ、「高田城址公園観蓮会」も開催されています。ハスは見るだけではありません。観蓮会の時季には、市内の飲食店で高田城址公園の蓮の葉や、実を使ったスイーツや、料理も提供しています。
見て味わえるハスを、通年手軽に楽しめるのが、上越市・フーディーコネクトの「雪蓮茶」(183円)。雪深い高田城址公園で冬を越した「雪蓮」を使ったお茶です。乾燥させた雪蓮の葉に、ジャスミン茶、プーアール茶、黒烏龍茶をブレンド。クセがなくすっきりした味に仕上げてあります。飲んでみると、ハスの葉の甘い香り、まろやかな風味に、コクやさわやかさが加わってふくよかな味わい。ほっと一息つきたいときにぴったりの、癒やされる味わい。蓮を描いたパッケージデザインもおしゃれで、ギフトにもぴったりです。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)