―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.2/池田陽子]―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。第2回目は前回に続いて「日本橋とやま館」を訪問し、富山ならではのグルメを紹介したいと思います
江戸時代から続く富山の「くすりの歴史」
「くすり」といえば「富山」。医薬品産業が盛んな富山の、くすりの歴史は江戸時代にまで遡ります。1690(元禄3)年、富山藩2代目藩主・前田正甫(まさとし)公が、江戸城で激しい腹痛に襲われた大名に携帯していた丸薬「反魂丹(はんごんたん)」を与えたところ、たちまち痛みが治まりました。周りにいた大名たちは、その効果に驚き、自国での販売を求めたのです。
当時、たび重なる河川の氾濫で水害が続発し、財政が逼迫していた富山藩。正甫公は、異例だった「領外勝手」を発布し、全国各地への薬の行商を推奨。これが「越中富山の薬売り」のはじまりでした。
富山県アンテナショップ「日本橋とやま館」には、そんな「薬都」富山ならではのグルメも揃っています。
滋養強壮に役立ちやさしい甘さ。江戸時代からの麦芽水飴
江戸時代末期の富山で、薬製造とともに栄えたのが「飴屋」。苦みの強い丸薬を飲みやすくするために使われていたのが「麦芽水飴」です。「幸のこわけ 麦芽水飴」(540円・税込)は、創業1663年を誇る島川製飴が、昔ながらのこだわりの製法で作り上げた逸品。砂糖を使わずに、麦芽とでんぷんのみを使用。富山の美しい水とともに樽の中で一晩寝かせ、鉄窯でていねいに炊き上げます。
じつは、麦芽水飴は薬膳において、「膠飴(こうい)」と呼ばれる生薬。滋養強壮によく、お腹をあたためて胃痛を改善したり、咳止めにも役立つとされます。黄金色に輝く美しい水飴は、あっさりとした優しい甘さで、後味はすっきり。ナチュラルな味わいが魅力です。飲み物の甘味付けはもちろん、トーストにぬっても美味しくいただけます。みりん代わりに料理に使うのもおすすめ。コクが出て美味しく仕上がります。
美肌にも!生産量日本一のハトムギを使ったサクサクのシリアル
富山県はハトムギの生産量が日本一。ハトムギは薬膳で多用される食材。美肌効果が高く、肌に潤いを与えシワ、シミ、吹き出ものに威力を発揮するといわれて、美肌薬膳には欠かせない食材なのです。
また、身体に必要な水分を与えつつ余分な水分や毒素を排泄させるのでむくみ、便秘の改善、疲労回復にも役立つといわれます。そんなハトムギを手軽に楽しめるが「とやまのはとむぎシリアル」(いなば農業協同組合・378円・税込)。厳選した富山産のハトムギの外皮を取り除き、ほどよく焙煎。そのまま食べても香ばしく、サクサクした食感で美味。牛乳をかけて朝ご飯に、サラダやスープやお茶漬けのトッピングに使うのもおすすめです。防腐剤・化学調味料・着色料・香料不使用なのもうれしい。
富山湾の宝石・シロエビのうまみが楽しめる絶品ふりかけ
「薬都富山のめぐみ 食やくシリーズ」は、健康によい富山県産の原材料を使った美味しいラインナップが揃っています。「えごまと白えびふりかけ」(540円・税込)は、富山を代表する海の幸・シロエビと、黒ゴマ、富山産えごまの種などを使ったふりかけ。エビは中医学で老化をつかさどる臓器「腎」の働きを高めて、アンチエイジングに役立つ食材。黒ゴマも同様の効果があるとされます。
まさに、若返りふりかけ! シロエビのほんのりした甘み、ふんわり上品なうまみがしっかりと楽しめるふりかけは、ご飯はもちろん、バターを塗ったトーストにふりかけていただくのもおすすめです。
。―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.2/池田陽子]―
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など