1位は石川県の「マルガージェラート」ジェラートマエストロコンテスト開催

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第71回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。現在はスイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーとして全国で活躍する木村彩乃アナが、一般審査員として参加したジェラートマエストロコンテストをレポートします。

全国のジェラート職人が競うコンテスト

審査している木村アナ

 2024年5月19日、日本ジェラート協会主催の「第6回ジェラートマエストロコンテスト」が千葉県で開催され、北海道や兵庫県など、全国から10名のファイナリストが出場しました。審査員・一般審査員・来場者の前で、動画紹介・プレゼン・試食などを行うコンテストです。

ファイナリストたち

黒落花生のジェラート

 今回のテーマは「驚愕のナッツジェラート」です。ナッツは海外産が多いですが、たとえば茨城県・ジェラートMの緑川さんは地場産の黒落花生を使用しており、はじめて知る食材やその使い方に、テーマのとおりうれしい驚きが生まれます。

 ナッツのほかにも、富山県・戸出ジェラートの東野さんは地元の塩を取り入れたり、神奈川県・YOKOHAMA SORAIRO gelatoの藤田さんは湘南ゴールド(かんきつ類)を使うなど、各地のおいしい特産品にも出合えました。

みずみずしい「ようかん」ジェラート

3位の岩内さん

 3位に選ばれたのは、東京都・マリオジェラテリアの岩内さん。「ピスタチオ水羊羹」という作品です。水ようかんジェラートってなんだろう? と食べる前は想像できなかったのですが、実際に食べたら納得の味わいでした。

ピスタチオの羊羹ジェラート

 水ようかんジェラートというワードがぴったりな味と食感で、水ようかんのスッキリとした甘さが見事に表現されていました。白あんとピスタチオを合わせてから過熱してデンプンを壊すことで、あんのざらつきのない、なめらかなジェラートに仕上げたそうです。元和菓子職人・現ジェラートマエストロの岩内さんにしかつくれない、和も洋も感じられるさわやかなジェラートでした。

兵庫県のレモンやはちみつを異国風味に

2位の黒木さん

 2位は、兵庫県・Gelateria Monctionの黒木さん。「コンスタンティノープル 三大陸のナッツとバクラヴァ」という作品です。バクラヴァとは、ナッツ類の入ったパイ生地にシロップがかかったトルコで有名な伝統菓子です。

コンスタンティノーブル

 マカダミアナッツに淡路島のレモン、ピーカンナッツに神戸のはちみつを合わせることで、ナッツジェラートでありながらフルーティーさも感じられました。淡路島産アレンユーレカレモンは、香りが豊かで、酸味がさわやかなのが特徴です。元バックパッカーで元農業従事者の黒木さんらしい組み合わせでした。

1位に輝いたのは石川県「マルガージェラート」

1位のジェラート

 見事1位に輝いたのは、石川県・マルガージェラートの羽間(はま)さん。「3種のナッツとリコッタ~柑橘とバニラ~」という作品です。

石川県の羽間さん

 ベースはコクのあるリコッタチーズのジェラートです。チーズは能登の限定生乳(一定の基準をクリアした能登酪農家5軒の生乳)を石川県のラボで加工してつくっていて、隠し味として能登の塩を0.1%配合することで味に奥行きをもたらしているそうです。

 羽間さんにこだわりを伺うと「震災以降、能登の限定生乳が入ってこない状況が数か月続いたんです。再開してラボに生乳が仕入れられたとき、スタッフ皆で味わい、ああやっぱり自然の甘味が生きているねと、貴重な牛乳のおいしさをかみしめました。今回のコンテスト作品でも能登の生乳のすばらしさをジェラートをとおして多くの方にお届けしたい、との思いから使用しています」と教えてくれました。

カップに入った1位のジェラート

 思いの詰まったジェラートの中には、3種のナッツ・自家製のハッサクピール・チョコチップ・フランボワーズソース・レモン・バニラなどが入っています。これだけ多くの食材が使われていても、ひとつひとつがケンカすることなく、しっかりとなめらかなジェラートになじんでいて、おいしいうえにいろいろな食感と香りの変化を楽しめ、幸福な時間を過ごせます。

 羽間さんは受賞のコメントとして、「能登の酪農家をはじめ、珠洲にある製塩所の職人など、生産者はこの震災を乗り越えて懸命に努力し、ジェラートラボに届けてくださっています。その気持ちを考えると牛乳一滴もムダにできない。能登の自然の一表現者であるジェラティエーレは、『素材をそのまま味わうよりもおいしく』という意識で、地域素材のポテンシャルを最大限に引き出すべく、さらに勉強してテクニックを磨かなければならないと、気持ちを新たにしています。そして、この受賞を機にイタリア大会にも挑戦し、国内の後進の育成に力を注ぎ、日本のジェラート技術のボトムアップの一助を担いたいです」とおっしゃっていました。

能登の店頭のジェラートの様子

 筆者は数年前に能登のお店へ行ったことがあり、あまりのおいしさに3回も並び直しておかわりしたほど。能登の生乳と旬の果物、野菜を使った絶品ジェラート、ぜひ多くの方に味わっていただきたいです。

 そのほかのジェラートも甲乙つけがたく、特別賞に選ばれた静岡県・伊豆高原ジェラート工房R65の六郷さんは、テクスチャーのよさやかんきつのおいしさが印象に残っています。オレンジの外側の皮だけでなく、内側のアルベドという部分まで使い、苦味をいかしてナッツのボディに負けないように仕上げたそうです。

 北海道・Le Glacler TOKACHIの岸本さんのジェラートは、優雅な香りの広がりがジェラートという概念をはるかに超えた驚愕のおいしさで、絶対にまた食べたい!と感激しました。アンティカ ジェラテリアは北海道のふるさと納税に関わっていたり、新潟県のジェラテリアココはお取り寄せがあったり、ご近所になくても楽しめるという気づきもありました。
 今年の夏はお気に入りのジェラートを探して、暑さをおいしく楽しむのはいかがでしょうか。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
<写真協力/マルガ―ジェラート>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第71回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト