湿度が高く、蒸し暑い夏は体調を崩しがち。そんな時季におすすめのアイテムを山形県河北町のアンテナショップ 「かほくらし」で発見。薬膳アテンダントの池田陽子さんが紹介してくれました。
豆やリンゴで元気を取り戻す
中国伝統医学・中医学では、湿気が体内に入り込んで余分な水分がたまることから体調不良を引き起こすと考えます。湿気は、消化や水分代謝をつかさどる「脾」とよばれる臓器を弱めます。脾の働きが弱まると、頭や体が重だるい、むくみ、下痢、食欲不振、消化不良といった症状があらわれやすくなります。この時季は、脾を強める食材を取り入れることが大切です。
おすすめは豆。脾の働きをアップするとともに、体内の過剰な水分を排出する効果があるのです。フルーツでは、リンゴが脾のサポートに役立ちます。今回は山形県河北町アンテナショップ 「かほくらし」で見つけた、おすすめの豆・リンゴグルメをご紹介します。
なめらかな甘さの絶品リンゴジュース
河北町は山形県のほぼ中央に位置し、万年雪を抱いた月山や、雄大な朝日岳、そして樹氷で知られる蔵王を遠くに臨み、最上川と寒河江川に囲まれた風光明媚な環境で知られています。恵まれた環境で育まれたおいしいお米や畜産物、盆地特有の寒暖差によって甘味を十分に蓄えたフルーツや野菜などの農産物が生産されています。
河北町はリンゴの生産も盛んです。なかでも高い人気を誇るのが「クダモノラクエン」の「りんごジュース」(650円)。「クダモノラクエン」は、地元の畜産農家の牛ふんや酒蔵の酒かす、もみがらなどをブレンドした「地域循環型自家製堆肥」を使い、リンゴをはじめとするフルーツや野菜を栽培しています。
そして、味はとてもおいしいものの、乾燥やひび割れが目立ち販売できなかったリンゴを使ったジュースの加工販売も手がけています。なんと水を一滴も使わず、丁寧な手絞りでつくられているんです。
リンゴはジュースに適した状態を見極めて収穫。新鮮なうちにジューサーにかけて、果汁とかすにわけます。果汁は、豆腐づくりにも使われるという、目の細かい布で、手作業で絞りながらこし、沸騰させないように気をつけながら一定の温度になるまで加熱。丁寧にアクをとって、仕上げます。
水も着色料や保存料も一切使わないリンゴジュースは、リンゴそのものの美しい黄金色。なめらかで、まるでリンゴの蜜のようなピュアな甘さにうっとり。そしてあと味はすっきり。雑味も一切ありません。リンゴの優しさにホッと癒やされる味わいです。
一度食べると止まらない「秘伝豆の煎り豆」
山形の豆といえば「だだちゃ豆」がよく知られていますが、最近注目されているのが「秘伝豆」。東北地方をメインに栽培が盛んな青大豆の一種です。9月下旬から10月上旬に収穫、豆の粒が大きく、食べごたえがあり、味が濃くて香ばしいと人気を集めています。
そのおいしさを手軽に味わえるのが、まきの農園「すぐ食べれる煎り豆 秘伝」(396円)。まきの農園は、土地柄を見極めた作物の植えつけ、根を健康に保つ高い技術で、味が濃くておいしいお米や豆、イタリア野菜などを栽培していることで知られています。
「すぐ食べれる煎り豆 秘伝」は、大豆栽培において数々の受賞歴がある、まきの農園の絶品秘伝豆を、じっくりいって仕上げたもの。味つけを一切していないので、秘伝豆本来の味わいを楽しめます。
サクサクした秘伝豆は香ばしく、かんでいるうちに、豊かな風味が口の中いっぱいに広がります。力強いコク、まろやかなうま味、なめらかな甘味…。彩りのある味わいで、一粒食べるとまた一粒。止まらなくなるおいしさです。
華やかで爽快な味わいが魅力の「秘伝豆麹のおかず味噌」
「かほくらし」では、豆麹を使ったみそも販売されています。「矢ノ目糀屋」は、保存料や添加物を一切使用しない天然醸造にこだわったみそづくりで知られるお店。村山市にあった矢ノ目糀屋の4代目を河北町で継承し、代々受け継がれてきた木樽で仕込んだ、看板商品の「五八みそ」は、手仕事の麹フタ製法で麹を育てて、発酵止めをすることなく出荷されるため、熟成してうま味が増す「育つみそ」ともよばれ、好評を博しています。
「秘伝豆麹の旨辛みそ 花椒と韓国唐辛子」(930円)は、秘伝豆麹を使ったおかずみそ。花椒の華やかでスパイシーな風味と、キリリとストレートな辛味のある韓国唐辛子がきいたまろやかなみそは、そのままでもおつまみになるおいしさです。もちろんご飯にのせたり、豆腐に添えてもぴったりですが、野菜につけていただくのもおすすめ。驚くほど、野菜の甘味が引き立ちます。
その後にみそのうま味、爽快な辛味が鮮やかに感じるので、野菜が「無限に」食べられそう。マヨネーズをプラスしてもコクうまで、複雑な味わいのディップになります。「使いこなしがいがある」おかずみそをぜひお試しを。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)