夏の終わり、猛烈な日差しを受けた肌がすっかり弱る頃。そんな時季におすすめのグルメ情報を、薬膳アテンダントの池田陽子さんに教えてもらいました。今回は北海道中川町のサテライトスペースで見つけたおいしいものをご紹介。
体内の水分不足を食材で補う
夏の間、汗をかき続けたことで、この時季は体内の水分が不足しがち。肌の乾燥やシミにつながりやすくなります。そこで、体にうるおいを与える食材を取り入れることが大切。肌に水分をチャージするのにおすすめなのがはちみつで、うるおいのある美肌に役立ちます。
また、夏は水分ばかりか肌に栄養を与える成分である「血」も目減りしやすくなります。血の不足は、肌あれ、顔色のくすみを引き起こしがち。血を補うのにおすすめなのが牛肉。血を補い、肌に栄養を与える働きがあります。
今回は、北海道北部に位置する中川町のアンテナショップ「ナカガワのナカガワ」から、とっておきグルメをご紹介します。
中川町のサテライトスペースが東京・下高井戸にオープン
北海道の北部に位置する中川町。旭川市から北へ170km、上川地方の最北部にあり、天塩山地と北見山地に囲まれ、天塩川の恵みも受ける自然豊かな町では、その環境をいかした畑作・酪農が行われています。また、町の85%が森林で占められ、林業も盛ん。アンモナイトや恐竜の化石が発掘されている「化石の里」としても知られています。
さらにユニークなイベントがめじろ押しなのも、中川町の魅力。5人ずつで丸太を押し合う「北海道丸太押し相撲大会」、鮭のつかみどりができる「なかがわ秋味まつり」、川面に石を投げてはねた回数を競う「天塩川de水切り大会」など一度聴いたら忘れられないイベントばかり。参加してみたい!
人口1400人ほどの小さな町ですが、中川町商工会と下高井戸商店街振興会との交流がきっかけで、2016年、東京・下高井戸駅そばに交流サテライトスペースとして「ナカガワのナカガワ」をオープン。林業の町らしく、木のぬくもりをいかした店内で特産物の販売、観光やイベントを紹介しています。アットホームで居心地のよい空間はすっかり町になじみ、近所の人々でにぎわっています。中川町を知らなくても、きっとここに来ると「中川町」が気になって仕方なくなるはず。
ひとさじでぜいたくな味わいのはちみつ
ナカガワのナカガワには中川町の豊かな森林の恵みをいかしたとっておきグルメも並びます。中川町の食材を使った加工品の製造・販売を手がける「匠舎」の「KIKORIシリーズ森蜜 シナ/キハダ/アザミ」(各1500円)もそのひとつ。移動養蜂によって、日本全国の蜜源植物から採蜜した国産純粋はちみつを取り扱う「辻井養蜂場」の協力のもと開発された、100%天然はちみつです。
人里から離れた中川の森は、農薬などの心配がない環境。ナチュラルで安全なはちみつは、濃厚で豊かな甘味が魅力。今回ご紹介する「アザミ」は、北海道に自生するアザミの花から採取したもの。本州とは違って2~3mにもなる北の大地にしっかりと根を張ったアザミのはちみつは、うっとりするような華やかな香りと、まろやかでエレガントな甘味。さらりとしながらも芳醇なコクがあります。パンに塗ったり、ヨーグルトに加えたりすると、気品あふれる「高級スイーツ」に早変わり! ひとさじで「ぜいたくなひととき」が楽しめます。
澄みきった空気と水、良質な草を育てる大地に恵まれた北海道は高品質な肉牛も飼育されています。中川町で最近、力を入れているのが「ナカガワ牛」。その特長は「脂のうま味」。脂身が甘く、とろける味わい。なおかつしつこさがなく、さっぱりという魅力ある牛を使った人気グルメが匠舎の「ナカガワ牛カレー」(600円)。ナカガワ牛を、味わい深いルーでじっくり煮込んで仕上げてあります。
ほどよいとろみのルーは、コクのある甘味。肉はかみしめるとうま味とともに、やわらかな甘味。カレーの甘味は調味料ではなくナカガワ牛によるもの、と実感できる豊かな味わい。スパイス感もほどよく、あっという間にたいらげてしまうおいしさです。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)