カカオを新潟のみそで漬ける「Tokyo Chocolate Salon」全国のチョコを食べ比べ

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第77回:木村彩乃]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、NHKでのキャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーとして全国で活躍する木村彩乃アナが、国産食材を使ったチョコレートをレポートします。

世界で評価された、カカオ豆のみそ漬け

チョコレートサロンの入り口でほほ笑む木村アナ

 毎年開催される「Tokyo Chocolate Salon」。2024年は9月21日から2日間、北海道から沖縄まで45社のチョコレート関連会社が東京の会場に集いました。会場では各社の製造方法を聞きながら試食ができ、食材をカカオに浸したり、調理してからカカオに混ぜたり、新たな味わいが発見できます。

新潟県のsweets ESCALER

 ショコラアドバイザーとして行く前から楽しみにしていたのが、新潟県のお店「sweets ESCALER」の『ブレンドカカオミルク45%味噌漬け』です。大人気で筆者が訪れた際には既に完売でしたが、試食できました。想像していた風味とは違い、舌に乗せると最初はミルクチョコが滑らかに溶けていき、途中からみそがひょっこりと出てきて、最後はみそをチョコがやさしく包み込むという変化があり、楽しい味わいでした。

 カカオ豆を10日〜2週間みそ漬けにしており、みそは新潟県産の3種をブレンド。詳細は企業秘密とのことですが、「みその塩味が味を引き締め、塩キャラメルのようなフレーバーを演出しました」とおっしゃるとおり、決して奇をてらった味わいではなく、日本人がほっこりするおいしさがありました。『Academy of Chocolate Award』という世界大会でゴールドを受賞している、世界的にも評価されるおいしさです。

ベネズエラチュアオ67%みそ漬け&ユズ

 もう1品、筆者のお気に入りは『ベネズエラチュアオ67%味噌漬け&柚子』。上記のみそ漬けよりもチョコに対してみその比率が増える分、ひくときにこっくりとしてしまうそうです。「ユズでスッキリさを出すことでバランスをとりました」とのこと。
 最初からみそを感じる濃さがありながらも、さっぱりとしたかんきつ感が加わってとてもおいしく、自社でカカオ豆の選別・焙煎・摩砕・調合・成形まで一貫して行うビーントゥバーだから成せる、エスカリエさんにしか表現できない味わいです。なによりオーナーシェフ・金子智巳さんの頭の中を1枚に落とし込むという想像力&技&カカオへの愛を感じました。

奈良の日本酒と合わせるボンボンショコラ

奈良県のTatsunori Sato

 こちらは東京チョコレートサロンへの出店が実質、初披露となる奈良県の「Tatsunori Sato」。現在の販売場所はオンラインやポップアップのみですが、「ショコラで暮らしに彩りを」をテーマに、実店舗を12月に清酒発祥の地・奈良県でオープン予定。日本酒の利酒師でもあるショコラティエの佐藤辰則さんが、奈良県の油長(ゆちょう)酒造の蔵敷地内で古民家を再利用し、カカオと日本酒のペアリングを楽しめる店になるそうで、筆者も楽しみです。

ショコラティエの佐藤辰則さん

 今回いただいた『NEXT 日本酒ショコラの可能性を追求したボンボンショコラ』は、油長酒造の日本酒「風の森」入りの2種です。一方には80%精米の山田錦を使った『風の森 山田錦807』を配合。甘味・酸味・辛味を立体的にチョコと合わせることで、フルボリュームな味わいをがつんと感じられます。実際に日本酒を飲んでチョコをかじるよりも、お酒もカカオもしっかりと味わえるマリアージュです。

 もうひとつには『風の森 露葉風 807』を配合。露葉風(つゆはかぜ)は奈良県でのみ生産される酒米です。お店は、「働いていた東京ではなく、あえて奈良県でオープンしたかったんです」とおっしゃるシェフの熱い思いを感じ取れます。「オープンの際は、大和橘(やまとたちばな)という、奈良県で育つ日本最古のかんきつの原種とチョコを合わせる品を予定しています。楽しみにしていてくださいね!」と話してくれました。

全国各地の食材とカカオの組み合わせを堪能

湘南かんきつOrangette

 ほかにも斬新な組み合わせや調理法など、気になるチョコレートが満載でした。神奈川県の「KAISEIチョコレート研究所」は、地場産の甘夏とオレンジを使った「湘南かんきつOrangette」が目を引きます。
 京都府の「YOSANO ROASTER KYOTO」では、伊根町の酒蔵「向井酒造」が手がける「伊根満開」を使ったチョコレートが印象的でした。「伊根満開」はG7でも提供されたお酒で、原料の赤米をチョコレートに別途加えているそう。もっちりとした食感もよかったです。

国産の柚子を使った山椒ドリンク

 カカオ原料開発会社の「WHOSE CACAO」で購入したのは、国産のユズを使った山椒カカオドリンク。ホットミルク割で、ユズがたっぷり使われているので重すぎないおいしさでした。

松江ノエル

「日本焙煎技術普及協会」のブースでは、カカオを島根県にある松江天倫寺温泉の温泉水で50℃洗いし、水蒸気で焙煎しているというチョコもありました。硫黄臭さがないどころか、宍道湖が近いのでその塩味がカカオに合うのだと教えてくれました。

 東京チョコレートサロン事務局の福西さんは、「カカオと日本各地のすてきな食材を組み合わせることで、その地域ならではの新しいおいしさをつくり出せると思います。カカオと地域の食材とのコラボレーションから、新しい価値を生み出し、地方創生の未来を築く可能性を信じています」と、力強く話してくださいました。

 クリスマス・バレンタインを前に、チョコレートの季節の幕開けを感じられました。各店舗がお近くの方は、シェフのこだわりを聞きながら選ぶのも楽しいと思います。まだ知らないチョコの世界に、きっとワクワクしますよ。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
<写真協力/ESCALER>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第77回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト