「昆布王国」富山県のアンテナショップは昆布グルメのパラダイス

富山県は昆布の消費量が多いことで知られる「昆布王国」。今回は、薬膳アテンダントの池田陽子さんに、富山県のアンテナショップで見つけた、おすすめ昆布グルメを教えてもらいました。

昆布を食べて体の中からアンチエイジング

いきいき富山館
富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」

 老化は中国伝統医学の中医学で「腎」とよばれる臓器との関わりが深いとされています。腎は人の成長や発育、老化をつかさどり、全身のエネルギーをためておく臓器。まさにアンチエイジングの要。ここが弱ると肌も髪も全身、一気に老けこみます。

 薬膳の考え方のひとつである「五行説」では、体の機能と色を関係づけています。腎をつかさどる色は黒。黒食材である海藻類のなかでも、とくに昆布のパワーは絶大。昆布は中国では生薬としても使われるほどパワーのある食材で、生命力や気力を養い、若々しさを保つ優れた働きがあるのです。
 
 今回は、1世帯当たりの昆布消費量日本一を誇る富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」から、とっておき昆布グルメを紹介します

多彩な昆布グルメが日常的

ほかほかごはんと一緒に
ほかほかごはんと一緒に!

 富山県は昆布消費量が多いことで知られています。富山市の1世帯当たりの消費量たるや、なんと全国平均の2倍! 富山が江戸時代、北海道から大阪まで昆布を運んでいた北前船の寄港地であったことが大きな理由といわれています。
 
 昆布は富山県民にとって欠かせない存在で、富山県のおにぎり、といえばまず『昆布おにぎり』。中に昆布が入ったおにぎりではなく、とろろをまぶしたおにぎりが定番。コンビニでも、おおむね富山でしか食べられていないという、「黒とろろ」と一般的な「白とろろ」のおにぎりが当たり前のごとく並んでいます。

 また刺身を昆布でしめた「昆布じめ」、ニシンなどの「昆布巻き」も常食フード。そして、なんと富山のかまぼこは「昆布が板がわり」。昆布で巻き込んだかまぼこ「昆布巻かまぼこ」も欠かせないアイテムです。

 スーパーでも昆布の充実ぶりは他県の比ではありません。昆布だけでも刻み昆布、ソフト昆布、早煮昆布、納豆昆布、がごめ昆布、もち昆布、ふりかけ昆布、昆布じめ用昆布、塩昆布などなど「こんなに昆布って種類があったっけ…?」というほど、さまざまな昆布がずらりと並び、とろろ昆布にいたっては別途、独立して1コーナーあるほど。

昆布の強いうま味がクセになる黒とろろ

幸の小分け おむすび黒とろろ
「幸の小分け おむすび黒とろろ」(360円)

 いきいき富山館も、昆布グルメが驚くほど充実しています。まず、富山の昆布文化を体験するなら「黒とろろ」グルメ。とろろ昆布は昆布を酢に漬けてやわらかくしてから、昆布の表面を糸状にけずりとったもの。一般的に「とろろ昆布」のイメージが強い、白とろろは、昆布の中を削っているので色が白く甘味や粘りが強いのが特長。

 一方、黒ととろは、昆布の表面を削ったもので、酸味があり、磯の香りが強いという特長があります。富山のとろろ昆布の定番は「黒とろろ」。個性がハッキリしたコクのある黒とろろをごはんのせたり、おにぎりに使います。

「幸の小分け おむすび黒とろろ」(360円)は、大正5(1916)年創業の老舗昆布問屋である富山市・道正昆布の黒とろろをパッキング。北海道産昆布のみを厳選、酢につけてやわらかくした昆布の表面を糸状に削り、味に深みを出すために三温糖を使用して仕上げてあります。ほかほかご飯にかけると、昆布の強いうま味がいっぱいに立ち上ります。酸味が心地よく、食べるうちに止まらなくなるおいしさ。一度食べると、クセになる味わいです。

洋風メニューにもワインにもぴったりの昆布パン

昆布パン
「さわや食品」の「昆布パン」(210円)

 いきいき富山館には昆布を使ったユニークなグルメも並びます。射水市「さわや食品」の「昆布パン」(210円)もそのひとつ。想像もつかなかった組み合わせですが、リピーター続出という人気商品。さわや食品は昭和26(1951)年創業、昔ながらの懐かしい味わい「ローカルパン」で知られています。昆布パンは富山産の米粉を使用したかわいい三角形のパン。その中には、刻んだ昆布がたっぷり!

クリームチーズと一緒に
クリームチーズと一緒に食べれば最高のワインのおとも

 意外かもしれませんが、ふわっ、もちっとした、ちょっとフォカッチャにも似ている優しい甘味のあるパンに、昆布のうま味がなんの違和感もなく、ベストマッチ。むしろ「昆布が入っていないとものたりないのでは」と思うほど、パンのおいしさを引き立てています。

 和のイメージに思えるかもしれませんが、洋風メニューにしっくりなじみます。チーズと合わせるとワインにもバッチリの相性! とくに、軽くオーブンで温めて、クリームチーズとともにいただくと最高のワインのおともになりますよ。

昆布のうま味でまろやかなガリ

昆布ガリ
「昆布ガリ」(649円)

 すしのおいしさでも知られる富山県。すしとは切っても切れない存在の「あの食材」にも、昆布が使われたものが! 富山と東京に店舗を展開する人気すし店「とやま鮨」を運営する富山市・ビーラインの「昆布ガリ」(649円)です。とやま鮨は、鮮度バツグンの地魚など富山の食材にこだわるすし店。シャリも富山県産米、しょうゆも富山県小矢部市のしょうゆ蔵のもの。

 そして、自家製の昆布ガリは、厳選した2種類の昆布と白ゴマを加えて仕上げてあります。お店で大好評のため、商品化してテレビ番組でも紹介され、全国にファンを増やしています。

昆布ガリ
お店で大好評になり商品化

シャキシャキのガリは、昆布のうま味が加わってわけて「まろやか」。辛味と甘酸っぱさがマイルドになり、お寿司にバツグンの相性! 飽きのこないおいしさでついつい手がのびてしまいます。お酒のおつまみや、魚料理のおともにするのもおすすめです。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)