カラダのだるさは、中国伝統医学の中医学において人間のエネルギー源である「気」が不足していると考えられるそう。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんに、長野県木島平村のアンテナショップで見つけたおすすめフードを教えてもらいました。
キノコは免疫力を上げてくれるパワーフード
だるさ改善のためには、すみやかに気を補う食材を取り入れることが必要です。おすすめはキノコ。すみやかに気をしっかりチャージし、カラダをエネルギーで満たし、免疫力をアップしてくれるパワフルフードです。胃の消化機能も高め、新陳代謝もアップするので、ぜひ日々の食卓に取り入れたい食材です。
今回は、東京都調布市にある長野県木島平村アンテナショップ「新鮮屋」をお訪ねして、おすすめキノコ&キノコグルメをご紹介します。
長野県・木島平の絶品食材が直送される「新鮮屋」
京王線調布駅から徒歩3分、調布銀座商店街入り口にたたずむ「新鮮屋」。調布市と姉妹都市であることをきっかけに2003年にオープンしました。長野県の北端に位置する木島平村は、豪雪地帯。北東部には上信越国立公園内カヤの平高原のブナの原生林が広がり、そこで蓄えられた雪解け水が豊富に流れ込んでいます。
豊かな土壌、昼夜の温度差がある気候のもと、うま味や甘味たっぷりのおいしい農作物が育まれているのです。新鮮屋には、「米・食味分析コンクール国際大会」において、2009年以降8年連続の最高金賞受賞を果たしているお米をはじめ野菜や、果物、加工品が木島村から直送販売されています。
店長の桑原美枝さんは、もともとはお客さんとして新鮮屋に通っていましたが、木島平産食材のおいしさにほれこみ、スタッフになってしまったという経歴の持ち主。「どの野菜も、こみ入った調理をしなくても、すばらしくおいしく仕上がります。料理の腕が上がった気分になるんですよ(笑)」とその魅力を語ります。
肉厚でうま味いっぱいの大粒なめこ
そんな桑原さんが「絶品!」と、おすすめしてくれたのは木島平村の「キノコ」。木島平村は、1955年代からキノコ栽培が始まり、多彩な種類が生産されています。新鮮屋に並んだキノコのなかで、迫力のビジュアルを誇るのが「でっかいなめこ」(200円)。木島平村庚地区に位置する「浦山きのこサプライ」の大粒ナメコです。
ナメコ栽培には、農場内に掘られた深井戸からひいた天然水を使用。空調設備の自動設定に頼ることなく日々、ナメコの生育状況を見ながら、温度、湿度、酸素などの調整を判断しつつ丁寧に育てます。手間ひまかけたナメコは、収穫後かけ流しにした天然水によって瞬速で洗い、鮮度維持に努めてパックして出荷されます。
みそ汁にしていただいてみましたが、肉厚なナメコは、ぬめりや食感だけではなくうま味がいっぱい。まるでシイタケを食べているような気持ちになります。ぷるん、つるんだけではないなめこの魅力がたっぷり堪能できる、感動モノのおいしさです。
シャキシャキ感とうま味が魅力の「はたけしめじ」
うら山で栽培している「はたけしめじ」(150円)も人気商品。シメジ科に属するハタケシメジは、キノコのなかでも食味に優れているとされています。ただし、栽培が難しく、あまり流通しない貴重なキノコでもあります。一般的に流通するブナシメジとはまったく別物で、軸がすらりと長くしっかりした食感があり、豊かな風味とうま味があります。
「茎の部分が中空になっているので、味がしみこみやすいんです。そのうえうま味がすごい! 汁ものに使うととってもおいしくなりますよ」と桑原さん。
シンプルなオリーブオイル炒めにして、塩・黒コショウをかけていただくと「えっ??」。これまで食べたキノコでは感じたことがないほどのシャキシャキ感。まるで、鶏肉のようなコクのあるうま味に驚きます。そしてみそ汁やスープに入れると、桑原さんのおっしゃるとおり、とんでもなくうま味が出ておいしくなります。木島平村の自然が育んだキノコたち。東京の「リトル木島平」でぜひ、入手してみてください。
ぼたん胡椒の爽快な辛味がきいた、絶品ナメタケ
長野といえば「ナメタケ」もキノコの人気加工品。新鮮屋では木島平村・新進漬物の「なめ茸」(450円)が人気です。エノキだけの食感をしっかりと残し、ほどよい甘辛さに仕上げてあります。パウチタイプで、使いたいぶんだけ出して使えるのも便利。ユズ、ワサビなどいろいろな味つけがありますが、とくに好評なのが「ぼたん胡椒」。
ほたん胡椒は、長野県北信地方の伝統野菜。名前は「コショウ」ですが、実際はナス科トウガラシ属で青唐辛子の一種です。ピーマンに似た見た目で、種のある白い芯の部分に辛味、果肉に甘味があります。そのため単調ではない複雑な辛味が特徴。クセになるおいしさです。
なめ茸ぼたん胡椒で使われているのは、樹上で完熟させて緑から赤くなったぼたん胡椒。辛味に加えてフルーティーな風味も加わっています。食べてみると、エノキキダケはシャキシャキ感いっぱい。とろりとした甘さに、爽快で表情豊かなぼたん胡椒の辛味が加わると、じつに彩りのある味わい。一度食べると深い印象を残す、「ワンランク上のナメタケ」です。
また、ナメタケといえばご飯のおともですが、こちらは洋風アレンジにもおすすめ。パスタやピザの具、焼いた肉や魚のソースに使ってもおいしくいただけますよ。
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? 関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局刊)『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)