美濃加茂市のまち起こしから生まれた「壺芋ブリュレ」
今回とりあげるのは岐阜県・美濃加茂(みのかも)市のまち起こしから始まったスイーツ「壺芋ブリュレ」。いくつものメディアに取り上げられた人気商品なのですが、なんとこのおイモ、お取り寄せするとバーナーがついてくるのです。バーナー!?
正確には「バーナーも一緒にお取り寄せできる」という感じ。さすが人気商品、一度sold outをくらい、次の週に再チャレンジして無事ゲット。さっそくオープンしていくと…
壺芋ブリュレ、付属の説明書きと包み紙、そして小型バーナー。
「クリームブリュレ」とはフランス語で「こがしたクリーム」を指すように、この壺芋ブリュレは小型バーナーで「自分でこがす」というのが大きな特徴です。
時季ごとに厳選されたさつまいもは、伝統工芸士がつくる壺でじっくり丁寧に「壺焼きイモ」にされ、中にはぎっしりと濃厚カスタード。もうこれだけでおいしそうですが…。
出ました小型バーナー。別売のライター用ガスボンベからガスをセットし、ブリュレしていきます。ちなみに私はまずイモを解凍してから、ライター用ガスボンベは自分で入手しなくてはならないことに気づき、だいぶ慌てました(行き当たりばったり)。
賢明な読者の皆さまは、お取り寄せしたらまずコンビニなどでライター用ガスボンベを入手してください。非喫煙者なのでこれを入手する際も店員さんに「アノ…エット…ボンベ…ライター? 用の? ガスボンベ? がほしくってぇ…」と要領を得ないお願いをしました。ちゃんと売ってました。
おイモを耐熱容器にセットし、付属の砂糖をこんもりとかけます。私はまたここで耐熱のコップが必要なことに気づき、慌てました(計画性ゼロ)。なかなかない、耐熱のコップ。そしてついに…
ファイヤー!!!!!!!!!!!!!!!!!!(太字にするほどの火力でもない)
ともかく砂糖をこがしていきます。普段あまりやらないこの作業、けっこう楽しいです。
ぜいたくな味わいのスイーツを「追いブリュレ」で楽しむ
パリパリのこげ目がついて完成! カラメルのいい香りがします。さっそくいただくと、うわーなんとぜいたくな味わい! まず、つくりたてブリュレの温かさ+パリザク食感。次にひんやりとした濃厚カスタードと、壺焼きイモのねっとり食感と甘さ。
さまざまな食感と味が波状攻撃のように押し寄せてきます。ブリュレ部分は最上部だけなのでさびしい感じもあったのですが、気づいてしまいました。追いブリュレすればいいことに。
食べかけなので写真は自粛しますが、食べた部分にさらに砂糖をかけてブリュレをなん度かしました。いいんでしょうかこんなことして。このスイーツならではの背徳感。
そんなこんなで壺イモブリュレを堪能したのですが、こちらは単なる「アイディアスイーツ」とは一味違う側面も。
まちづくりを学んだ大学生がインターン先として訪れたのが、美濃加茂市にあるレンタルスペース「MINGLE」さん(今でも土日限定で壺芋ブリュレなどの販売が行われているそう)。
大学を休学して運営に従事したはいいものの集客はかんばしくなく、コロナ禍がダメ押し。打ちのめされ辞意を伝えた代表の「いいけど、なにか結果を残せたの?」のひと言で再起。「どうせやめるならSNSでバズって、県外から美濃加茂に人が殺到するようなものを1個つくってからにしよう!」…と生まれたのがこの壺芋ブリュレなんだとか。
挫折と栄光のストーリーがすごい。それもすごいんだけど、普通はバズろうと思ってもバズれないし、本当に県外から人が押し寄せるスイーツになっているところがよりすごい。バスと商才の塊のようなエネルギーを感じました。
どちらかというと、お土産というよりも現地で食べたい、または変わり種の手土産としてパンチのあるスイーツだと思いますが、おいしさ、楽しさともに満点。ブリュレ作業には耐熱容器とガスボンベが必要なので、万全の準備でのぞんでみてください。
成り立ちも味わいも、何重にも奥深い今回のスイーツでした。
Creaimo 壺芋ブリュレ3本(ブリュレ用シュガー付き)+バーナー ¥3300〜¥3750
日もち ★☆☆☆☆
配りやすさ ★☆☆☆☆
自分であぶる楽しさ ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や価格変更、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。コミックエッセイ『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』が好評発売中!