肉マニア注目「厚木のホルモン」ぷっくり、くにゅっと食感でビールが止まらない

新鮮な内臓肉をパンチのあるニンニクみそダレで味つけした厚木のホルモンは、関東でも屈指の人気ローカルグルメ。その魅力を焼肉に詳しい編集者、松浦達也さんと、厚木市観光協会に聞きました。

ニンニクみそ、肉の脂がタッグを組んでアタック

七輪で焼くホルモン
香ばしく焼いたホルモンはお酒にもご飯にもよく合う

 地元で長く愛されてきた厚木のホルモン。市内外にファンの多いこのローカルグルメの魅力を、焼肉関連の書籍を数多く出版してきた肉マニアの編集者、松浦さんが熱く語ります。
「厚木のホルモンの魅力のひとつは、なんといってもタレと肉の相性のよさ! ニンニクのパンチのある香りとみその濃厚な味が、焼くことで香ばしさを増し、肉の脂とタッグを組んでドンとアタックしてくるんです。そして、それをかんでいると腸壁からうま味がじわじわしみだしてきて、こりゃたまらん!という味の変化も楽しめます。こうなると、ビールやご飯が止まらなくなりますよね(笑)」

七輪の前に置かれた種類のホルモン
さまざまな部位を味わえるのも専門店ならではの楽しみ

 そのおいしさを支えているのが、市内にある神奈川食肉センター。2002年に操業を開始した近代的な食肉センターで、ここで生産された新鮮なホルモンが飲食店に供給されることで、流通の大きな進歩がありました。
「ホルモンのおいしさの大きなポイントが香り。動物の内臓肉は、香りが損なわれるのが早いんです。なので、厚木のホルモンのように地元で処理した豚ホルモンがすぐにお店に届けられるという、流通の仕組みができているのは、とても大事なこと」と松浦さん。

ぷっくりシロコロは「くにゅっと食感」と甘い脂を楽しむ

七輪でおいしそうに焼けたシロコロホルモン
ぷっくりおいしそうに焼けたシロコロホルモン

 また、厚木のホルモンを代表する部位シロコロ(腸)では、洗浄した腸を裏返すというひと手間を加えて提供するお店が多いのですが、これがおいしさをアップ。こうすることで本来、腸壁の外側についている脂肪が内側に入り、酸化しにくくなる効果も。
「これはとてもいい調理法で、焼いても適度な脂が残り、ジューシーな味わいを楽しめるんです。外側の腸壁は火をとおすと適度に縮みますが、内側の脂肪はぷっくりと味わいまでもふくらみます。見た目にもおいしそうで、腸壁のくにゅっとした食感とプリッとした脂の甘い風味を一度に堪能できますよ」と、松浦さんの熱弁は続きます。

「味つけや処理を工夫して提供するなど、厚木のホルモンにはおいしい理由がたくさん! 話しているうちに、また食べたくなりました(笑)」という松浦さんに、ホルモンの上手な焼き方を聞いてみました。

焼肉を食べる松浦達也さん
松浦達也さんは食べることが大好きな編集者。著書に『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社刊)、『大人の肉ドリル』(マガジンハウス刊)、「東京最高のレストラン2024」(ぴあ刊)など

「おなかが空いているとすぐに食べたくなって、火力の強いところで焼いてしまいがちですが、あまり強すぎない、いい塩梅の火加減のところを見つけてほしいですね。網や鉄板が200~250℃くらい、ホルモンの接地面から煙が出るか出ないかくらいのところがちょうどいい温度といえます。そこで焼くとおいしくいただけますよ」

お店では最初にホルモンを注文するのがお約束

ホルモンを食べる2人の女性
厚木ホルモンには女性のファンも多い

 続いて、厚木市観光協会の本田友里さんに、お話を聞きました。
「現在、市内には16店舗ほどホルモン専門店があり、それぞれ人気です。専門店以外にもホルモンを提供する居酒屋さんなどがありますよ」という本田さんも、もちろん厚木のホルモンの大ファン。
「仕事帰りに『ちょっと行こうよ!』という感じで、女性同士でお店を訪れることも。最近は、開店前から並んでいる女性グループを見かけることも増えました」とのこと。

酔笑苑の外観
アミレバや〆のラーメンが人気の「酔笑苑」

 週末の登山やハイキング、ゴルフの帰り道に立ち寄りやすいように、16時からオープンしているお店が多いのも特徴。お店ではおいしいホルモンを先に注文するのがお約束です。普通の焼肉屋さんだとカルビやロースを先に食べますが、のんびりしているとお目当てのホルモンが売りきれになることも。
「ランチタイムにホルモンの定食を出しているお店や、〆にはラーメンを提供するお店もあり、お店ごとの違いを楽しめるのも魅力。新鮮でジューシー、プリッとした食感が楽しめる厚木のホルモンを、肉好きのみなさんに味わいに来てほしいです」(本田さん)

厚木シロコロホルモン焼千代乃の外観
ニンニクみそダレが絶品の「厚木シロコロホルモン焼千代乃」

 お酒にもご飯にも合い、子どもから大人までみんなで楽しめる厚木のホルモン。都心から1時間程度で楽しめる身近なローカルフードとして、今後さらに注目を集めそうです。

<写真/厚木市観光協会・産経新聞社 取材・文/カラふる編集部>