2024年「地方創生&多文化共生マガジン カラふる」で掲載した人気記事を厳選してお届けします。今回は、東京都江戸川区平井駅のそばに登場した愛媛県の特産品を扱う自動販売機を紹介します。(初公開2024年2月28日、内容・データは掲載時のものです)
住宅街に現れた愛媛の特産品を扱う自動販売機
東京都の東部にある江戸川区。葛西臨海公園や地下鉄博物館などの観光スポットを有し、都心へのアクセスもよい地域です。そんな江戸川区の平井駅にほど近い場所に、ある日「愛媛のうまいもんを扱う自動販売機」が出現しました。
販売されているのは、鯛めしやじゃこ天など愛媛土産の定番商品から、高級ミカンであるせとかのジュレといった珍しいものまで。どうしてこの場所で販売するのか? 自動販売機を設置した大岡さんにお話を聞きました。
「私たち夫婦は愛媛の出身です。ふるさとを離れ東京で生活するうち、地元愛媛のおいしいものを思い返すことが多くありました。自動販売機を設置したきっかけは、『愛媛でしか味わえないおいしいもので、まだ知られていないものってたくさんあるよな、お取り寄せしなくても、厳選された愛媛のおいしいものが近所で気軽に買えたらいいな…』そう思ったのが始まりでした」
愛媛のおいしいものをみんなに知ってほしいという大岡さん。でも、普通ならお店で販売すると思いますが、どうして自動販売機だったんでしょうか。
「品質の高い“おいしいもの”を、手頃な価格で、24時間いつでも好きなときに買えるようにと自動販売機を選びました。近隣に住む人たちの毎日の食卓に欠かせない存在を目指したいと考え、愛媛で飲食店を経営する親友に相談したところ、ふたつ返事で協力してもらえることになったんです」
愛媛の人気シェフが商品をセレクト
地元で「ヨーヨーキッチン!」という飲食店を経営する牛川雄一さんが、大岡さんとともにこの自販機で販売する商品をセレクトしています。
牛川さんは、えひめの「食」料理コンクールで最優秀賞を受賞。人気の観光列車『伊予灘ものがたり』の松山駅から伊予大洲(いよおおず)駅までの区間を走る大洲編プランで料理長を務めています。
「愛媛の食材を知りつくした強力な味方を得て、一緒に愛媛企業をまわり協力をあおぎ、“24時間購入できる、愛媛のうまいもん”の自動販売機の開店にこぎつけました」という大岡さん。さまざまな調整の後、2023年11月に販売をスタートしました。
“24時間購入できる、愛媛のうまいもん”の自動販売機では、愛媛の「伊予柑(いよかん)」、希少なミカンである「せとか」などをふんだんに使ったジュレやジャム、愛媛でしか売っていないおいしいベーコンなどを販売。利用者から好評を得ています。
「ジュレやジャムをつくっているのは、日本一高額な市場価格のミカンを生み出したこともある名産地で農園を運営する生産者さんです。ご好評をいただいているジュレには、1つになんとミカン3個分の果汁を使用しています。凍らせてシャーベットにして食べてもおいしいですよ」(大岡さん)
安心、安全でおいしい。愛媛のよさを感じてほしい
今後の目標として、自動販売機で人気商品の『もつ鍋』を味わえるお店をつくりたいと考えているそう。
お客さんからは「気軽に愛媛県の食に触れられるのはいいですね!」、「ミカン商品はちょっとした贈呈品に最適ですね、すごく喜ばれます」、「こんなにおいしいグルメ商品が自販機で購入できるなんて正直驚きました」、などのコメントがあったといいます。
「こうした声をいただけて、本当にうれしいですね。いずれは東京で実店舗を出したいと考えています。今はもつ鍋だけですが、コラボ商品も出しますので楽しみにしていてください」という大岡さん。
夜も煌々と明かりを放ち、住宅街で独特の存在感を示しているオレンジ色の自動販売機。手頃な価格で、簡単に食べられて、おいしいものが手に入る。そんな安心感は、地域住民の日々の食卓の支えになります。
「愛媛の安心、安全でおいしいものを食べていただき、愛媛のよさを少しでも感じてもらいたい。購入してくださった方を含め、この事業にかかわるすべての人が笑顔になる、そんな未来を目指しています」と大岡さんは語ってくれました。
【ヨーヨーキッチン!東京】
自動販売機設置場所:江戸川区平井小学校の近く、青空整骨院の駐車場(江戸川区平井6丁目34−2)に設置
<取材・文/カラふる編集部>