―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第81回:木村彩乃]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、NHKでのキャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーとして全国で活躍する木村彩乃アナが、2025年のバレンタインにイチ押しの和菓子とチョコレートをリポート。
富山県のまるで食べる宝石。カカオカクテルの琥珀糖
富山県の「薄氷本舗 五郎丸屋」は260年の歴史ある和菓子屋です。写真の商品「きせつのさがしもの」は、16代目の渡邊克明氏がガラス造形作家・山本真衣氏の作品から着想を得て、琥珀糖で表現した繊細な菓子。「食べられるの? 食べられるとしてももったいない! 飾っていたい!」と思ってしまうほどの美しさです。一昨年は発売後即完売、昨年は朝から並んでようやく手に入れた、知る人ぞ知る大人気商品、いえ、作品といいたくなる完成度。
写真は去年のものですが、光を通す繊細な色合いは、琥珀糖の再結晶化を極力おさえる和菓子職人ならでは技術によるもの。柄の細かさから影までうっとりしてしまいます。
琥珀糖とは、砂糖と寒天を原料にした伝統的な和菓子。「きせつのさがしもの」に使われているのは生琥珀糖で、色も味も異なる9種のカクテルを固めています。2025年版はカカオリキュール風味のカクテルを中心としたラインナップだそう。食べられる宝石のような和菓子です。
バレンタイン期間中(1/31~2/14)は、東京・銀座のデパート「松屋銀座」で数量限定で販売されるそう。バイヤーの小泉さん曰く「去年工房へお邪魔しました。整頓された空間、昔ながらの職人さん、ここからお客さまへ届く喜びをしっかりと感じられました。手づくりだから量産はできませんが、希少な味わいを楽しんでいただきたいです」とのこと。言葉を丁寧につむぐ姿から、尊敬の念も感じられました。
山形県の「乃し梅×チョコレート」
「乃し梅」は、梅に寒天を練りこみ薄くのした和菓子。つるんとした心地よい食感と、独特の甘味と酸味が特徴。元祖である山形県の「乃し梅本舗 佐藤屋」は200年以上の歴史がある和菓子・洋菓子の老舗。江戸時代の気つけ薬に由来する乃し梅を、薬屋で生まれた佐藤屋の初代、佐藤松兵衛が明治初期に今のかたちに完成させました。
今回ご紹介するのは、佐藤屋八代目の慎太郎氏がつくった「玉響(たまゆら)」はチョコレートに乃し梅を乗せており、とってもクセになる味わいなんです。和菓子屋らしく白あんが練りこまれたガナッシュは、和の伝統技、羊羹をもとにした製法でつくっているそう。大好きなチョコレートと乃し梅の組み合わせは、まろやかな甘酸っぱさと、カカオのフルーティーな酸味の相性のよさが本当にぴったりです。
浅草の老舗3店がコラボしたボンボンショコラ
「ショコラティエ川路」の「Shitamachiショコラ」は、東京下町の和菓子の有名店3店とコラボしたボンボンショコラ。浅草寺の茶屋から始まった「梅園」から黒蜜を混ぜ込んだあんみつ風、創業200年以上の「常盤堂雷おこし本舗」からは雷おこしと塩を加えたミルクチョコレートの2層仕立て。いちばん印象的だったのは向島の銘店「青柳正家」の羊羹と生チョコの2層のショコラです。
チョコレート味の羊羹はよく見かけますが、生チョコとの2層は筆者ははじめて。羊羹はもともと販売している最上級の素材と味にこだわったもので、生チョコレートは黒文字という木の香りを移しており、ふわっと鼻に抜けていく心地よさがありました。
第4のチョコレートと琥珀糖の組み合わせが未知との遭遇
ダークチョコ、ミルクチョコ、ホワイトチョコに続く第4のチョコとして話題のルビーチョコとブロンドチョコをご存じでしょうか。新潟県の「百花園(ひゃっかえん)」による、琥珀糖に第4のチョコレートを合わせたお菓子「和コレート」に大注目。
ベースのルビーチョコレートにはフランボワーズとライム、ブロンドチョコレートにはプラリネと天然塩を合わせています。噛むとサクッ、中はねっとり、もっちり、2層がしっかりなじんで未知との遭遇なおいしさ。2種ともまったく異なる表情を楽しめます。
時間が経つにつれ、少しづつ表面が結晶化していくため、ショリッとした食感へ変化していくのもおもしろい。琥珀糖のシャリシャリではなく、チョコを合わせているのでやさしいショリショリ食感です。
洋菓子屋のおしゃれなお干菓子
ショコラの原料であるカカオの形が目を引くこちら、滋賀県の和菓子店「たねや」のグループ店である洋菓子店「クラブハリエ」の「お干菓子ショコラ」。バレンタイン限定商品で、見かけたらすぐ買わないとなくなってしまうほど人気です。
味がリニューアルした今年はビター深味・ビター・ミルクチョコの3種。ビター深味はチョコレート感が増し、よりチョコ好きにささりそうな風味に進化しているように感じました。そして和三盆糖のやさしさ、きめ細やかさは変わらず、ホロホロとしたくちどけからもしっかりとショコラを感じられ、毎年リピート確定のおいしさです。ゆっくりと舌で溶かしながらいただくのもおすすめ。いろいろ楽しみたいので、ひとつの味がふたつずつ入っているのもありがたいです。
バレンタインというと洋菓子のイメージがありますが、伝統を守りつつ革新を続ける和菓子からのセレクトは、よりいっそう選ぶ人のセンスが感じられるのではないでしょうか。
<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>
木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。
―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第81回:木村彩乃]―
地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト