和歌山県・福菱の「かげろう・柚もなか・はまゆう」
出張、旅行、取材とそこそこ日本全国を巡っているほうだと思うのですが、未踏の地もあります。和歌山がそれにあたります。いつか4頭のパンダが暮らすアドベンチャーワールドに行こうと目論んでいるのですが、今回は定番お土産で予習をば。
和歌山県白浜町にある福菱さんの「かげろう」「柚もなか」「はまゆう」の3点です。福菱さんは1933年創業の南紀白浜を代表する老舗。
いちばん人気の「かげろう」と「柚子もなか」がセットになったものと、同じく銘菓の「はまゆう」を1箱お取り寄せしてみました。
おみやげにぴったりの銘菓3種を食べ比べ
当初、「あれ? 計3種なのに2箱しかなくない? 詰め合わせってわけでもないし…」と思ったのですが、「かげろう」の箱をひっくり返すと「柚もなか」が現れる、リバーシブル銘菓(?)でした。たまげた。
早速「かげろう」から初実食。いただきます。まずですね、非常に繊細なつくりのお菓子でして、ビニールから出す時点でホロホロパラパラと表面が崩れていくほど(いや私が雑なのか?)。
持った感じは非常に軽く、シュークリームやエクレアのようなお菓子を想像しましたが、食べてみるとクリーム部分は多くなく、軽いスポンジのような生地をメインに味わうお菓子ですね。やわらかくふわっと焼き上げてある生地がかげろうのように消えていくはかない様子からこの名がつけられたそうですが、確かにはかないという形容詞がぴったりの口溶け。
スポンジ×クリームのお菓子は巷にあふれていると思うのですが、この表面のホロホロとした食感と中のふわふわ食感のバランスは唯一無二。さすが老舗の銘菓、と納得のいくものでした。
続きましては「柚もなか」。なんとこちらは創業当時の1933年から販売されてきたロングセラーで、かげろうより先輩なんですね。
ユズのさわやかな甘さと、軽~い最中が印象的です。自社で皮をむき炊き上げるというユズあんには、苦味酸味は感じず、くせのないおいしさ。かげろうのときにも感じましたが、福菱さんはきっとこのサクふわの生地を焼き上げる技術が他店と違うのでしょう。
ちなみに3種食べてもらった夫(アラフォー)はこの「柚もなか」がいちばん好きと申しておりました。母(70代)は「体に負担がかからなさそうな、上品なお菓子」だといっておりました。
さて最後は「はまゆう」。はまゆうは白浜町の町花なんだとか。小豆あんを薄いおもちの求肥で包み、円形の薄い最中生地で挟んだ和菓子…だそうなのですが、あんこの甘さ、求肥のもちっと食感、最中のパリさく食感が合わさって、なんともおいしい!
もともと求肥好きではありましたが、3種のなかで個人的にいちばん好きでした。今回とりあげたどれも個包装かつ日もちもよく、シーンを問わずバラマキもできて使い勝手もいい銘菓といえるのではないでしょうか。
福菱さんではほかにも「生かげろう」などの商品のほか、海の見える「Kagerou Café」などの運営も行っていて、銘菓と老舗にあぐらをかかず、常に新しいチャレンジをされているご様子。パンダ見て、海を見ながら生かげろう、いつかかなえたい野望です。
福菱 「かげろう・柚もなか背中合せ」1880円/「浜木綿(はまゆう) 6個入」780円
日もち ★★★★☆
配りやすさ ★★★★☆
味も使い勝手もよいまさに王道の銘菓 ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や価格変更、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。コミックエッセイ『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』が好評発売中!