長崎県熊屋の「麩饅頭&翠簾」。味はもちろん、食感がすごかった

―[ビビっとくる日本全国おみやげ日記]―
連載タイトル

平戸市の麩饅頭&翠簾をお取り寄せ

イラスト
 
 今回取り上げるのは長崎県平戸市「熊屋」さんの「麩饅頭&翠簾」。

箱
 
 小麦粉ではなく生麩であんを包むのが麩饅頭。そして「翠簾」は熊屋8代目オリジナルの「和風テリーヌ」。

外箱
 
 その鮮やかな緑を一目見てからぜひ食べたい! と思ってましたので、早速お取り寄せ。

中身
 
 熊屋さんは1762年から独自の「平戸菓子」づくりに従事されている老舗。平戸はポルトガル船やオランダ船が日本で初めて入港した土地で、砂糖はじまりの地といわれているんだとか。白い砂糖、カステラ、金平糖など、それまでの日本の菓子文化にないまったく新しい要素が平戸の風土に合わせて進化しているのが「平戸菓子」。

麩饅頭
 
 さて冷凍で届いた麩饅頭(こしあん・つぶあん)と翠簾を解凍していきます。

解凍
 
 ここで意外だったのが、麩饅頭の解凍方法。だいたい冷凍の和菓子は冷蔵庫か常温で解凍するものが多いのですが、麩饅頭は水を張ったボウルに10分浸して解凍。なるほど水に!?

 指示通り水で解凍してみると、それはもうツヤツヤしっとりの麩饅頭の完成です。早速いただいていきます。一般的に麩饅頭の皮に使用される青のりではなく、熊屋さんではヨモギやゴマを使うことで独特の和菓子として発展させているそう。

解凍
 
 まずはこしあんのヨモギから。ひんやり、もっちり、しっとりでおいし~い! あんこの甘さと、ヨモギの風味がダイレクトに伝わってきます。凍っていたものを水で解凍することがみずみずしさにつながっていて、なるほど納得。すばらしい味と食感。

つぶあんのごま

 続いてはつぶあんのゴマ。これもゴマ風味と、とにかく食感が素晴らしいですね。ツルツルいけちゃう。夏場に食べたら最高の涼菓でしょうし、おもてなしのお茶菓子として出したら、絶対に冷凍とはわからなさそうです。つくりたてを食べているかのような感動です。

翠簾
 
 さてお次は「翠簾」。こちらは自然解凍です。「翠簾」は抹茶・生クリーム・葛からなる「和風テリーヌ」。長崎県東彼杵産の最高級抹茶を使用しているとのことで、このツルっとした濃緑がなんとも美しいです。いただきます。

翠簾
 
 甘い抹茶菓子は抹茶菓子なんだけど、食べたことない味と食感…! ようかんやういろうより滑らかでやわらかい。プルンとした弾力というよりはしっとり・もったりした口溶けという印象。つるつるもちもちひんやり、濃厚口溶け和菓子、といったところでしょうか。なるほどほかのどこにもない味わいで、熊屋オリジナルということにも納得です。

「麩饅頭」「翠簾」どちらも甲乙つけがたいおいしさでしたが、とくに麩饅頭の食感が衝撃的でした。これからの暑い季節におすすめしたい。麩饅頭や翠簾は生菓子なので持ち歩きには少し不向きかもしれませんが、その土地ならではの歴史を伝えるオリジナリティあふれるお菓子がたくさん並んでいるということは、お土産に最適ということ。

 熊屋さんではほかにも平戸銘菓である「牛蒡餅」や黒船来航時に伝わりレシピが門外不出とされていた「平戸シュガーラ」など、気になるラインナップが目白押し。私ももっと平戸菓子を追求したい気持ちにかられています。
イラスト

熊屋 「麩饅頭&翠簾 8ヶ入り(各4ケ)」 2720円
日もち ★★☆☆☆
配りやすさ ★★☆☆☆
新鮮な食感の郷土菓子 ★★★★★

※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や価格変更、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。

―[ビビっとくる日本全国おみやげ日記/第125回]―

西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。コミックエッセイ『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』が好評発売中!