―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.3/池田陽子]―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。第3回目は「日本橋 長崎館」にお邪魔しました。
花粉症対策のためには、身体の中からバリアーをはる!
花粉症が気になる季節。マスクをしても、メガネをしてもタダのおまじないにしかなっていない人は、ぜひ「食べて」身体の中からバリアーをはりましょう。
薬膳の考え方のベースとなる中医学(中国の伝統医学)では花粉症を引き起こす理由として、目には見えない体内のエネルギーである「気」が関係するとしています。 気が不足すると体力が落ちて免疫力が低下、アレルギー物質が身体に進入して症状を引き起こしてしまうとのこと。
花粉症対策には、気を生みだすのに大切な臓器「脾(ひ)」を強めるとともに、しっかり気をチャージして、免疫力を高める食材を取り入れることが大切です。おすすめの食材はサツマイモ、鯛、鶏肉。いずれも気を補い、身体をエネルギーで満たす働きがあります。
長崎の食の幸がそろう、長崎県アンテナショップ「日本橋 長崎館」からサツマイモ、鯛、鶏肉を使ったとっておきグルメを紹介します。
とことん癒される「かんころ餅」
長崎・五島列島を代表する特産品といえば「かんころ餅」。サツマイモを薄く切って湯がき、天日で干した「かんころ」とよばれる干しイモと、餅米を蒸して突き合わせた餅菓子は、地元で愛されてやまない素朴なおやつです。
長崎県五島市にある「真鳥餅店」は昭和29年の創業以来、伝承の技を受け継ぎ、昔ながらのかんころ餅を作り続けています。サツマイモは昔から五島で栽培されていた、甘さ控えめで焼くと風味が増す「高系14号」にこだわり、もち米も九州産の上質なものを厳選。ひと口かじるとふわっとひろがるサツマイモの香り、やさしくナチュラルな甘みに心がホッとします。写真は真鳥商店の「かんころ餅プレーン」(540円)です。
とことん癒される味わい(涙)。トースターなどで軽く焦げ目がつく程度に焼いてから食べると香ばしく、モチモチ食感が楽しめます。
鯛水揚げ量日本一・長崎の料亭級「鯛茶漬け」
鯛の水揚げ量日本一を誇る長崎。鯛を使った大人気のグルメが、長崎市「徳信」の「牧島流鯛茶漬け 梅味」(972円)。獲れたての鯛を鮮度を落とさないようにスピーディに調理。作り置きしないで、仕込みのたびに作るという薄口しょうゆをベースに、梅肉、白ごまを加えた秘伝のタレに漬け込んで仕上げます。
タレがしみこんだ鯛をほかほかご飯にのせて、熱いお茶をかけてさらさらといただくと、なんとも上品な鯛の旨み! 梅の風味もさわやかな、まるで料亭級の味わいが楽しめます。日本橋 長崎館のスタッフいわく「うどんに使っても最高!」とのこと。長崎名物「五島うどん」でも、ぜひ試してみて。
噛み締めるほどにやさしい旨みが広がる奇跡のジャーキー
島原半島に位置する雲仙岳の裾野で育ったブランド鶏「雲仙しまばら鶏」。豊かな自然環境の中、数種類のハーブと、乳酸菌を加えたエサを与え、大切に育てられた鶏は風味豊かで歯ごたえとやわらかさのバランスがとれた味わいです。
長崎館で人気を集めているのが島原市「大光食品」の「雲仙しまばら鶏 鶏ジャーキー」(432円)。かじってみると、牛のジャーキーと違って「肉肉しい感じ」ではなくあっさりしているのに、噛み締めているうち、旨みが口の中にジワジワと広がってきます。
しつこくない優しい旨みは、絶対やみつきになるはず! 長崎ならではの焼酎はもちろん、日本酒にも合うジャーキーですよ。
―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.3/池田陽子]―
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など