鹿児島の豚みそに注目!ご飯が進みすぎて困ります

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(5)]―

女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、都内アンテナショップで見つけた「ご飯のとも」やご当地調味料を使ったおいしいレシピを紹介します。《第5回》

絶品郷土料理とおいしいご飯のともを求め有楽町へ

 鹿児島の郷土料理のひとつ、「豚みそ」ってご存知ですか? 鹿児島県特産の麦みそに、これまた特産の鹿児島産の豚肉の組み合わせで作る常備菜です。家庭によってつくり方も味も違うそうですが、ちょっと甘めでコクがあるイメージです。

 豚みそとの出合いは、日比谷にある鹿児島県の食品販売のショップやレストラン、観光案内のある「かごしま遊楽館」でした。2階のレストラン「遊食豚彩いちにいさん」で注文したランチメニューのお通しに豚みそが出てきたのです。よくあるおかずみそよりは辛味が少なく、味がまろやかでおいしい印象。白飯に合うのはもちろんですが、みそ炒めなどにも使ってみたくなりました。

 ちなみにこのレストラン、“豚彩”とあるだけに鹿児島産の黒豚を使ったメニューが充実。ランチの時間帯はいつも行列ができるほどの人気店です。

黒豚の野菜蒸しのセット

 たとえば、黒豚の野菜蒸しのセット(1180円 税込)は、蒸し寿司と豚汁つき。野菜もたっぷり!

黒豚ねぎしゃぶセット

 黒豚ねぎしゃぶセット(1000円税込)は、きびなごのお寿司か蒸し卵ごはんつき。ネギがたっぷり、しゃぶしゃぶのスープがそばつゆ仕立てで絶品です。

豚みそ

 そしてお店ででてきた、お通しの豚みそはこんな感じ。初めていただいた豚みそが気に入り、さっそく帰りに1階の「さつまいもの館」に寄って、豚みその棚をチェックしました。

鹿児島のアンテナショップ「かごしま遊楽館」

「かごしま遊楽館」は1階が食品販売の「さつまいもの館」と観光案内、2階にレストラン「遊食豚彩」、3階は工芸品の展示販売を行う「鹿児島ブランドショップ」が入っているアンテナショップです。

「さつまいもの館」には、名産の芋焼酎や黒糖焼酎のほか、黒酢、黒豚肉、揚げたてのさつま揚げ、郷土菓子として有名な「かるかんまんじゅう」をはじめ、鹿児島ならではの食がいろいろ揃っているので、絶えず人が訪れている人気スポットになっています。

かごしま遊楽館

鹿児島県特産の麦みそと黒豚を使った「黒豚みそ」

 豚みそは、さすが郷土料理。何種類も棚に並んでいました。創業に歴史があったり、地元の高校生がつくった製品もあったり、どれもこれもおいしそうです。そのなかで今回は1つに選びきれず、2つ購入しました。1つは、定番の麦みそに鹿児島県産黒豚を100%使用し、じっくり手炊きをしたとある「黒豚みそ」です。

 全国でつくられるいるみそは大豆に米麹を加えてつくった米みそが多く、麦みそは大豆に麦麹を加えたもので、九州、中国、四国地方を中心に生産されています。米みそに比べて塩分が少なめ、香ばしく甘めなので、なめみそやおかずみそ向きといえます。

 この「黒豚みそ」(120g 835円/税抜 保存方法: 常温/開封後は冷蔵 製造者:合資会社新原味噌醤油工場)は、原材料が麦みそ、豚肉、砂糖、ニンニク、胡麻、みりん、ショウガ、ゴマ油と余計なものが添加されていません。また、新原味噌醤油さんは明治30年創業で115年間「美しい麦みそ」をつくり続けているという老舗です。

 その自慢のみそに「鹿児島県産黒豚100%」使用と表示されているので、期待感が高まります!

黒豚みそ

黒豚みそにごはん

 麦みそらしい優しい色合い。味は甘味とコクがあり、まろやかです。白飯にもおむすびの具にも合います。白炒りゴマをプラスしてふりかけました。

 もうひとつ選んだのは、「炭火焼き黒豚みそ」(100g 520円/税抜 保存方法: 常温/開封後は冷蔵 製造者:有限会社 大成畜産 ※こちらの商品は期間限定販売のため、現在アンテナショップでは取り扱っていません)。

 こちらは、鹿児島県曽於市(そおし)認定の「やごろう豚」のメーカー製造のもの。豚肉を炭火焼きにして、みそと半々で仕上げたというキャッチフレーズに、買わずにはいられませんでした。

炭火焼き黒豚みそ

 こちらも保存料、着色料、発色剤、結着剤は不使用とあります。

炭火焼き黒豚みそ

 炭火焼き黒豚を混ぜているせいか、色は濃厚です。味も甘味、塩味がしっかりしていて、炭火焼きの香ばしさと肉の食感があり、さすが“50%肉入り”がより感じられ、ご飯がどんどんすすみます。

炭火焼き黒豚みそにごはん

おつまみに、ご飯のおともにおいしい!厚揚げの「黒豚みそネーズ」

「黒豚みそ」はそれ自体が甘すぎず、辛すぎず。食べやすい味なので、常備しておくと、料理には使いやすい万能調味料です。さっそく「黒豚みそ」を使った2品ご紹介しましょう。それぞれどちらのみそでもおいしくできます。

●アレンジレシピ「厚揚げの黒豚みそネーズ」

 肉入りのみそなので、プラスするのはマヨネーズだけ。全体がまろやかになり、ほのかな酸味も加わって、絶妙なおいしさです。カリカリに焼いた厚揚げにたっぷりのせました。

 ご飯のおともに、ビールやチューハイのおつまみにぴったり。この黒豚みそネーズは、ゆで野菜や、キュウリやセロリなどのスティック野菜のディップとしても合います。

厚揚げの黒豚みそネーズ

どちらの「黒豚みそ」でもいいのですが、写真は新原味噌醤油さんの「黒豚みそ」を使用しています。

【材料】2人分
「黒豚みそ」…大さじ2
マヨネーズ…大さじ2
厚揚げ…1丁
七味唐辛子…好み

【つくり方】
①「黒豚みそ」とマヨネーズをよく混ぜる。
②厚揚げは電子レンジで温めてから、オーブントースターかフライパンで表面をカリカリに焼く。
③厚揚げを食べやいすように一口大にきって器に盛り、上に①の黒豚ネーズをたっぷりとのせる。好みで上から七味唐辛子をふる。

肉いらず。簡単!「ナスとピーマンの黒豚みそ炒め」

 豚肉入りのみそなので、そのままの使用でコクのある野菜のみそ炒めがつくれます。加えるのはお酒だけ。もっと濃厚な味にしたいときは、砂糖としょうゆを好みでたしてみてください。ご飯がすすむおかずです!

●アレンジレシピ「ナスとピーマンの黒豚みそ炒め」

 ナスとピーマンと豚肉とみそ。なんて相性のいい組み合わせなんでしょう!!ナスはよく火をとおしてとろけるような感じにすると、おいしさが増します。もちろん、回鍋肉のように、キャベツも合いますし、辛いのがお好みなら赤唐辛子の輪切りや豆板醤を加えても。ここでは、黒豚みそだけですが、さらに豚肉を加えれば、ボリュームいっぱいのごちそうになります。

ナスとピーマンの黒豚みそ炒め

 こちらも続けてつくったので、新原味噌醤油さんの「黒豚みそ」を使用しています。後日、大成畜産さんの「黒豚みそ」でもつくってみたところ、より香ばしく濃いめな仕上がりに。お好みでどちらでも!

【材料】2人分
ピーマン…2個
ナス…2個
サラダ油…大さじ1
酒…大さじ1
「黒豚みそ」…大さじ1

【つくり方】
①ピーマンは種を取り、一口大の乱切りに。ナスはヘタをむき、炒める直前に乱切りにする。ナスは炒める直前に切れば、水にさらさなくて大丈夫。すぐ炒めます!

ナスとピーマン

②フライパンにナスを入れ、サラダ油を回しかけ、全体にからめたら火にかけます。中火で全体に焼き色をつける。

炒めたナス

③蓋をし、弱火にして2分たったら、ピーマンを加えて中火にする。さらに全体を炒め、ピーマンに火がとおったら、黒豚みそを酒で溶いて加え、全体にからめる。またフタをし、弱火にして2分、ナスがやわらかくなり、味がなじんだらでき上がり。器に盛る。

 みそ炒めが得意になる調味料の「豚みそ」、常備しておくと便利です。

<取材・文・料理/坂口明子>

アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。